−−−−−−−−−−−−−934text0405−−−−−−−−−−−−− 特集1 ブックスタート事業開始から18年 絵本で育む親子のきずな ブックスタート事業とは?  7~8か月児健診などの機会に絵本を開く「楽しい体験」と「絵本」をセットでプレゼントする活動です。  抱っこのぬくもりの中で、絵本を読んでもらう心地よさやうれしさを「すべての赤ちゃん」に届け、幸せになれるようにと願いが込められています。 現在、配付している本はこの2冊 のせてのせて 文/松谷 みよ子 絵/東光寺 啓(童心社) 「じどうしゃです。はしりますよ。ブブー」「のせて、のせて」子どもとくるまにのりたがる動物たちのやりとりの愛らしさがたまりません。 ぴょーん 作・絵/まつおか たつひで(ポプラ社) 「かえるが…ぴょーん」「こねこが…ぴょーん」ページをめくると次々にいろいろな動物がジャンプします。くりかえしが楽しい絵本です。 宮崎市立図書館からのお知らせ 令和2年度は各医療機関の協力を得て、市内在住の多くの赤ちゃんに絵本をお渡しすることができました。昨年度、7~8か月児健診を市外で受けたため、絵本を受け取っていない方は下記までご連絡ください。宮崎市立図書館でお渡しします。 (問)市教育委員会 生涯学習課 宮崎市立図書館 TEL52-7100 FAX52-7158 7~8か月児健康診査 たかむら小児クリニックを訪ねてみました 健診のときに実際に絵本を読んで見せています  当院では、7〜8か月健診の後に私が実際に読み聞かせをしています。読んで見せると赤ちゃんは絵本に手を伸ばしてくるなど、反応します。それを見て、「絵本に反応した!」と感じるママやパパもいますし、いつも読んでもらっているお子さんは反応がいいので、改めて「絵本って大事なんだ」ということに気づいてもらえたらいいなと思い続けています。 絵本には子どもの成長が刻まれます  子どもは絵本の内容は覚えていなくても、ママやパパと絵本の時間を過ごしたという感覚は残ると言われています。また、大きくなって本棚から絵本を取り出して開いた時に、読んでくれていたママやパパのその時の顔を思い出すとも言われています。そんな思い出を作ってあげるのはすごく大切なことです。また、絵本には紙ならではの質感があります。触った感じや、紙の厚さ、そして、子どもはよく噛み、破るのです。これは紙の本だからできることで、タブレットなどではできません。五感を育みながら楽しめるのも絵本のよいところだと思います。 院長 髙村 一志さん 日本小児科学会認定小児科専門医、日本小児科医会「子どもの心」相談医、日本小児アレルギー学会・日本小児循環器学会・日本小児科医会・日本外来小児科学会会員、宮崎県小児科医会会長 お母さんにインタビュー 絵本は子どもを笑顔にしてくれる魔法のオモチャです Q ブックスタートの絵本プレゼントはいかがですか? A 3人目なので、ブックスタートは3回目になります。一人目の時は、絵本を読み聞かせしてあげようとは思うものの、どんな絵本がよいか分からず迷っていました。そんな時期に、ブックスタートで絵本をもらえて、ありがたいと思ったのを覚えています。「絵本の読み聞かせはいい」とよく聞きますが、実際にどんな絵本がいいかはなかなか分からないです。「ブックスタート」で、その月齢に合った絵本を教えてもらったことで、絵本を子育てに取り入れていくことができました。 Q 絵本を読むと子どもは喜びますか? A 絵本を読むと、子どもが反応してくれます。お気に入りの絵本を読むと、機嫌が悪かったのに、笑ってくれます。絵本は子育てをするのにとても助かっています。それに、言葉を覚えるのが早いなと思いました。ずっと読み聞かせをしていると、そのうち自分で読むようになり、今では、上の子が下の子に読み聞かせをしてくれます。図書館にはいろいろな絵本があるので、利用しながら、これからも絵本を読んであげたいと思います。 大塚絵美さん、愛莉ちゃん(7か月) −−−−−−−−−−−−−934text0607−−−−−−−−−−−−− 絵本専門士に聞く 絵本の楽しみ方  絵本に関する高度な知識、技能、感性を備えた絵本の専門家であり、子育て中のママでもある佐藤由紀枝さんに、絵本の楽しみ方について聞きました。 絵本専門士 佐藤 由紀枝さん 宮崎学園短期大学非常勤講師。図書館司書。読み聞かせや講演・講座(選書・修理など絵本に関することから、子育てや暮らしについて)など多岐にわたり活躍。2児の母。 絵本は子どもとのコミュニケーションツール  「絵本って便利」というのが、子育てを始めて最初に思った感想でした。初めての子育てにとまどい、日中、赤ちゃんと二人っきりの密室でどう過ごしていいか分からなかったんです。テレビばかり見せるわけにもいかないし…。そんな時、「絵本はコミュニケーションのツールとして使える」ことに気づきました。絵本には美しい日本語の言葉や表現があふれているので、〝言葉のシャワー〟をかけてあげられます。 お膝に抱っこして読んであげるのがおすすめ  赤ちゃんの視力は月齢とともに発達していきます。7~8か月はまだ発達の途中なので、ママやパパのお膝の上など、近い距離で読んであげるといいでしょう。読んでくれる人の顔を見上げて表情を楽しんだり、ページをめくる音や紙を触った感触を楽しんだりと赤ちゃんそれぞれのやり方で興味を持ってくれます。「読み聞かせをしなくては」と気負わず、「一緒に楽しもう」という感覚でいいと思います。 お気に入りの絵本はその子の宝物に  子どもによって気に入る本は異なり、気に入った本は何度も読みたがります。大人が好きな曲を何度も聞くのと同じですし、幼い子ども特有の「知っていることを確認したい、安心したい」という気持ちの表れでもあります。その時は何度でも読んであげましょう。好きな本に出会うまでは図書館を利用しいろいろな絵本を試して、お気に入りの本に出会えたら買ってあげるといいと思います。すり切れたページ、落書きした跡など、自分だけの絵本には子どもの成長体験が刻まれ、その思い出は大人になっても残っています。絵本には、当時の情景やにおいなどが記憶されるのだと思います。絵本を通して豊かな時間が心に刻まれていくといいですね。 絵本専門士・佐藤由紀枝さんが選んだ “お子さんと読みたい4冊♪” “赤ちゃんから小学生まで人気”で賞 はらぺこあおむし 作/エリック・カール 訳/もりひさし(偕成社) 小さなあおむしがチョウへと変化する様子を描いた絵本。指を入れたくなる穴あきの仕掛けや、鮮やかな色彩に赤ちゃんも興味津々。また、曜日や数字の概念、美味しそうな食べ物(食育)など、大きくなっても楽しめる要素がいっぱい。メロディーにのせて楽しむのも◎。 “寝かしつけによい”で賞 もりのなか 文・絵/マリー・ホール・エッツ 訳/まさき るりこ(福音館書店) 紙のぼうしをかぶり、おもちゃのラッパをもった“ぼく”は、森に散歩に出かけ、動物たちに出会います。モノトーンで描かれているので地味に感じるかもしれませんが、幼児の空想世界の広がりを感じることができる絵本です。落ち着いた声でゆったりと読んでみて。 “じっくりおうちで読みたい”で賞 バムとケロのにちようび 作・絵/島田 ゆか(文渓堂) サッカーも砂遊びもできない雨の日曜日。こんな日には、おうちでゆっくり本を読みたいのだけど…。読む度に新しい発見がある、細かく描き込まれた愉快な絵が楽しいシリーズの1作目。ゆっくりじっくり絵本を楽しんだ後は、山盛りのドーナツを手作りしてみては? “大人も懐かしい”で賞 ぐりとぐら 作/なかがわりえこ 絵/おおむらゆりこ(福音館書店) 50年以上読み継がれている定番絵本。読んでもらった記憶のある方も多いのでは? 野ねずみのぐりとぐらが作るカステラの美味しそうな匂いに誘われ、森の動物たちが集まってきて…。歌うように読む部分は、気負わず自由に楽しく読んでみましょう。 (問)生涯学習課 宮崎市立図書館 TEL52-7100 FAX52-7158