特集2 動物園ふしぎ発見!  県内唯一の動物園である宮崎市フェニックス自然動物園には、約100種・1200点の動物たちが暮らしています。実はまだまだ知られていない、動物園の動物たちの不思議に迫りました。 問い合わせ先 宮崎市フェニックス自然動物園 電話39-1306 ファックス番号39-1300   または公園緑地課 電話21-1814 ファックス番号21-1816 [営業時間]9時から午後5時まで(入場は午後4時30分まで) [休]水曜 市長の戸敷正です。 私も動物園で取材してきました! ゾウのお散歩  来園者が見守る中、みどりが展示場からゾウさん広場までの道を毎日散歩します。広場ではおすわりや鼻を使ったフラフープを披露したり、来園者との記念撮影に応じてくれたりします。マフー(ゾウ使い)による解説も必聴。 時間:お散歩午後1時25分から     写真撮影午後1時30分から午後2時まで(無料) 場所:アジアゾウ展示場からゾウさん広場 疑問:ゾウは人間に驚かないの? 回答:アジアゾウのみどりは、人間とゾウが親しく暮らしているタイの出身。園でもそれにならって飼育しているので、普段と違うことがなければ驚きませんよ。 [飼育員・加治さん] フライング・フラミンゴショー  開園以来40年にわたって続く伝統イベント。約300羽から選抜された60羽近くが、スタッフの動作に応じて集合や離散を見せます。会場を改修した2012年から、フライング・フラミンゴショーとして、飛ぶ姿を見ることができるようになりました。 時間:①11時30分②午後1時③午後3時 会場:フラミンゴショー会場 疑問:フラミンゴは飛べるの? 回答:多くの動物園では飛べないように羽を切っていますが、当園では切っていません。そのため、ショーでは美しい羽を広げて飛ぶ姿が見られるようになりました。 [飼育員・関さん]  チンパンジーの知能実験  チンパンジーは賢いので、道具を使うことができます。実験では、おりの外にわざと置いた果物を、木の枝を使って器用に手元に近づけたり、おりの外に置かれたヨーグルトの容器に、小さな穴から枝を入れて上手にすくう様子が観察できます。 時間:正午から 会場:チンパンジー展示場 他に賢いところは?  ジェスチャーができるんです。おりから手を差し出したり、手をたたいたりして飼育員に餌をねだります。隣りのオランウータンに餌をねだる様子も見られますよ。 [飼育員・郡さん]  インコとのふれあい  インコのおしゃべりを聞いたり、頭や手の上に乗せて記念撮影をすることができます。実は、5羽のインコが、女性飼育員5人とそれぞれペアを組んで、日替わりで登場しています。 時間:午後1時30分から午後2時まで 場所:ゾウさん広場横の芝生広場 インコはおしゃべりできるの?  インコは、相手の気を引くためにおしゃべりするので、反応してあげると喜びますよ。以前、教えていない言葉で「すいません」と話してびっくりしたことがあります。工事に来ていた作業員の言葉を真似していたようです。 [飼育員・石塚さん]  ワオキツネザルのお食事タイム  ワオキツネザルはマダガスカル島の出身。園ではイクラとカツオという名前の2頭が暮らしています。某アニメとは逆で、イクラの方が立場は上。カツオはイクラの許可がないと食事をしないんですよ。 時間:10時30分 場所:ワオキツネザルの島 コクチョウとは仲良し?  ワオキツネザルの島を囲む水路にはコクチョウがいます。名前はハナザワと言って、仲も良いですが、ワオキツネザルの餌をこっそり食べる様子も見られます。 [飼育員・郡さん]  ヤギの大行進  メエメエと鳴きながら、ヤギの寝床とこども動物村の間を駆け足で大行進します。午後4時の帰宅前には、早く寝床に帰って餌を食べようとするヤギたちが、こども動物村の動物舎出口に詰め掛けてスタートを待っている様子が楽しめます。 時間:①10時②午後4時 場所:①観覧橋→こども動物村     ②こども動物村→観覧橋 雨の日も大丈夫なの?  大行進は雨でも行いますが、実はヤギは雨が苦手。雨が降ってくると屋根の下で雨宿りし、大行進では水たまりを懸命に避けながら伏し目がちで走ります。 [飼育員・甲斐さん]  数々の実績を持つ歴史ある動物園。 22人の飼育員が日々奮闘中です!  宮崎市フェニックス自然動物園は、昭和46年に開園した歴史ある動物園です。国内で初めて野生動物の混合飼育を始めたり、ダチョウの繁殖に成功したりと、数々の実績を上げてきました。他にも、フラミンゴの飼育数日本一や国内に9頭しかいないマサイキリンの飼育など、見どころはいくつもあります。  園では22人の飼育員が日々試行錯誤しながら、動物の本来の行動を引き出し、その魅力を伝えるために努力しています。園内の設備も、新しい展示の形を実現しようと準備中。多くの可能性を秘めた県内唯一の動物園で、動物の暮らしをたっぷり感じてください。 動物や飼育員を現場のスターにしていきます! 飼育課課長 竹田正人 島根県出身。大阪府立大学獣医学科卒業。天王寺動物園(大阪市)で獣医師として23年間の勤務を経て、平成25年4月に宮崎市フェニックス自然動物園へ。 知っておくと動物園が10倍面白い 飼育員さんのここだけの話  知っていそうで実は知らない、奥深い動物たちの世界。行動や鳴き声、性格などを知っておくと、例えばただ寝ているだけの動物も、興味深く感じます。早速、飼育員さんに突撃インタビュー! キリン ボウルをくわえておかわりアピール?  3歳のコユメはやんちゃ盛り。人間のにおいを嗅ぐのが好きだった母親に似て、飼育員の手袋や無線機を嗅ぎまわったり、ダチョウの尾羽を突っついたりすることも。もっと餌が欲しい時のアピールなのか、餌を入れるボウルをくわえたまま動物舎内をうろうろすることがあります。 [飼育員・横山さん] 開園直後か午後3時以降だとボウルをくわえる様子が見られるかも! フラミンゴ 子育て中の親は色が薄くなります。  フラミンゴは子育ての時、喉の奥からワインレッド色の分泌物(フラミンゴミルク)を分泌してヒナに与えます。白いヒナはだんだんピンク色になり、逆に親は色が白くなります。ちなみにミルクは雄も出すんですよ。園には4種類・約300羽が暮らしています。いろいろな色合いを見比べるのも楽しいですよ。 [飼育員・関さん] 仲間同士のいざこざの時は「ブブブブ」と鳴くので聞いてみてね レッサーパンダ 元気で若い夫婦におばあちゃんも刺激?  1年前に山口県から来たリコ(雌)とコタ(雄)は、食欲旺盛な若夫婦。冬が好きで、12月から3月頃は繁殖期にも当たるため、「キュキュキュ」という、高い鳴き声が聞けるかもしれません。以前からいる15歳のおばあちゃん・フランツも、別居中ながら2頭の声やにおいに刺激を受けるのか、以前より食欲が増大! [飼育員・石塚さん] リコはこんな大胆な寝相で寝ているときもあるよ! オランウータン チンパンジーに野菜をお裾分け!?  雄のハッピーは22歳。50歳くらいまで生きる動物なので、今ちょうど青年期です。生野菜が嫌いですが、食べなかった野菜を、隣りのチンパンジーのおりに投げ入れてお裾分けするんですよ。しかも群れの中で順位が上のチンパンジー目掛けて投げるんです。世界でも例のない珍しい行動です。 [飼育員・郡さん] 大きな手は何と握力300kg!でも性格はとてもおとなしいんですよ ライオン ニワトリを丸3羽バキバキ食べます。  ネコの仲間で、前足をペロペロするなど、ネコのような姿が見られます。一方、爪研ぎ用の大きな丸太を引きずり回したり、ニワトリ丸3羽を1食でたいらげる姿はやはり猛獣。夜行性なので昼は寝ていますが、夕方になると「グオゥ、グオゥ」とうなり声を聞けることがあります。 [飼育員・堀之内さん] 雄のスタンは特に警戒心が低く、近くで寝顔がよく見られますよ! ミーアキャット キャットなのに「ワン」と鳴く!?  仲間同士で「キューキュー」などと鳴くのですが、驚いたり警戒したりしている時は「ワン」と鳴くんですよ。雄のワオは特に臆病者。雌のピースは好奇心旺盛で、餌もピースが先に食べます。仲良しなので、子どもが生まれるのを私たちも心待ちにしています。 [飼育員・梅田さん] 愛らしい見た目ですが、餌に鶏肉を食べるなど肉食な一面も! ニホンカモシカ 自慢の角は鉄柵で研いでます。  野生だと角を硬い木で研ぐのですが、ミーは動物舎の鉄柵で研いでいるんですよ。それだけに尖り具合も凄いです。ちなみに、ニホンカモシカは特別天然記念物で、保護したものを飼育しているのは九州で当園だけ。雄の相手が見つかれば何とか繁殖に成功させたいです。 [飼育員・渡部さん] 目の下にある眼下線(がんかせん)をこすりつけるのは縄張りの印! ダチョウ 膝に見えるのは実は踵(かかと)。  ダチョウの膝は人間とは逆に曲がっているように見えますが、膝に見えるのは踵(かかと)。膝は羽に隠れて見えないところにあります。繁殖期(2月から8月頃)に入ると、雄が雌に羽を広げる求愛のポーズを見せたり、喉の部分を膨らませて牛のように「モーッ」と鳴くこともありますよ。 [飼育員・加治さん] 雄は繁殖期になるとくちばしや羽根が赤くなるので観察してみてね 【市長が聞きました】飼育員さんの1日  私たちが動物園で動物たちを楽しく観察できるのは、裏方で餌やりや掃除などを担当している飼育員さんのおかげ。ここで、市長がリスザルの飼育員・古根村さんに仕事の様子を聞きました。 市長 朝は何時から働いているのですか? 古根村 だいたい8時には園に来て、まずリスザルの様子を外から確認します。8時45分からの朝礼で、異常の有無やその日の作業予定を報告して、9時からは本格的に餌の準備、掃除などの作業に入ります。 市長 小さな動物なので状態を観察するのも大変そうですね。 古根村 餌を食べるかどうかが体調を見る一つの目安です。動物は一度体調を崩すと急激に悪化するのですが、動物たちはそれをあまり表に出そうとしません。だから、食べ方などを通じてしっかり観察することが大切なんです。 市長 なるほど。リスザルの食事は1日何回ですか? 古根村 11時頃と午後2時頃の2回です。その合間に私たちも昼食を取ります。私はペンギンやペリカンも担当しているので、そうした動物の餌やりや掃除なども行います。順調に進めば午後5時30分頃に仕事を終えます。 市長 飼育員に必要なこととは何でしょう? 古根村 動物好きなのはもちろんですが、限られた空間でどれだけ動物の魅力を引き出せるか考えることも大切だと感じています。 市長 アイデアを発想する力がいるんですね。休日はあえて動物から離れるのですか? 古根村 そうしようとしているのですが、旅行先でも結局動物園に行って、動物舎の作りなどを見てしまっています。職業病ですね(笑) 飼育員さんの1日(例) 8時 出勤・動物の確認 8時45分 朝礼 9時 餌やり・掃除 正午 昼食 午後1時 餌やり・掃除 午後5時30分 退勤 寝顔はくしゃっとしていてさらにかわいいですよ 戸敷市長 顔が小さくてかわいいですね! 飼育員古根村さん 子どもたちに会いに行こう  動物園で楽しみなのが、愛らしい子どもたちの姿。子どもならではの特徴や性格を理解して、子どもたちに会いに行ってみませんか。 ウサギのようでネズミだよ マーラ  マーラはネズミの仲間。昨年8月に生まれたカレンとキキは、母親の両側からおっぱいを飲む姿を見せてくれます。野生では穴の中に住むので、園でも夜に穴を掘り、朝にはすっかり穴だらけ。それを埋めるのが私の毎朝の日課です。 [飼育員・福地さん] 大人に負けじとダッシュ! ヤギ  こども動物村でおっぱいを飲む姿が見られるヤギ。昨年は11頭が生まれました。夕方のヤギの大行進では、早く帰って餌を食べようとダッシュする大人に混じって、高い声で鳴きながら必死に後を追う姿がかわいらしいですよ。 [飼育員・高橋さん] 5つ子の名前は柑橘類!? カピバラ  昨年8月に生まれた5つ子は、宮崎で柑橘類の栽培が盛んなことから、ミカン、ポンカン、ハッサク、デコポン、キンカンと名付けました。中でもハッサクは、岩に登ろうとしたり、親の背中に乗ったりして元気ですよ。 [飼育員・浜脇さん] 串間市から十数年ぶりに来ました。カピバラの赤ちゃんの名前、面白いですね。 竹本俊文さん 裕子さん もうお母さんは大変です シマウマ  昨年10月に生まれた雌のナツナは好奇心旺盛。木のにおいを嗅いだり、仲間にちょっかいを出そうとしたりして母親に「ダメよ!」といわれんばかりに止められる様子が見られます。大きな音がすると、キリンやダチョウと一緒に走ることもあるんですよ。 [飼育員・横山さん] シマウマの子どもがすごいスピードで走っているのを見てびっくりしました! 松岡慎吾さん 河埜美香さん みんなでひなたぼっこ! リスザル  昨年6月生まれのカンチは周りの世界に興味津々。冬の寒い日は展示場のガラスの端に10頭くらいが集まり、ひなたぼっこをする様子が見られます。指先には、物を持ちやすいよう人間と同じ平爪と指紋を持っているんですよ。 [飼育員・古根村さん] 動物園にはよく来ます。NIGHTZOO(夜間開園)にも参加しました! いち 貴浩さん 知子さん ゆづきさん あきほさん 【園長メッセージ】楽しい動物園  「この子ったら、ヤギさんを怖がっているわ!」。園内のこども動物村でよく聞く会話です。動物好きな子どもが、テレビでは興味津々なのに実物を怖がる。このことを「いわれなき恐怖心」と言った方がいます。また反対に、動物に接すると幸せな気持ちになる「無条件のよろこび」も感じられます。  人はこの相反する2つの感情に出会うと、楽しいと感じるようです。動物園では、行進するヤギや散歩するゾウ、飛ぶフラミンゴなどを体感できます。動物の迫力や存在感を実際に経験する機会が少なくなっている今、皆さんには動物園で動物たちと空間を共有し、2つの感情、つまり楽しさを味わってほしいと思います。  野生動物の実際を知るには、その生息地の再現が必要です。チンパンジーが30頭の群れで生活している様子を見たら楽しいと思いませんか?キリン、シマウマ、ダチョウの群れを、目で、耳で、鼻で観察したくはありませんか? 今年は、その新たな一歩にしたいと思います。  宮崎は自然の動物が豊かです。海にはアカウミガメが、山にはニホンカモシカやコシジロヤマドリがいます。しかし、いずれも少なくなっています。私たちの周りからドジョウやトノサマガエルがいなくなっているのをお気付きの人もいるでしょう。その情報や自然復帰のお手伝いをすることも動物園の大切な仕事。動物園を、そんな動物たちのことを少しでも考える機会にしていただければ幸いです。 園長 出口智久 大分県出身。宮崎大学農学部卒業後、昭和52年から飼育員としてフェニックス自然動物園(当時は民営)に勤務。カナダの動物園でも飼育勤務を経験し、平成16年に園長に就任。 遊具も要チェック! 遊具は全15機種! 昭和から残るレトロなものから比較的新しいものまで、大人も子どもも楽しめる遊具がそろっています。 ここでは人気ベスト3を発表! 遊園地 施設課課長 青木大浩 料金 9機種乗り放題 1人1,000円 15機種乗り放題(日曜・祝日) 1人1,600円 1番人気 マッドマウス 昭和46年の開園以来不動の人気。急カーブでは宙を浮くスリルが味わえます。 2番人気 モノレール 高さ約8m・全長400mのコースを移動中、運が良ければ遠くにキリンの姿も。 3番人気 ゴーカート 一人乗りと二人乗りがあります。プールサイドを走り抜けてください。 ※遊具には年齢や身長に制限があります。詳しくは、スタッフに確認してください。 季節のイベントも開催中!  動物園では、開園日に毎日実施している「フライング・フラミンゴショー」「ゾウさんのお散歩」といったイベント以外にも、季節に合わせたさまざまなイベントを実施しています。イベントによっては対象者が入園無料となる日もありますので、動物園ホームページやフェイスブック、「市広報みやざき」紙面でチェックしてください。 ゾウさんの豆まき 日時:1月31日(日曜)午後1時15分から 節分の豆まきを、来園者とアジアゾウのみどりが行います。飼育員が鬼にふんして登場するところも見どころです。 春の市民感謝デー 2月13日(土曜)・14日(日曜) アメリカバイソンや猛獣のお食事タイム、小動物の抱っこ、ポニー乗馬体験などが行われます。 動物たちのバレンタインデー~キリンの婿探し~ 2月14日(日曜) マサイキリンの飼育での取り組みや、コユメの婿探しについて紹介します。 入園はお得な年間パスポートで! 動物園には年間パスポート(高校生以上2,060円、小・中学生1,030円)や、フローランテ宮崎との共通パスポート(高校生以上3,080円、小・中学生1,540円、ファミリー 大人2人+小・中学生2人6,170円)があります。ぜひ利用してください。 通常料金は高校生以上830円、中学生420円、小学生310円(未就学児無料)、駐車料金400円ですよ! 公園緑地課主任主事岩﨑悠太