===================933text0405=================== 特集1 AI時代を生き抜く! みやざきっ子よ、大樹のように育て 「GIGAスクール構想」のもと、5月中にすべての市立小中学校に高速大容量のネットワーク環境が整備され、すべての児童生徒にタブレット端末が配布されました。GIGAスクール構想とは、児童生徒一人一台の端末環境の整備を行うもので、子どもたち一人一人に「個別最適化された学び」を提供するものです。今後の子どもたちの学びについて、お伝えします。  市が全国に先駆けて設置した「宮崎市教育委員会教育CIO」に就任した神野元基さん。今回、ご本人に未来を生き抜くための教育についてお聞きしました。  今、教育で何を変えなくてはいけないと思いますか?  根源的な学びのあり方です。学校での学びと、社会に出てから思考しなくてはいけないことを合わせていきたい。問題には必ず正解があるというのが学校教育です。けれど、社会に出てから直面する問題は、何が正しい答えかわからないことや、 答えが無数に存在することもある。  安易に答えを求めることから脱却するために、探究型学習や「STEAM教育」が必要になります。STEAM教育とは教科を横断するような学びを指します。自分の立てた課題に対して、好奇心を爆発させ、試行錯誤し、自分なりの解決策を求めるものです。  実は、これは今初めて言われたことではないんです。「ゆとり教育」の時代に総合的な学習の時間で探究型の学びを目指したことがありました。けれど、PISA(国際的な学習到達度調査)で日本の順位が落ちて、既存の学力が低下したから、ゆとり教育はダメとなってしまった。  既存の学力を落とすことなく、今までと同じ量の知識を得たうえでSTEAM教育を行う。そのために活躍するのがAI型ドリルです。何がわかっていて、何がわかっていないかは一人一人バラバラ。AI型ドリルで生徒がそれぞれ学習することで、教室での集団授業では把握しづらかった個々の理解度の違いを確認することができ、だいたい半分の時間で学習することができます。そこでできた時間で探究やSTEAM教育をすることができる。未来を生き抜く力を得るために、学校の時間を使うことができるのです。  新しい産業を生み出すことができなくなっている日本が、もう一度立ち上がるための大事な要素の一つは教育。どんどん変化する未来、つまりAI時代を生き抜く力を子どもたちに身につけてほしいと考えています。  具体的に「生き抜く力」とは何だと考えていますか?  問題を発見し、解決する。これを延々とやり続ける力だと思います。自分自身でしっかり思考する力です。  宮崎市ではどんなSTEAM教育が展開していくでしょうか?  神話を語れる宮崎から、もう一度日本を考えることもできますよね。自然が豊かだということは、日本の原風景があり、一次産業があり、エスディージーズを肌で感じられる環境があるので深い考察ができる。宮崎市には学びの材料がたくさんあるんです。個人的には宮崎マンゴーはおもしろいコンテンツだと思っています。どうやって糖度が高くおいしくて、全国的に有名なマンゴーになり得たのか。農家の技術、地域経済、ブランディング手法など考えられることはたくさんあります。  今後、学校職員、保護者の皆さんと直接お話しして、子どもたちの未来をともに考えていきたいです。 プロフィール じんの げんき さん 北海道出身、36歳。慶應義塾大学総合政策学部在学中より、起業家として活動し、米・シリコンバレーでも起業。帰国後、AI型ドリル教材「Qubena」(数学、算数)を開発する。文部科学省中央教育審議会臨時委員として、GIGAスクール構想など今後の日本の教育の道筋を作る人物の一人となる。東京都在住。 ※STEAM教育とは 科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、アート(Art)、数学(Mathematics)の5つの領域を対象とした 理数教育に創造性教育を加えた教育理念。知る(探究)とつくる(創造)のサイクルを生み出す、分野横断的な学びのこと これからの宮崎市の子どもたちの姿 1 知識や技能を活用する力 2 協働する力 3 未来を切り拓く力(創造力) 4 学びに向かう力(主体性) 5 情報を活用する力 豊かな感性 思いやりの心 たくましい心 地域を愛する心 生きるための健康と体力 かけがえのない命 公民館など 家庭 地域住民 学校 地域団体 など 葉 幹 根 タブレット活用実践校に行ってきました! 潮見小学校 モデル校として昨年度は6年生が、今年度は1年生から6年生の全員がタブレットを使っています。この日は、4年生のクラスで算数の授業を見学しました。 1 児童たちがそれぞれのペースで問題を解き、タブレットに答えを書いていきます。書いた答えは先生のタブレットへ。先生は理解できている児童とそうでない児童の状況をデータで客観的に把握できます。 2 みんなの答えは児童の各タブレットで見ることができます。誰の答えかはわからないようにしています。みんなの答えを見ながらいろいろな考えがあることを共有できます。 3 タブレットを持ち寄って友だち同士で説明しあったり、わからない友だちに教えてあげたりすることも。タブレットには録音、翻訳機能なども付いているので、英語の授業などで活用することもできます。 タブレットの授業はとても楽しいし、わかりやすいです。発表する時に言葉だけでは説明しにくいことも、タブレットがあれば、それを図に書いて伝えることができるので、とても便利だなと思います。使い方でとまどう時もありますがもっと慣れていきたいです。 4年生 かじ たまき さん とてもよいツールだと思う理由は、まず児童全員の習熟度がよく把握できることです。以前はノートを一斉に集めて一つ一つ確認していましたが、今は保存されているデータで、児童がどの時点から理解できていないかをすぐに確認できます。また、昨年度は図工で、版画で彫りたい対象物をいろいろな角度から撮影してみたり、英語の発音を録音し何度も聞いたりしました。さまざまな分野で活用し、学びに広がりが出ればと思っています。 4年生担任 くろぎ ゆうき 先生 4 質の高い教育をみんなに 全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。 問い合わせ先 教育委員会 企画総務課 電話85-1857 ファックス番号44-5445