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児童虐待防止対策の強化を求める意見書

 本年1月の埼玉県狭山市における3歳女児の死亡事件、東京都大田区での3歳男児の死亡事件等、児童虐待により幼い命が奪われる深刻な事態が続いている。

 家庭や地域における養育力の低下、子育ての孤立化や不安・負担感の増大等により、児童虐待の相談対応件数は増加の一途をたどり、複雑で困難なケースも増加している。     

 こうした現状に鑑み、政府は、昨年12月、すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクトにおいて、児童虐待防止対策強化プロジェクトを策定した。

 よって、政府に対し、児童虐待防止対策強化プロジェクトでとりまとめた施策の方向性を踏まえ、児童虐待発生予防から発生時の迅速かつ的確な対応、被虐待児童への自立支援に至るまでの一連の対策を強化するため、早期に児童福祉法等の法律改正案を国会に提出するとともに、下記の事項について速やかに実施するよう強く要望する。

 

 

1 児童虐待の発生を予防し、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を実現するため、子育て世代包括支援センターを法制化し、全国展開を図ること。また、孤立しがちな子育て家庭へのアウトリーチ支援を強化するため、子育ての不安や悩み等を抱える家庭への養育支援訪問事業やホームスタート事業(家庭訪問型子育て支援事業)を全ての自治体で実施できるようにすること。

2 児童相談所全国共通ダイヤル番号「189」の更なる周知を図るとともに、相談者からの電話が児童相談所につながるまでに数分かかっている実態等を早急に見直し、通報しやすい体制を整えるとともに、通報に対して緊急性の判断や関係機関との連携を的確に行える体制の整備に努めること。

3 児童虐待が発生した場合、迅速かつ的確な初期対応が行われるよう、児童相談所の体制や専門性を抜本的に強化すること。特に、児童福祉司、児童心理司、保健師等の職員配置の充実、子どもの権利を擁護する観点からの弁護士の活用等に積極的に取り組むこと。

4 学校、医療機関、警察等の関係機関における児童虐待の早期発見や適切な対応を図るため、児童相談所と関係機関との間における緊密な連携体制を再構築すること。特に、警察と児童相談所との連携体制においては、虐待の通報を受けた場合、虐待の有無にかかわらず、情報共有を図ること。

     また、一時保護等について、警察と児童相談所とが共同で対応する仕組みを全国で構築すること。

5 一時保護所における環境改善を早急に図るとともに、一時保護所の設置拡大を図ること。

     また、里親制度や養子縁組制度を推進し、家庭的養護のもとで、子どもが安心して養育される環境を整えること。

6 被虐待児童について、18歳を超えても引き続き自立支援が受けれるようにするとともに、施設退所後や里親委託後の児童等に対し、きめ細かなアフターケア事業を全国で実施すること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

  平成28年3月18日

 

宮 崎 市 議 会 

 

 

内閣総理大臣

殿

総務大臣

法務大臣

文部科学大臣

厚生労働大臣

国家公安委員長