[特集1]障がい者の就労支援活動に学ぶ! 社会で生きるための4つのヒント  障がいのある人もない人も、互いに人格と個性を尊重しながら共生する社会の実現が求められています。今回は障がい者の就労支援活動を通じて、私たちが社会で生きる上でのヒントを聞きました。 問い合わせ先 障がい福祉課 電話21-1772 ヒント1 失敗してもいい。学習を続けること。 生きるために大切なことです。 チームさどわら理事長 佐藤君代さん 特定非営利活動法人 チームさどわら さどわら町東上那珂16079-69 電話73-8313  久峰公園内にある「久峰食堂」を運営する就労支援グループ。清掃作業、農園でのパパイヤ栽培・加工作業も行っている  昼過ぎの久峰食堂。「お待たせしました」と運ばれてきたのは、チキン南蛮やうどんがセットになったAランチです。「粉からこねて、麺打ち、だし汁に至るまで全て障がい者が手作りしているんですよ」と話す佐藤さんは、平成20年からチームさどわらで障がい者の就労支援を行っています。  現在、食堂では15人が調理や接客に従事しているほか、地域の保育園や事業所で清掃もしています。また、平成25年からは青パパイヤの植え付けから加工までを行い、「パパイヤ茶」の製品化にも成功しました。「一人一人好きな仕事は違います。今後もできるだけ選択肢を広げていきたいと思っています」  障がい者を受け入れる環境は整いつつあるという佐藤さん。だからこそマナーや技術を確実に身に付けて地域で生きていけるよう、個別の支援を手厚くしているそうです。  「失敗しても、学習しなければ就労して仕事をすることはできません。私たちは、みんなの人生を預かっているようなもの。一人一人が自信を持てる技術や商品を手にできるよう、個別に相談に乗ったり、励ましたりしながら学習をサポートしていきます」 人気のAランチ。うどん以外の料理も障がい者の皆さんの手作りです はたらく人の声 お客様の「おいしい」のためにうどん作りに試行錯誤 佐野まさきさん(63歳)・日高ひろつぐさん(43歳)  食堂でのうどん作りと、いろんな施設での清掃をしています。うどん作りは初めこそ慣れませんでしたが、みんなの和気あいあいとした雰囲気のおかげで、今ではもっと腕を磨きたいと思うようになりました。うどんをこねたり延ばしたりする感覚は毎日違うので、試行錯誤の連続です。お客様にもっと「おいしい」と言っていただけるよう精進します。 ヒント2 羽ばたくまで、何度でも挑戦する。 チャンスは一度ではありません。 じょいわーくす所長 中村清子さん 社会福祉法人たらちね会 じょいわーくす きよたけ町今泉甲6876-5 電話82-8180  今年で設立10周年。清掃、お菓子(袋作り・箱詰めなど)、喫茶(接客・清掃など)の3部門を中心に就労移行支援を行っている  今の社会は、コミュニケーションをとるのが難しい。だから、私たちは利用者さんのコミュニケーション力の向上に重点を置いています」と話す中村さん。特に力を入れているのは、書くことだそうです。  「初めての利用者さんにはまず、就職先でうまくいかなかったり、辛かったりしたことなどを書き出してもらいます。書くことで、自分が伝えたいことを明確にできます。また、自分が聞いたことを書いて記録する習慣もつき、仕事上の失敗防止にもつながります。この習慣は、今後どの仕事でも生かせるものです」  現在、受託しているきよたけ総合支所の清掃は、とても貴重だと中村さんは言います。  「5人のチームで清掃を行うのですが、集合から作業完了までを時間内に終わらせるために、互いに協力する力が付きます。しかも地域の皆さんがいらっしゃる中で仕事ができる。社会性を養う上で理想的ですね」  社会に出た障がい者がうまくいかなくなった時も、戻って来られるシェルターでありたいと話す中村さん。「チャンスは一度ではありません。羽ばたけるまで何度でも、次のチャンスを作っていきたいと思います」 じょいわーくすはきよたけ総合支所での清掃を7年間続けています はたらく人の声 ねぎらいの一言にやりがい将来は接客で力を発揮したい 西山誠さん(25歳)  きよたけ総合支所や高齢者施設など3か所で週4回、1日約5時間の清掃作業をしています。市民の皆さんとあいさつを交わしたり、「お疲れさまです」とねぎらっていただけたりするのがうれしいですね。スタッフの方が親身に相談に乗ってくれるので、分からないことを自分から聞けるようになりました。この経験を生かし、将来は飲食店で接客に励みたいです。 障がい者の仕事選びをサポートします! 障がい福祉課 主事 長友りずむ お仕事応援マップ  宮崎市自立支援協議会では、市内の就労支援事業所の場所や事業内容、作業の様子などをまとめた「お仕事応援マップ」を作成しました。就職に向けての相談や、離職後の再チャレンジの相談など、相談内容に合わせた窓口や支援機関も掲載しています。障がいのある本人の希望や、特性に応じた職場選びの参考にしてください。 「お仕事応援マップ」はこちらから閲覧できます PDFアドレス http://www.city.miyazaki.miyazaki.jp/www/contents/1369718126920/files/oshigotogaidomap.pdf わかるかな?クイズ 街で見かける障がい者に関するマーク 次の8つのマークがどんな意味を表すか、あなたはいくつ分かりますか? 答えは次のページ(9ページ) ヒント3 仕事に対する誇りが、意欲の源です。 大島身体障害者授産所施設長 田原やすひろさん 大島身体障害者授産所 社会福祉法人宮崎県大島振興協会 大島町北ノ原1029 電話25-3668  昭和32年に授産場を設置後、漆器作りが本格化。宮崎漆器は県伝統工芸品に指定されている  球塗りの流れをくむ宮崎漆器は、太平洋戦争末期に沖縄から疎開移住してきた職人がもたらした伝統工芸品。その弁当箱は、クルーズトレイン「ななつ星in九州」でも使用されています。「木地の研磨から上塗りまでの8つの工程を、手作業で丁寧に繰り返す。この手間暇をかけて生まれる光沢のある漆器が、日用品や記念品、贈答品として人気です」と田原さん。しかし、その技術を長年担う障がい者の皆さんは高齢化が進んでいるそうです。「みんな漆器作りに自信と誇りを持っています。知名度を上げ、販路を開拓しながら、新たな担い手を増やしていきたいです」 はたらく人の声 下地作り一筋37年 まだまだ精進あるのみ 増田明子さん(60歳)  漆器用の木地の表面をペーパーで滑らかにする作業を担っています。37年間続けていますが、角や細部の加減がまだまだ難しいですね。お客様に喜んでもらえるよう、もっと腕を磨きたいです。 漆に顔料を混ぜたものを貼り付ける「ついきん」という技法が特徴 ヒント4 技術。それが自信を生み、自立を支えます。 CADセンター管理者 土肥雅郎さん CADセンター 祇園1-50市心身障害者福祉会館1階 電話31-6441 社会福祉法人えこうかい  平成7年設立。CADセンターを開設後、事業範囲を建築設計からウェブ、印刷物制作へと拡大  障がい者の目線で建築設計を行う組織として始まったCADセンターは、技術を生かして事業範囲を拡大。現在は30人の障がい者が、ウェブサイトや印刷物を制作しています。「ここで技術を磨き、大手情報機器メーカーなどで活躍している人も数多くいますよ」と話す土肥さんは、障がい者が自立する上で技術が大きな支えになると話します。「技術があれば自分で稼ぎ、納税できる。それは生活する上で大きな自信になり、仕事で中心的な役割が果たせるようにもなります。そのために、ここでは学校のようには教えず、自ら聞き、考えて技術を習得できるよう指導しています」 はたらく人の声 苦手だったパソコン業務も挑戦したことでできるように 久保園辰男さん(38歳)  CADセンターで学んだ後、市社会福祉協議会でデータ整理をしています。パソコンは苦手でしたが、やる前に合う、合わないを決めず、挑戦したのが正解でした。周りの助けもあり、楽しく仕事しています。 車いすで働きやすいように机の配置を変更するなど、周囲の協力がありがたいと話す久保園さん ご存知ですか? 障がい者に関する大切な3つのこと 1 法律のこと 新しい法律「障害者差別解消法」ができました  「障害者差別解消法」は、障がいを理由とする差別の解消を推進するため、「不当な差別的取り扱い」「合理的配慮をしないこと」を禁止するものです。平成28年4月から施行されます。 【例】「不当な差別的取り扱い」 ◎お店に入ろうとしたら車いすを利用していることが理由で断られた ◎スポーツクラブや習い事の教室などで、障がいがあることを理由に入会を断られた ◎アパートの賃貸契約をしようとしたら、障がいがあることを理由に契約を断られた 【例】「合理的配慮をしないこと」 ◎災害時の避難所で、聴覚障がいのある人がいると管理者に伝えたのに、必要な情報が音声でしか伝えられなかった ◎漢字が読めないと伝えていたのに、お知らせにふりがなを振ってもらえなかった 2 防災のこと 障がい者のための「防災カード」ができました  「防災カード」は、氏名や連絡先のほか、かかりつけの医療機関や服用している薬、必要な支援内容などを記入するものです。障がい者手帳と一緒に携帯していただくことで、災害時や日常の困った時に周囲の支援を受けやすくなります。7月から市障がい福祉課、総合支所の窓口および各障がい者団体で配布しています。 3 マークのこと いくつ分かりましたか? 障がい者に関するマーク さまざまな障がいの内容を分かりやすく示しています。見かけたら、理解と協力をお願いします。 ①障がい者のための国際シンボルマーク すべての障がい者が利用できる建物、施設であることを明確に表す世界共通のマークです(車いすを利用する障がい者限定ではありません)。 ②耳マーク 聞こえが不自由なことを表します。聴覚障がい者は見た目に分からないので誤解や不利益が生じやすいもの。このマークを提示されたら、相手が「聞こえない」ことを理解し、協力をお願いします。 ③身体障がい者標識 肢体不自由が理由で免許に付帯条件のある人が、運転する車に表示します。危険防止のためやむを得ない場合を除き、このマークを付けた車に幅寄せや割り込みをした運転者は罰せられます。 ④ほじょけんマーク 身体障がい者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)の同伴啓発のマークです。補助犬はペットではなく、体の不自由な人の体の一部。マナーや衛生面はきちんと徹底されています。 ⑤聴覚障がい者標識 聴覚障がいが理由で免許に付帯条件のある人が、運転する車に表示します(義務)。危険防止のためやむを得ない場合を除き、このマークを付けた車に幅寄せや割り込みをした運転者は罰せられます。 ⑥オストメイトマーク 人工肛門・人工ぼうこうを造設している人(オストメイト)のための設備があることを意味し、対応トイレの入口・案内誘導プレートに表示されています。 ⑦盲人のための国際シンボルマーク 視覚障がい者のための世界共通のマークです。視覚障がい者の安全やバリアフリーに考慮された建物、設備、機器(信号機や国際点字郵便物・書籍など)で見かけます。 ⑧ハート・プラスマーク 身体内部に障がいがある人を表します。中には「電車などの優先席に座りたい」「近くでの携帯電話使用を控えてほしい」といったことを希望していることがあります。 ※市では、法令の名称など一部を除き、「障がい」と表記しています。