特集1地域を守る強い味方 そうだったんだ消防団!  地域防災の要として活躍している消防団。実際にどのような活動をしているのか、どのような思いで活動しているのかに迫りました。 そもそも消防団って?  消防団は消防組織法に基づいて、各市町村に設置されている消防機関です。平成26年4月現在、宮崎市消防団には2571人の消防団員が在籍。そのほとんどが、仕事と消防団活動を両立させています。その職種は、会社員、自営業、看護師、保育士、学校の先生、公務員などさまざま。仕事に、家庭に忙しい中、「自分たちのまちは、自分たちが守る」という使命感で活動しています。 消防士と消防団員  仕事の傍らで消防活動を行う消防団員に対して、消防署に勤務して消火活動などを行う消防士。40万人を超える市民が暮らし、面積も広大な宮崎市で、現在、火災などの災害現場で常時活動できる消防職員は約90人です。  同時にたくさんの災害が発生した場合、消防士と消防団員が連携して活動しなければ、被害の拡大を抑えることはできません。また、消防署や出張所からの距離が遠いなどの理由で、消防士の到着に時間がかかることもあります。消防団員は地域に密着した安全の担い手であり、消防署と消防団が一体となって、車の両輪のように機能して大きな力を発揮しています。  市民の安全・安心を守るために必要不可欠な存在。それが消防団なのです。 消防団の活動あれこれ 平常時 防災啓発活動 地域住民の防災意識や地域防災力の向上を目的に火災予防・防災講座などの啓発を行っています。 災害を未然に防ぐのも大切な役割です 住宅防火訪問 各家庭を訪問し、火の元を確認したり、防火啓発を行ったりしています。同時に支援が必要な人の把握もしています。 地域の特性を知ることで、いざという時に力を発揮できます 救命講習会 住民がいざという時に対応できるよう、AEDの使い方など、応急手当の普及・啓発を実施します。 早期の救命措置が命を救います 災害時 消火活動 いち早く火災現場に駆けつけ、消火活動を行います。鎮火後も再び発火しないように見張りを続けます。 夜を徹して見張りを続けることもあります 水防活動 台風や集中豪雨によって河川の氾濫や堤防の越水が起きないよう、土のう積みなどの防災活動を行います。 地域の災害軽減に全力を尽くします 救助活動 地震や水害など大規模災害発生時に、救助・救出・警戒・避難誘導などを行います。不明者の捜索活動も行っています。 地域のことを知っているので、迅速な活動を行えます [団長に聞く!!] 災害時に発揮される消防団の力 地域の安全・安心の要といわれる消防団。 その理由を、宮崎市消防団の髙橋昌久団長に伺いました。 宮崎市消防団 髙橋昌久団長 昭和29年12月23日生まれ。平成26年4月に宮崎市消防団の団長に就任。保育園の園長もされています 地域密着の強み  まず火災について話をしますと、消防署から離れた地域では、消防団が最初に火災現場に到着することが多いんです。火災を初期段階で収めるには、この対応の早さが重要で、地域密着の消防団だからこそ素早く現場に駆けつけられます。  市内各地に大きな被害をもたらした平成17年の台風14号でも、地域と密接に関わっている消防団の強みが発揮されました。水害が発生した地域では、ゴムボートなどによる救助活動を行いましたが、この家には高齢者が住んでいる、この家には赤ちゃんがいるなど、地域住民のことを把握していたので、効率的に救助活動を行うことができました。結果として、一人の死者も出すことはありませんでした。 原動力は、地域を守るという使命感  同じく台風14号の時のことですが、大淀川の堤防が越水する危険があるということで、200人以上もの消防団員が危険箇所に集まって6800袋の土のうを積みました。  さらに、激しい風雨の中、地域を巡回して、がけ崩れなどの危険箇所がないかを確認したり、倒木を撤去したりと、活動を続けたのです。  このように、自分の身を守るために住民が屋内にいなければならない、もしくは避難しなくてはならない、というような状況の中でも、消防団員は災害が起きようとしている場所に駆けつけたり、自分たちの家族よりも優先したりして地域の安全のための活動を行っています。これも「地域を守る」という使命感があればこそです。  消防団員は、「地域のために」という思いで、日々訓練に励んでいます。まさかのときの地域の安全・安心は、消防団によって守られている、と思ってもらえるとうれしいですね。 平成17年の台風14号では、消防団が危険箇所で活躍しました 深夜であろうと早朝であろうと、連絡があれば現場に駆け付けます 図 消防団員の出動人数 [平成24年度の延べ人数] 火災 7,220人 風水害など 3,388人 訓練 5,342人 普通救命講習 1,883人 団行事その他 9,990人 合計 27,733人 消防団員インタビュー 会社員でもできるんです 宮崎市消防団 大淀分団第6部 黒木晃さん [消防団歴12年]  宮崎市内の税理士事務所に勤務する黒木さんは、消防団員だった父親が、定年により退団したのを機に入団。ラッパ隊にも入隊するなど積極的に活動しています。  「消防団に入って良かったと思うのは、たくさんの人と知り合えたこと。さまざまな職種の人たちと話しができますし、地元の人たちとのつながりも増えました。  変な話ですが、消防団に入っていなければ、今の地域に住み続けていなかったかもしれません。消防団に入って、それだけ自分の地域に愛着を持つようになったんですよ。  私は会社員なので、日中はなかなか自由がないのですが、自分にできる範囲で消防団活動をしています。地域への思いがあればどなたでもできることだと思いますので、皆さんもぜひ消防団に入っていただきたいですね」。 自分の町を自分で守ることにやりがいを感じています 宮崎市消防団 中央分団第2部 毛利伸二郎さん [消防団歴19年]  毛利さんが消防団に入団したのは平成7年。当時23歳だった毛利さんは、阪神・淡路大震災の被害をテレビで見て衝撃を受け、消防団への関心が高まったそうです。「高速道路が倒れている様子は大きなインパクトがありました。入団したのはその4月です。万一に備えて自分にもできることをやろうと考えて決めました」。  毛利さんは焼肉店で仕事をしている関係で夜は活動できないため、昼間の活動に参加しています。「うちの分団は繁華街と昔ながらの下町が残る地域を担当しています。20代から60代までと世代が幅広いのですが、家族同士で集まって焼肉会をするなどしてとても仲が良いですよ。自分の町を自分で守れるというのが何よりのやりがい。これからもみんなで町を守っていきたいと思います」。 新人消防団員が行く! 消防団の1年  宮崎市消防団では、有事に備えて日々訓練を行っています。その1年の動きを、消防団に入団して1年の若手消防団員とともにお伝えします。 消防団が日頃どんな活動を行っているのか知ってください。 宮崎市消防団 清武分団第2部 高妻ともなりさん [消防団歴1年] 平成24年、消防団員だった父の後を継いで消防団に入団。職業は介護士。特技のブレイクダンスは大会で優勝するほどの腕前です。 4月 消防団員入退団式  真新しい活動服に身を包んだ新入団員が集結します。 消防団ってどんな組織なんだろう?という不安でいっぱいでした。 5月 分団での訓練  基本的な動きや、規律を身に付けます。 ※年間を通じて訓練しています 入団して1か月。消防団の雰囲気にも少しずつ慣れてきました。 6月 操法大会に向けた訓練 先輩たちの迅速で規律ある動きに驚くばかりでした。 7月 操法大会  県大会への出場をかけた操法大会。消防団の甲子園ともいわれています。 大会には私も出場したのですが、とにかく必死でした。たくさんの仲間ができて、いい経験になりました。 8月 地域行事へ参加  夏祭りや花火大会の警戒活動を実施します。 地域の人たちと触れ合うことで、知り合いがぐっと増えました。 9月 自治会などの訓練指導  避難訓練などで機材の取り扱いなどの指導を行います。 地域を守っていかなければならないということを自覚しました。 10月 分団での訓練  救命処置の訓練などを行います。 ※年間を通じて訓練しています 訓練を重ねることで、消防団員としての使命感が大きくなりました。 11月 消防と音楽のつどい  音楽隊やラッパ隊の演奏や、女性分団の寸劇などで消防をPRします。 消防団はさまざまな活動をしていることを知ることができました。 12月 夜間特別警戒  夜間に地域を巡回して、火の用心を呼び掛けます。 凍えるような寒い夜に、仕事を終えてからの活動だったので大変でしたが、地域の安全のためと思って、とてもやりがいを感じました。 1月 消防でぞめ式  市役所下の河川敷で、消防団員などの行進や、消防車による一斉放水が行われます。 伝統行事ということで緊張しましたが、消防団の一員としての誇りを感じました。 2月 分団での訓練  林野火災を想定した訓練を行います。 ※年間を通じて訓練しています 山火事の恐ろしさと、消火の大変さを実感しました。 3月 火災予防運動  全国春季火災予防運動期間中は火災予防の広報活動を行います。 ※全団員が全ての行事に参加するわけではありません。 消防団の活動の様子が動画で見られます! “踊る消防団員”高妻さんに入団しての感想を聞きました。 得意のブレイクダンスを披露してもらいました。  消防団に入ってあっという間の1年でした。団の規律やチームワークは社会勉強になりますし、たくさんの人とも知り合いになれました。飲み会が多いというイメージですが、実際は年に数回程度で、団員の親睦を深める良い機会になっています。消防団は自分を鍛えるチャンスの場。本当に入ってよかったです。 宮崎市消防団にはこんな組織もあります 女性分団  女性のみで組織される分団で、防災教育や応急手当の普及指導、消防防災に関する寸劇や広報活動を行っています。 学校や各地のイベントなどで講習会を開催して救命率向上に努めています 音楽隊  九州で唯一の消防団音楽隊で、式典や行事、イベントなどで演奏しています。 演奏を通して防火意識を高めるとともに、消防団活動のPRを行っています ラッパ隊  県内消防団のフェスティバルで5連覇するほどの実力。式典や地域のお祭りなどで演奏活動を行っています。 消防団の伝統行事に欠かせないラッパ隊。団員の士気向上にも欠かせません 水上バイク隊  平成17年の水害をきっかけに結成した全国初の水上バイク隊。 マリンレジャーが盛んな宮崎市には必要不可欠な存在です。 消防団員募集中!  あなたも消防団員として地域貢献しませんか? たくさんの人が自分の仕事や家庭を持ちながら活動しています。消防団に興味のある人は、お気軽にお問い合わせください。 ※地域によって定数の関係で入団できない場合があります。 問い合わせ先 消防局総務課 電話32-4902