[特集1] 災害発生!どう助ける?  災害はいつ、どのように起こるか分からないもの。体を動かすことや情報を得ることが難しいために避難行動が遅れる“要配慮者”の支援に向けて、市民一人一人が配慮すべきことを理解し、組織や地域ぐるみで支える体制を整えることが大切です。 知っていますか?要配慮者のこと  要配慮者とは、高齢者や子どもなど、危険を察知しにくかったり、適切な行動が取りにくかったりする人たちのことです。今回は要配慮者の中でも、特に子ども、外国人、障がい者、高齢者をピックアップ。配慮すべき点や支援方法などを紹介します。 高齢者 特徴 ・加齢による運動機能の低下や視覚・聴覚の衰え ・高齢者の割合が高い地域もある 災害が発生すると…  視覚や聴覚、運動機能の衰えのために、自力で避難できたとしても、時間がかかってしまう。また高齢者の割合は地域によって異なるため、地域ごとに支援策が違ってくる。 障がい者 特徴 ・障がいによる行動の制限 ・障がいが見た目で気付きにくいこともある ・障がいからの遠慮 災害が発生すると…  障がいにより行動が制限されることから、一人で避難できない場合がある。さらに一見しただけでは障がい者かどうかが分かりにくい人もいるため、支援の手が及びにくい。 外国人 特徴 ・日本語が理解できなかったり、上手に話せなかったりする ・文化が異なる 災害が発生すると…  日本語が不自由な場合、災害や避難に関する情報に気付かず、避難行動に遅れが生じやすい。また文化の違いから、避難所での共同生活が円滑にいかないこともある。 子ども ・状況判断や行動力が大人に劣る ・ストレスを抱えやすい ・自分の状況を訴えられない 災害が発生すると…  状況の判断能力が大人に比べて低いため、適切に避難できないことがある。また環境の変化に適応できず、避難生活で大人以上にストレスを抱える場合もある。 子ども 子どもと合わせて保護者にも配慮を  災害時は、生活環境が大きく変わり、誰もがストレスを抱えがちになり、子どもは大人以上にストレスを感じます。子どもの心身の健康を維持するためには、保護者、特に子どもと接する機会の多い母親へのケアが重要です。平成17年の水害における避難生活では、母親をサポートするボランティアが行われました。  子どもは大人に比べて判断能力が低いため、災害発生時になじみのない人が「逃げろ!」と声を掛けても、速やかに避難することは困難です。だからこそ、日頃からあいさつなどのコミュニケーションを通して、子どもたちと信頼関係を築いておきましょう。 子どもに何か伝えるときは、身振り手振りを大きくして、子ども目線で話すようにしましょう。 状況の判断が適切にできない子どもにとって大事なのは、体験すること。起震車を利用するなど、日頃から訓練しておきましょう! 保護者の皆さんへ  子ども目線で物事を考えられ、体格も大人に近い中学生は、子どもが避難する際、大きな力になります。災害発生時には、近所の中学生や住民とともに子どもが避難できるよう、普段から交流を重ねておきましょう。 NPO法人ドロップインセンター 理事長 黒田奈々さん 外国人 多様なプログラムで不安を取り除く  平成24年に行った県内在住の外国人へのアンケートでは、最も不安を感じていることは「地震・水害」という意見でした。外国人には、大災害発生時に、どう対応すればいいのか分からないという漠然とした不安があるのが現状です。  そこで、市国際交流協会では日本での防災知識を身に付け、地域との関係づくりを行うために、日本人を交えたグループ懇談や起震車を使った地震体験などのプログラムを実施しています。また、プログラムの参加者が今後増えることを見込んで通訳を増員し、災害時に避難所で通訳対応ができるよう準備をしています。 平成26年度防災力アップミニツアーでは、県内在住の外国人が消防署などを見学。防火服を着用するなど、さまざまなことを体験しました。 非常用持ち出し袋の中身をみんなで確認。使い捨てカイロなどは外国では普及しておらず、みんな興味津々。 外国人の皆さんへ  非常用持ち出し袋の中身(使い捨てカイロや非常食など)は外国人にはなじみの薄いものもあります。プログラムに参加して日本での災害への備えを身に付けてください。頼りになるのは地域とのつながり。普段からの交流も忘れずに。 市国際交流協会 事務局長 新里淳一さん 障がい者 まずは障がいを理解することから  東日本大震災の時、他の被災者に対する遠慮から、実は避難所に行かなかった障がい者が少なくありませんでした。非常時に自力で逃げられず、さらに助けを求められない障がい者は、宮崎市にも存在します。そのため、彼らへのサポートを地域ぐるみで行う必要があります。大切なのは、地域全体で障がいを理解することなのです。  普段から障がい者も交えた防災訓練を行うことで、障がいがどの程度、避難行動に影響するのかが分かります。障がい者がいる場合の避難行動をイメージしておくようにしましょう。 平成19年12月に開催した避難所生活体験ワークショップ。実際に避難所として利用される体育館を確認しました。 平成21年11月に市社会福祉協議会と“YAH!DOみやざき”が協力して行われた避難所体験。障がい者用トイレの利用方法などを確認しました。 障がい者の皆さんへ  災害が起こってからだと、自身の障がいを明かしづらくなります。普段から近所の人と積極的に交流し、障がいのことを自然と理解してもらうようにしましょう。 NPO法人障害者自立応援センター YAH!DOみやざき 代表理事 永山昌彦さん 高齢者 名簿を作って、支援の必要な人を把握!  木花地域の島山地区は高齢化率が高く、特に昼間は仕事などで若者が一時的にいなくなってしまいます。そのため、高齢者だけで避難行動が速やかに行えるよう組織づくりを徹底しています。その一つが名簿作成です。  避難時に手助けが必要な人をあらかじめ把握しておき、災害発生時に速やかに支援できるようにしています。また、昨年度は木花保育園の防災訓練に自治会も参加し、高齢者と子どもの模擬避難訓練を行いました。  現在、島山地区に複合型の施設を建設中です。完成後は同施設で島山地区の住人による避難訓練を行い、非常時に備えます。 きよたけ町新町地区自治会では、消防団員からチェーンソーの使い方を教わりました。 池内団地自治会では、火災発生に備え、消防署への通報や初期消火の訓練などを行いました。 高齢者の皆さんへ  近所で、自分を助けてもらえる人を把握していますか? 災害発生時に備え、自ら避難できるよう準備するとともに、隣近所の状況を把握し、自分の状況を周囲に把握してもらいましょう。 島山自治会 会長 岩切秀幸さん 自力で避難行動することが困難な避難行動要支援者のために  要配慮者や要支援者への詳しい支援方法や、避難行動要支援者のための体制構築などに関して、分からないことがあれば、お気軽に福祉総務課に問い合わせてください。 体制構築までの6ステップ ステップ1 名簿作成 4から5月 ステップ2 通知 6月上旬 ステップ3 同意・拒否 6月中に返送 ステップ4 研修・名簿提供 7月から開始 ステップ5 計画作成 ステップ6 避難訓練の実施 避難支援体制構築の流れ ステップ1 名簿作成  宮崎市地域防災計画に定めた要支援者の要件に該当する人を、要支援者名簿(以下、「名簿」という。)に掲載します。 ステップ2 通知  名簿に掲載された人へ、市から名簿に掲載されたことと、避難支援体制を構築するために地域に名簿の情報を提供してもよいかという確認の通知が届きます。 ステップ3 同意・拒否  情報提供に同意する場合は手続きは不要。拒否する場合のみ同封の拒否届を返送してください。拒否の届け出がない場合は同意したものとみなします(「宮崎市避難行動要支援者名簿に関する条例」に基づく) ステップ4 研修・名簿提供  地域で避難支援に携わる関係者・団体を決め、「宮崎市避難行動要支援者名簿の個人情報の取扱いに関する協定」を市と締結。研修を受講後、名簿が提供されます。 ステップ5 計画作成  支援関係者などが要支援者を訪問し、一緒に個別避難支援計画を作成します。 ステップ6 避難訓練の実施  避難訓練を実施し、見えてきた課題などを検討し、解決策を協議します。 名簿の提供に同意してください  今回、市では災害対策基本法の一部改正に伴い、要支援者の名簿を作成しました。個別の避難支援計画を立てる際など、避難支援のために活用します。災害時に慌てることなく支援するためには、平常時から地域で要支援者を把握し、支援方法を決めておくことが大切です。  さまざまな団体が一つになって、要支援者を支える体制を整えるためにも、要支援者名簿の提供に同意をお願いします。 災害時、一番に頼りになるのは隣近所の人々です。 福祉総務課 主事 合原加奈美 読んでおくと役立つ資料 避難行動要支援者支援体制構築実施マニュアル  地域で避難支援体制を作る手順が具体的に書かれています。 宮崎市要配慮者防災行動マニュアル  要配慮者と支援者が災害に備えるためのマニュアルです。 分からないことや不安があったら  要配慮者の中には、災害時に手助けがないと適切に避難できない人たち「避難行動要支援者(以下、「要支援者」という。)」がいます。要支援者を救うためには、地域で協力して支援体制を作ることが不可欠です。現在、市では地域ごとの避難支援体制構築のためのマニュアルを作成し、配布しています。 問い合わせ先 福祉総務課電話21-1754