特集1 自転車利用の今とこれから 安心&安全なみやざき自転車生活のススメ 健康や環境、お財布に優しいことからその利用に注目が集まっている自転車。 しかし一方では、事故が絶えないなどの課題もあります。 安心・安全に自転車を利用するために、本市が進めている取り組みを紹介します。 問い合わせ先 都市計画課 電話 21ー1811 1 ご存じですか? 自転車の現状 数字でみる市内の自転車事情  本市は気候が温暖で快晴の日が多く、坂道も比較的少ない地域です。そのため、買い物や通勤・通学などの身近な交通手段や、サイクリングなどのレジャーに多くの人が自転車を利用しています。  一方、市内の自転車関連の交通事故は過去10年間、毎年約700件発生しています。特に出会い頭の衝突事故が多く、自転車の右側通行(逆走)などが原因として挙げられます。 宮崎市は自転車生活にぴったり! 高校生の10人中7人が自転車通学 マイカー(送迎)13%や徒歩6%より多い 通勤時の交通手段自転車が第1位! 38%(市内中心部)。マイカー・社用車27%より多い 市内中心部の平均勾配は0.9% ほとんど坂道がないため、自転車で走りやすい 快晴日数や平均気温日照時間が全国3位! 天候に恵まれているので、自転車で動きやすい 一方でこんな危険な数字も! 自転車はキケンと隣り合わせ! 市内のどこかで1日2件事故発生 市内の自転車関連事故は毎年700件も発生 市内の自転車関連事故のうち市内中心部が70% 事故を起こしても警察に届ける人はわずか22% 市内自転車関連事故のうち61%クルマとの出会い頭衝突! 全国平均の56%よりも多い 自転車に乗っていて事故やヒヤッとした経験がある71% 事故の相手はクルマが最も多い 出会い頭事故は右側通行に起因!  見通しの悪い無信号の交差点では、歩道や車道の右側を通行する自転車がクルマの死角になりやすいため、出会い頭事故の発生率が高くなっています。また、自転車は車道の左側を通行することが原則なので、車道の右側通行(逆走)は道路交通法違反。しかもクルマに対する相対速度も上がるので、接触すると死傷事故につながりやすく、大変危険です。 図 車道・歩道ともに逆走は危険性が高い 左側は死角になりやすい ※2002年から2005年(4年間)の事故件数 2 安全のためにもう一度チェックを! 意外に知らない自転車ルール 自転車は「車両」です! きちんとルールを守りましょう 多発する自転車関連の事故。その原因の一つには、「自転車は車両である」という意識が低いということが挙げられます。自転車対歩行者の事故はこの10年間で増加していて、事故防止のためにも自転車の交通ルールを正しく知ることが求められます。  近年は、自転車による事故で自転車運転者側に高額の賠償を命じる判決が全国で相次いでいます。自転車はあくまでも車両であり、相手にけがを負わせれば子どもでも責任を問われることを理解し、交通ルールを守って安全に運転することが大切です。 自転車は車道通行が原則! 罰則 3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金等 車道の左側を通行すること 歩道と車道の区別があるところは原則として「車道」を走らなければいけません。 例外 自転車が歩道を通行できる場合 自転車は次の場合、例外的に歩道を通行することができます。 標識がある場合は、例外的に歩道を通行できます。 高齢者や児童・幼児の場合 自転車の運転者が高齢者(70歳以上)や児童・幼児(13歳未満)であるとき 通行の安全を確保するためやむを得ない場合 路上駐車や障害物などにより自転車が車道を安全に通行できないとき 図 自転車歩行者道(自転車通行可の歩道) 歩道の民地側を通行してはいけません 歩道を通行する場合は、歩道の中心より車道寄りの部分を「徐行」しなければなりません memo 注意!自転車にも損害賠償責任があります。 自転車はクルマと同じ車両なので、事故を起こせば損害賠償責任が生じます。自転車保険を新規に契約する人も増えてきています。 神戸地裁の例(2013年) 自転車で女性をはね、寝たきりにさせた小5男児の母親に約9500万円の賠償命令 東京地裁の例(2014年) 自転車で主婦をはねて死亡させた男性に約4700万円の賠償命令 3 もっと安心・安全な自転車利用を目指す 「宮崎市自転車安全利用促進計画」とは? 近年、自転車は日常生活における身近な移動手段としてだけでなく、健康増進やダイエット、経済的な面からも注目を集めていて、これからも利用者が増加していくと見込まれています。その一方で、本市では多くの自転車に関連した事故が発生している現状があります。また、自転車を通行するのに十分なスペースが無かったり、放置自転車がまちに溢れていたりするなど、自転車に関する課題はたくさんあります。  こうした自転車事情を踏まえて、安心・安全に自転車を利用できるまちを目指すため、「宮崎市自転車安全利用促進計画」を策定しました。計画では、『誰もが「安全」で「快適」に「楽しく」自転車を利用できるまちの実現』をコンセプトに設定しています。具体的には、「走る」「守る」「停める」「いかす」という四つの柱に分けてさまざまな施策に取り組みます(施策の概要は下記および9ページに掲載)。  本計画を着実に推進することで、短期的には自転車関連事故の低減が期待できます。また、長期的にはクルマから自転車への転換による交通混雑の緩和や、環境負荷の低減が期待できます。 本市は温暖な気候に恵まれ、街中の至るところに花や緑が溢れています。一人でも多くの皆さんに、自転車に乗って、季節の移り変わりを感じるなど楽しんでいただければと思います。 「走る」と「守る」には優先して取り組みます! 都市整備部長 田本典秀 走る 誰もが安全で快適に楽しく自転車を利用できるまちに! 自転車の通行空間を確保します  基本方針「走る」では、安全で快適な自転車ネットワークの形成、利用者の安全性を考慮した交通安全対策の実施、路面表示や案内板の設置を施策としています。  昨年10月には、県庁東側の「ほんまちとおりせん」に自転車レーン290m、税務署前の「えびすとおりせん」に自転車誘導レーン560mを市内で初めて整備しました。  どちらの路線も、これまで路上駐車場として活用していた空間を、自転車の通行用に整備したものです。これにより、歩行者と自転車の安全性の向上を図っています。 図 整備箇所位置図 ほんまちとおりせんに整備した自転車レーン えびすとおりせん 長さ560m ほんまちとおりせん 長さ290m 守る ルールの周知や啓発を行います  基本方針「守る」では、自転車に関する交通安全教育のさらなる充実、関係機関と連携したルールの周知・啓発、安全啓発イベントとの連携・開催を施策としています。  平成25年11月には、大淀大橋の歩道で自転車一方通行規制を県や警察と連携して導入しました。橋の北側にある急な坂(路側帯)の安全確保や、小戸之橋通行止めに伴う自転車交通量増加への対応が主な理由です。  導入後、小戸之橋の通行止めで大淀大橋を行き来する自転車の量は増えましたが、ほとんどの自転車が一方通行を遵守。橋の北側の急な坂で自転車同士がすれ違うことも減っていて、安全性の向上に寄与していると考えられます。 図 規制導入箇所 小戸之橋 通行止 大淀大橋 規制区間(橋歩道部のみ) 通行幅が非常に狭い橋北側の急坂区間 図 一方通行規制前後の自転車交通量の変化 規制開始前 1345台 12時間 規制開始後 1637台 12時間 292台が12時間で増加! いかす 観光やスポーツでの利用を促します  基本方針「いかす」では、観光客の回遊性向上に向けた取り組み、新たな自転車の魅力づくり、自転車利用促進に向けた取り組みや公共交通との連携、巨大地震発生時における自転車の活用を施策としています。  自転車はクルマの渋滞に巻き込まれることもなく、最短距離で目的地に到着することができ、都市内交通としては5㎞未満の移動で最も早い交通手段といわれています。  また、本市には、風光明媚な市街地をはじめ、自転車で気軽に足を運べる歴史・文化施設も点在しています。青島や一ツ葉などの観光地ではレンタサイクルも運営中。自転車の利用促進は、私たち市民だけでなく観光客の回遊にもプラスとなると考えられます。 停める 駐輪環境の確保に努めます  基本方針「停める」では、自転車駐輪実態の分析、既存駐輪場の利用促進、駐輪環境の充実に向けた取り組みを施策としています。駐輪場については、市内では放置自転車が多い反面、既存駐輪場には空き(利用率50から60%程度)があり、利用の促進が不可欠です。 比べてみました!クルマと自転車、早いのはどっち?  昨年12月に「小戸之橋通行止め」の影響を受けていると想定されるルートのうち、赤江浜入口から市役所本庁舎入口まで、最も早い交通手段を調べてみました。すると、「自転車」が最も早く到達しました。「クルマ」は案外時間がかかり、自転車が早いことが分かります。 自転車は手軽で早いこと以外にも、家計や環境にも優しく、健康づくりにも最適なことなど、さまざまなメリットがあります。 図 スタート 赤江浜入口バス停横のコンビニ ゴール 市役所本庁舎入口 比較ルート(4.7km) 徒歩 46分 費用0円 クルマ 29分 市役所近くのパーキングから徒歩 (ガソリン代+駐車400円12時間) バス 26分 赤江浜入口バス停から橘通1丁目バス停から徒歩(片道270円) 自転車 18分 車道通行から本庁舎前駐輪場から徒歩(費用0円)