特集3 聞いてみました!本当の気持ち 健常者と障がい者がともに支え合うために 来年の4月から障害者差別解消法が施行されます。障がい者、相談支援専門員など4人の対談から、健常者と障がい者がともに支え合うためのヒントを探ってみました。 問い合わせ先 障がい福祉課 電話21-1772 ファックス番号21-1776 普段の暮らしで感じていることは? 山之内さん ヘルパーさんと一緒に買い物に行って店員さんに話しかけると、店員さんが僕じゃなくてヘルパーさんに向かって喋り出すんです。僕がその場にいるのに、そこにいないような対応はやめてほしいなと思います。 溝ノ口さん 私も仕事上で同じような経験をしたことがあります。以前、自分が担当している仕事について尋ねて来られる方がいました。しかし、耳が聞こえないことが分かると、私の隣にいた同僚に向かって話を始めるのです。聴覚に障がいのある私に遠慮しているのかもしれませんが、疎外された気持ちになりました。 山之内さん あるイベントに参加しようとした時に「これは歩ける人たちのイベントで、歩けない人が参加しても楽しくないのでは」と言われたことがあります。気を使ってくれたのかもしれませんが、どうしたら一緒に楽しめるのかを考える姿勢がないと、差別されてるんじゃないかなとまで思ってしまうことも。 成合さん 支援する側の立場として、心掛けていることは「障がいのある人のできる力を奪わないようにする」ことです。障がいの種類も程度も違うので、それぞれできることが違います。だからこそ、できることはご本人たちにやっていただくようにしています。 大矢さん 発達障がいの息子がいるのですが、発達障がいも一人一人障がいの症状が違っています。発達障がいというひとくくりでまとめられたり、先入観だけで対応されたりすると悲しくなりますね。↓ 成合さん 障がい者のことを知らないから、先入観で行動してしまうのでしょうね。知っていただければ、変わってくるのかなぁと思います。障がいのあるご夫婦の話ですが、二人で買い物に行かれた時に「障がい者同士で結婚しているなんておかしい」と言われたそうです。外出した際に嫌な思いをしてしまうと、外に出たくなくなります。こういった対応は、地域で暮らす障がい者の生活の幅を狭めることにつながるのではないかと思います。 障がい者と健常者がお互いを理解するために必要なことは? 溝ノ口さん 健常者が宮崎市社会福祉協議会が行うふれあい福祉体験研修などに積極的に参加するよう促すことではないでしょうか? 年に1回だけでは足りないと思います。回数を増やして、障がい者を理解してもらう機会を増やすべきでしょう。 山之内さん 私たち障がい者のことをもっと知ってもらうためにも、障がいのある人はもっと外に出るべきでしょうね。確かに、健常者とのトラブルが起こることもあるのかもしれません。しかし、それらが気づきになって、社会の変化につながるのだと思います。 大矢さん 息子に、学校などでは、できないことがあるときは自分から手伝ってほしいと周りに伝えるよう言っています。 山之内さん 健常者が障がいのある人に対して、どう対応したらいいのか分からないのは当たり前です。分からないから距離を置くのではなく、普通に接してほしいんです。声を掛けられただけでも「良い1日だった。また外に出よう」と思う人はたくさんいます。 溝ノ口さん 回転寿司屋で注文しようとして困っていた時に、隣にいた手話のできる女性に助けられました。今でもよく覚えています。 山之内さん 10年以上前のことですが、帰宅途中、急に大雨が降り出しました。通りかかった高校生が傘を差して家まで送ってくれたことが忘れられません。 大矢さん 息子の登下校に、周りの人が声を掛けてくれるのは、助かりますし、うれしいです。 成合さん 車イスに乗っている人が落としたペンを拾ったことで、とても感謝されたことがあります。非常に些細なことだとは思いますが、感謝されるとこちらもうれしい気持ちになりますね。助けてほしいという意思表示があると、声を掛けやすいです。 「お手伝いしましょうか?」と声を掛けることはプライドを傷つけませんか? 山之内さん 私に声を掛けようとしている人の視線に気づくことがあります。困っているのではないかという顔で見守ってくれている人がいるんです。そういう時は私からも声を掛けやすいですね。大事なのはそこから会話が生まれることなんです。日常の中でのありきたりの会話だけど、自分も地域の一員であることを感じることができます。 大矢さん 声を掛けてくれたことで、問題が起こるわけではないので、気軽に声を掛けてほしいと思います。 成合さん 障がい者の身内である養護者などからもSOSを積極的に出してほしいです。一人で抱え込むことは決して良いことではありません。地域で助け合う社会を作るためにも、障がいのあることや、その悩みなどはオープンにしてほしいです。 山之内さん たくさんの人が関われることが大切ですよね。そのためにも、健常者と障がい者のお互いの会話が大事だと思います。 障害者自立応援センターYAH!DOみやざきの一室で対談  手話通訳者にも参加してもらい、対談は円滑に進行しました 障がい者総合サポートセンター相談支援専門員 成合栄子さん 市の聴覚障がい者相談員であり、自身も聴覚に障がいのある 溝ノ口光輝さん  発達障がいのある息子さんのお母さん 大矢亜矢さん 頸椎損傷のため、車いすで日常生活を送っている 山之内俊夫さん 障害者差別解消法とは? 障がいのある人の「障がいがあることで受けた差別」を解消し、障がいのある人もない人も分け隔てなく共に生きる社会の実現を目的として、障がいのあることで差別が起こらないようにする法律です。法では、「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮をしないこと」が、差別にあたるとされています。  国や地方公共団体、民間事業者などが対象ですが、広く市民の皆さんに法律の趣旨や内容についてご理解いただくことが、差別のない社会の実現に向け、大変重要なことです。 障がい福祉課 主査 山元利文 ↑上記の手話は「大切」という意味です。