[特集1] 今どきの就農事情~就農ナウ 就農ナウ 問い合わせ先 農政企画課 電話21-1785ファックス番号44-0770  ここ数年、就農する人が急増しています。昨年、宮崎市内で就農した人の数は101人。なかでも30代や40代の若い世代が、新たな職業として農業を選択しています。今回は、若手農家に集まってもらい、就農までの道のりや現状について、本音に迫りました。 キュウリ農家 あまのまさかずさん(44歳) [新規就農者]  3年前に広島から宮崎に移住。奥さんと子ども3人の5人家族。この8月に研修を終え、今秋から夫婦で農家デビュー。 農業を始めて、家族一緒の時間が増えました。まだスタートしたばかりですが頑張ります! ミニトマト農家 えがしらまゆみさん(40歳) [新規就農者]  今年で就農2年目。夫、中学1年生の長男、小学5年生の次男の4人家族。以前は会社で事務員として働いていた。 農業なんてしないと思っていましたが、今では楽しくて仕方ありません! 花・果樹農家 こまつたつのりさん(29歳) [農業後継者]  農業高校、農業大学校を卒業後、2年間大阪の花市場で研修を受け、23歳から親が経営する農園で花の生産を担当している。 何となく農業を継いだのですが、どんどんその魅力と奥深さに引き込まれています。 ―農業をやろうと決めたきっかけは?  えがしらさん:周りで耕作されていない農地が増えているのが気になっていました。自分の親も農家を引退しましたし、このまま農家が減って食糧が不足したら、子どもたちや孫たちはどうなってしまうのだろうと。そう考えたとき、自分が農業をしていれば、何らかの役に立てるのではないかと思ったんです。 あまのさん:私も食べ物を作るのはこれから生活していく上で強みになると思っています。食べ物に困ったとしてもキュウリは食べられますから(笑)。 こまつさん:私は、親が農業をしていたこともあり、いつの頃からか自分も農家になるんだろうなあと思っていました。 ―えがしらさんとあまのさんは新規就農者ですが、農業をやると決めてから、まず何をされましたか? えがしらさん:情報収集です。特に就農に関する補助事業については入念に調べました。ハウスにはかなりの初期投資が必要なので。 あまのさん:私は知り合いの農家に足を運んで、話を聞きました。成功している人の生の声を聞けますし、横のつながりもできたので、よかったですよ。 ―その後、お二人は「ジェイエイファームみやざき中央」で1年間研修を受けたんですよね。研修内容はどんなものでしたか? えがしらさん:うね造りやビニールの張り方など、一から農業を教えてもらえました。何の知識も無かった私が、就農した年からちゃんと収穫できたのは研修があったからこそです。 ―研修で技術は習得できても、いざ就農するとなると、大変なこともあったのでは? あまのさん:初期費用がネックになりました。ただ、機械・施設を導入する際に市の助成制度や青年就農給付金、青年等就農資金など、就農を支援するための制度があるので、それらをうまく活用すれば何とかなると思いますよ。 えがしらさん:そうですね。ただ、補助金ばかりをあてにしていては、先々まで農業を続けていくことは難しいと思います。5年先、10年先の経営計画をしっかりと立てておくことが大切です。 ―実際に就農してみていかがですか? えがしらさん:ストレス無く仕事ができるし、収穫の楽しみもあるし、農業を始めて本当によかったですよ。ただ、台風16号では、ハウスの中まで浸水する被害に遭ったんです。私のハウスのある地域は水に浸かることはないと聞いていたので、まさかの出来事でした。 こまつさん:自然が相手なので、確かに難しい部分はありますね。うまくいかなかった時は、原因を検証して翌年に生かそうとはするのですが、必ずといっていいほど何か問題が出てくる。毎年それの繰り返しですよ。 あまのさん:それでも、経営は成り立っているんですよね。経営をスタートするにあたって、そこが一番不安なんですが、お二人のように、しっかりと食べることができている人の存在は支えになります。 ―農業を始めて何か変化はありますか? あまのさん:広島で会社勤めをしていた頃は、連日、家に帰り着くのが深夜。日曜日以外は子どもの寝顔しか見られないような状況でした。それが、今では毎日一緒に晩ごはんを食べることができています。 えがしらさん:私は仕事への取り組み方が変わりましたね。自分で農業をしていると、やった分だけ収入として返ってくるので、働きがいがありますよ。 こまつさん:就農1年目の収量はどうでしたか? えがしらさん:ベテランの農家さんと比べるとそれほどでもないでしょうが、思っていた以上に収穫できました。手をかけた分だけ返ってくるものだと実感しましたね。 ―今後の目標を教えてください。 あまのさん:まだスタートラインに立ったばかりなので、まずは食べていけるようになること。それだけです。 こまつさん:毎年安定した経営ができるよう、技術を高めたいですね。それと、今後は販路の拡大も意識していきたいと思っています。 えがしらさん:収量を増やすことが一番です。成功している農家さんには、借り入れなどを利用することなく、東京の大学に子どもを通わせている人もいます。そういった人たちを目標にして頑張っていきたいですね。 ―最後に、就農を検討している人たちにアドバイスをお願いします。 あまのさん:肉体的には想像していた以上にハードです。どんなに疲れていても、自分がやらないことには作業が終わりません。そのあたりの覚悟は必要だと思います。 えがしらさん:手伝ってくれる人がいた方が安心ですよ。あまのさんが言うように、農業は決して楽な仕事ではありません。万が一、病気などで自分が動けなくなったら大変ですから。こんなことばかり言うと、農業は大変なことばかりのように聞こえてしまうかもしれませんが、大変なのはどんな仕事でも同じです。農業には農業でしか味わえない喜びや楽しみがたくさんありますし、こんなに楽しい仕事はないと思いますよ。 こまつさん:若手の農家が増えると僕たちも張り合いが出ますし、うれしいですね。力を合わせて宮崎の農業を盛り上げていきましょう! 農業を始めやすい環境が整っています。 宮崎市では、新たに農業を始める人や農業後継者に対する支援策をはじめ、研修から就農までのバックアップ体制も充実しています。農業に興味がある人は、お気軽に農政企画課へご相談ください。 農政企画課主任主事 新名 さとし 宮崎市における新規就農者推移 就農年 平成24年 新規就農者数 20人以上 就農年 平成25年 新規就農者数 40人以上 就農年 平成26年 新規就農者数 50人以上 就農年 平成27年 新規就農者数 100人以上 ※就農者数には、後継者・新規参入者・雇用就農者を含む 就農をバックアップ! 新規就農の際に必要な、初期費用などを補助する事業を紹介します。 ◆青年就農給付金事業(経営開始型)  農業を始めてから経営が安定するまでの期間(最長5年)に、国から給付金を給付します。(最大150万円) 対象者 経営開始年齢が45歳未満で独立・自営を行う人(農業後継者の場合には、親元と異なる栽培品目の導入などが必要となります) ◆農業後継者育成支援事業  青年就農給付金の対象とならない農業後継者に対して、就農時1回に限り、1人あたり120万円を給付します。 対象者 平成26年4月以降に勤務先を退職、または市内への転入などをして農業経営を始めている18歳から50歳までの人 ◆新規就農者生産基盤整備支援事業 就農時に必要となる農業機械の購入費を助成します。 対象者 経営開始2年目までの人 補助率 事業費の1月3日以内(1人あたり66.6万円以内) ◆新規就農者中古ハウス再利用支援事業 園芸用の中古ハウスを有効利用する費用を助成します。 補助率 事業費の1月2日以内(10aあたり105万円以内、20aまで) ※支援事業の対象となるには、市による営農計画の認定が必要となります。 私たちが就農者を“サポート”します!  新規就農者にとって、経験豊富な先輩のアドバイスは何より心強いもの。市ではベテランの農家によるアドバイスや、未経験者でも一から農業の指導を受けられる研修制度などの事業を行っています 就農後に役立つ実践的プログラム! 平成18年に設立した同社では、毎年10人前後の就農希望者を受け入れ、これまでに約100人の新規就農者を送り出しています。「会社員や公務員から転職する農業未経験者が大半です。そのため、研修では土作りから機械の修理方法まで、農業の基礎を全て教えます。施設1棟を1人が担当するようにしているのも、就農後を想定してのことです」(ありまさん)。コンパクトな敷地でも、施設があれば1年を通して収穫できるのが宮崎の強み。研修生同士の交流もあり、就農後にお互いの作業を手伝うなどの関係も生まれているとのことです。 研修では作業だけではなく、経営を学ぶ座学や視察なども行われます。 主な特徴 ●1人が1棟を受け持つ担当制 ●市、県、国富町、JAが連携 ●研修後に入植できる団地あり 未経験でもやる気があれば大丈夫! (有)ジェイエイファームみやざき中央 企画管理課課長 ありまかずよしさん 豊富な経験を生かしてアドバイス! 蔵田さんは昭和42年に農業を始め、50年近くもの経験を積んでいるベテラン農家。現在は仕事の傍ら、近隣地域に就農した若手農家5人の指導にあたっています。「自分たちが若いころは、教えてくれる人も研修制度もありませんでした。今の新規就農者は恵まれた環境にあると思います。その環境を存分に生かして、貪欲にノウハウを吸収して欲しいですね」(くらたさん)。新規就農者が最もてこずるのは、作業の段取りとのこと。作物の状態や気候などの条件に臨機応変に対応できるよう、農政アドバイザーを積極的に活用してほしいとのことです。 仕事終わりに新規就農者の様子をのぞくのが日課だというくらたさん。 主な特徴 ●アドバイザーはベテラン農家 ●営農指導が受けられる ●女性のアドバイザーも在籍 自らどんどん動く姿勢が大事! 農政アドバイザー くらたひろひでさん 新規就農者にはこんなサポートも! Facebook「宮崎市農政部情報局」  市の農業に関するさまざまな情報を発信しています。野菜や花き、畜産など幅広いテーマの最新情報がチェックできますので、フェイスブックを利用している人はぜひ「いいね」をお願いします。 問い合わせ先 農政企画課 電話21-1785ファックス番号44-0770 縁結びアドバイザー  未婚の農業従事者の婚活をサポートするため、市内の40から60代の農家8人を「縁結びアドバイザー」に任命。地域の未婚者に関する情報を集めるなど、縁結びのコーディネートを行っています。 問い合わせ先 農業委員会事務局 電話21-1784ファックス番号20-1565 幅広くサポートします! 農業委員会事務局主任主事 川越 誠