特集1 これからの自治会の話をしよう 自治会連合会のかわごえ会長と、子どもの見守りなどを通して地域に関わるはるぐちさんに、お話を聞きました。 問い合わせ先 地域コミュニティ課 電話21-1714 何をしているのかわからないという印象があるのでは? NPO法人 チャイルドラインみやざき 事務局理事 はるぐちよしえさん 自治会は見返りや損得では語れないものだと思います 宮崎市自治会連合会会長 かわごえやすしさん 「人間関係が希薄というわけではない」 「どう機会をつくり声掛けができるか」 自治会への関心の低下など複数の要因が加入率に影響 ——市では自治会加入率が低下し続けています。 かわごえさん:今は人間関係が希薄だと言われますが、人間関係は良好だと思いますよ。希薄なのは自治会への関心だと感じます。 はるぐちさん:自治会に対して目に見えるメリットを求められているような気がします。助け合いや思いやりの精神で運営されていることがうまく伝わっていないのかな。 ——一方で加入率が8割以上の地域もありますね。 かわごえさん:昔からのつながりが保たれている地域だけでなく、中心市街地でも加入者が多く、活動が活発な例はあります。 はるぐちさん:私の住む地域も中心部寄りですが、近隣の人への見守りや声掛けは積極的ですよ。 ——環境整備や防災を考えれば、どの自治会も積極的に活動したいですね。 はるぐちさん:ただ、子どものいる家庭では学校行事や塾、クラブ活動も忙しく、折り合いを付けるのが難しいですよね。 かわごえさん:そうですね。両親も共働きが多くて忙しく、なおさら時間が取れないのかもしれません。学校や子ども会とうまく連携していく必要があります。 自主性に委ねられた中で求められるきっかけ作り ——自治会で何をしているか見えないとの声もあります。 はるぐちさん:自治会活動を知らせる主な手段は回覧板ですが、一斉清掃など参加して初めて様子が分かることもあると思います。ただ、機会は限られていますし、都合を付けにくい状況も支障になっていますよね。 かわごえさん:イベントの頻度などは自治会によって差がありますしね。 ——そうした意味でも、いかに積極的に声掛けできるかは重要ですね。 かわごえさん:自治会は自主的な活動なので、もちろん強制はできません。ただ、その価値を会員各自が機会があるごとに、気軽に声掛けしていただくことで、会に対する理解も深まり輪も広がると思います。 はるぐちさん:何か協力をお願いされるとうれしいものですよ。 かわごえさん:「あなたが手伝ってくれると助かるわ!」という言葉でお願いすることは大事ですよね。 はるぐちさん:はい。行き着くところはやはりうまくコミュニケーションを図るかだと思います。 かわごえさん:何かのメリットが優先だと、メリットが無くなれば活動を止めてしまう。損得勘定ではない助け合いの精神が基本じゃないといけませんね。 自治会の役割 つながり 本紙7月号の読者アンケートで、「自治会に加入しているメリットとして感じられるところは何ですか?」という質問に対し、最も多くの人が「地域の人との交流」と回答しています。地域のつながりを生む自治会の役割が重んじられているようです。 自治会に加入しているメリットとして感じられるところは何ですか? (総回答数:123人 本紙7月号読者アンケート) 地域の人との交流 70人 市政や地域の情報源 44人 防災・防犯 9人 自治会の役割 見守り 「近所に一人暮らしの高齢の方がいらっしゃるのですが、一斉清掃では、歩くのがきつい時でも外に出てきてくれます。ご近所との関わりを大切に思ってくださっているんですよね。自治会に加入していることで、孤立しないという安心感を感じていただけるのでは」(はるぐちさん) 自治会の役割 災害対策 大規模災害を想定した防災訓練 「新しいマンションができると、地域に一種の隔離状態が生まれます。しかも、大きなマンションの中に各世帯があるという構造で、誰がどこに何人住んでいるかが分からないこともあり、地域のつながりを保つことは、喫緊の課題です」(かわごえさん) 自治会の役割 環境整備 「自治会の会費は、防犯灯の設置などに活用されていますよね。ただ、残念ながらそうした地域の安全が自治会によって守られていることが十分に伝わっていないこともあるようです。自治会活動は助け合いだということを、もっと伝えていくことも大事だと思います」(はるぐちさん) 防犯灯の設置・電球交換、電気代の支払い ゴミ収集所の設置と管理 歩道の美化活動 地区内の一斉清掃 低下の一途をたどる自治会加入率  市の自治会加入率は現在約57%(平成26年)。10年前から、10%程度低下しています。理由はさまざまですが、本紙9月号読者アンケートでは、自治会に加入していない理由として「地域になじみがない・転勤が多い」という声に加え、「加入方法が分からない」という意見も目立ちます。 自治会に加入していない理由 (総回答数:42人 本紙9月号読者アンケート) 地域になじみがない・転勤が多い 15人 加入方法が分からない 15人 余裕がない(時間・金銭) 5人 親が加入している 3人 必要性を感じない・脱会した 3人 若者がいない 1人 ※世帯数は、平成26年6月1日現在の町・丁・おおあざを基に、地域自治区域に応じ調整などを行って算出した推計値です。 宮崎市全体 世帯数 176,438世帯 加入率 56.9% 中央東 世帯数 12,749世帯 加入率 38.1% 中央西 世帯数 9,243世帯 加入率 47.1% 小戸 世帯数 6,276世帯 加入率 51.9% 大宮 世帯数 10,500世帯 加入率 67.2% 東大宮 世帯数 7,554世帯 加入率 63.5% 大淀 世帯数 10,313世帯 加入率 52.1% 大塚 世帯数 8,863世帯 加入率 51.0% 檍 世帯数 17,824世帯 加入率 42.3% 大塚台 世帯数 3,146世帯 加入率 91.0% いきめ台 世帯数 3,150世帯 加入率 93.4% 小松台 世帯数 2,761世帯 加入率 83.4% 赤江 世帯数 24,751世帯 加入率 54.3% 木花 世帯数 6,869世帯 加入率 43.7% 青島 世帯数 1,609世帯 加入率 79.0% 住吉 世帯数 8,758世帯 加入率 57.9% いきめ 世帯数 5,073世帯 加入率 62.2% 北 世帯数 2,541世帯 加入率 83.1% さどわら 世帯数 12,776世帯 加入率 79.0% 田野 世帯数 4,328世帯 加入率 63.3% 高岡 世帯数 4,369世帯 加入率 91.6% きよたけ 世帯数 12,985世帯 加入率 43.4% ご意見をお聞かせください! 11月は自治会加入促進強調月間です! 「市広報みやざき」特設サイトでは、今回の特集に対するご意見・ご感想、自治会活動を活発にしていくためにすべきことなどを受け付けています。たくさんのご意見をお待ちしています。 ※QRコードの読み取りには、アプリ「QR・JANコード読み取りバーコードリーダー」を推奨しています。 地域コミュニティ課 主任主事 木村真也 「交流を増やし、運営も若手中心に」 「参加したくなる“楽しい場”の創出を」 和を重んじることに注力世代交代も進めるべき ——自治会の活動をもっと活発にしていくにはどうするべきでしょうか。 はるぐちさん:自治会に入られていない方が孤立しては意味がないので、分け隔てなく声掛けすることが、加入者の増加や地区の活性化につながるのではないでしょうか。 かわごえさん:そうですね。自治会はジェントルマン(紳士)であるべき。上から目線にならず、和を重んじて接していきたいですね。 ——近隣の自治会の活動を研究されている意欲的な自治会長もいらっしゃるようですね。 かわごえさん:私の自治会にも、祭りの運営などの相談に来られることがあります。学ぶとは真似ること。もっと交流していくべきですね。 はるぐちさん:自治会連合会でも交流の機会はあるんですか? かわごえさん:定期的に役員会や研修会をしていて、少なからず交流が生まれています。自治会長には若手の人もいるので、人材育成の機会にもなります。 はるぐちさん:運営や企画をできるだけ若手に任せることで、新しい発想が生まれやすくなりますよね。 かわごえさん:活発な自治会は、やはり若手が元気なところが多いですよ。 顔の見える関係を目指して地域のみんなで協力体制を ——さまざまな課題の中で、まず取り組むべきことは。 かわごえさん:楽しい場の提供が大切だと考えます。そして、その場で自治会の雰囲気や役割を理解してもらう。自治会に入られていない方やあまり参加できない皆さんに、「皆さんが来てくれるとにぎやかになってうれしいよ」と感謝を伝えるべきだと思います。 はるぐちさん:場が楽しいと、参加できなかったことが残念に思ってもらえるようになり、次回への参加意欲がわきますよね。 ——顔見知りになれば、普段から声も掛けやすいです。 はるぐちさん:そうですね。あと、私自身も経験があるんですが、加入したくても方法が分からない人にはちゃんと案内するべきだと思います。チラシを入れるだけではだめだと。 かわごえさん:人付き合いですからね。顔の見える関係づくりを大切にしなくてはいけませんね。 はるぐちさん:そうなると自治会長さんの負担も大きくなりますが、そこも助け合いですよね。 かわごえさん:その通り。会長任せではなく、みんなで協力していくべきです。 お手本活動 和知川原1自治会 たけだたつのりさん 子どもの安全と心を見守る みんなで子どもを守る! 横断歩道に立つのは事故防止のためだけではありません。毎朝、あいさつを交わすことで、問題を抱えている子どもに気付き、非行の防止にもつながります。 お手本活動 青水自治会 やのみのるさん 夏祭りを復活させました 子どもが主役でにぎやかに! 三世代の交流と地域の親睦を深めるため、一度途絶えていた地域の夏祭りを復活させました。この祭りにより、地域の住民が地域の子どもたちを知る機会にもなって、安心・安全な地域づくりに役立っています。 お手本活動 宝塚ニュータウン自治会 わたなべとしみさん 防災訓練は自らの手で 事前学習もやりがい◎ 自主防災隊員を中心に、応急措置などを自分たちで教え合います。消防隊員へは講評や監修だけを依頼。身近な私たちが一生懸命行動することで、参加者も積極的に活動してくれています。 お手本活動 平和が丘自治会 ときとうたかとしさん 地域で子どもを育てる 3世代で交流! 子どもたちを学校だけでなく、地域全体で育てていくために登校日を公民館で行う「登館日」を4年前にスタート。地域の昔話や歴史を通して、子どもたちとの交流を深めています。 お手本活動 寺ノ下自治会 やぎみちはるさん 高齢者の手助けに 人のためになることを! きっかけは高齢者のお宅を訪ねた時に、植木のせんていの費用に悩んでいることを知ったこと。同じ悩みを抱えている人は多いと思い、ボランティア部を昨年の10月に発足。せんていのほか、包丁研ぎなどの活動をしています。 お手本活動 花の森自治会 かわえわたるさん 小さなイベントでつなぐ 自主性が生まれます! それぞれの季節にテーマを設け、地域のお店を招いてイベントを開催。小規模でも回数を重ねることによって、コミュニケーションが増えてきました。企画を広く募集して、まずは発起人が楽しむことが大事だと思います。 お手本活動 加江田自治会 ながともくにおさん 高齢者を孤立させない つながりが元気の素! 高齢者などの閉じこもりや引きこもりの防止を目的に、ふれあい会食会やふれあいサロンを開催。地区住民の協力もあり、運動会や餅つき大会、ふれあい曽山寺夏祭り、福祉施設との交流などを行っています。 お手本活動 権現自治会 いしかわこういちさん 4自治会で大運動会! 今年で44回目! 4つの自治会で、約350人が集う運動会を開催しています。全員が参加できる抽選会や仮装行進など、競技以外の催しを行うことで、会の後も話が弾み、新たな参加者を生んでいます。