−−−−−−−−−−−−−934text11−−−−−−−−−−−−− 明日を見据える注目の人財をピックアップ キラリ! 川末紀功仁さん かわすえきくひとさん 宮崎大学工学部教授 農家の負担を軽減!  “豚の体重が見える眼鏡”  宮崎大学工学部で、頭に装着して豚を見るだけで簡単に体重を測定できるシステムが完成。人工知能(AI)と拡張現実(AR)技術を駆使した、“豚の体重が見える眼鏡”を中心となって開発したのが川末紀功仁さんです。川末さんは、もともとロボットの目を研究していましたが、宮崎大学への着任を機に、地域に根差した研究を考えるようになりました。「畜産県である宮崎を支えたい気持ちが強く、少しでも農家さんの役に立ちたいと思っていました。そんな時、豚の体重を測るシステムができないかという相談があり、これまでのノウハウをもとにシステム化できるのではと開発を始めました」と川末さん。初めは手に持って測るものを考えましたが、それだと記録者が必要。一人でもできるように、一年前に数値情報を表示する眼鏡「スマートグラス」と、測定用3Dカメラを頭に固定する現在の形を考えたのだそう。「3Dカメラで得られた豚の体高や胸囲など多くの特徴をもとに体重を推定。数値は瞬時にスマートグラスに表示されます」。現在国際特許を出願中で、製品化されれば農家の作業負担が軽減されるのでは、と注目を集めています。「このシステムをきっかけに畜産業への関心が高まり、就農者の増加につながるとうれしいです」。広がる可能性に期待が寄せられています。 「体重を推定するために、多くの豚のデータが必要です。今も協力してもらってデータを集めています」と語る川末さん。 「両手がフリーになるので、豚を見ながらほかの作業を同時にできます」と川末さん。 PROFILE 長崎県出身。1989年長崎大学大学院修了。博士(工学)。佐世保工業高等専門学校在職時にNHKロボットコンテストのチーム指導を行う。フロリダ州立大学在外研究員として勤務後、2000年から宮崎大学に着任。ロボット工学を専門に、画像による計測制御の研究を続けている。