===================944text0607=================== 特集2 ひきこもりについて考えよう 周りの理解とサポートが必要です 約20年前から社会問題となっているひきこもり。支援策など社会でのサポートも進んできています。今回はひきこもりの研究を続けている境泉洋(さかいもとひろ)教授にお話を聞き、ひきこもりについて正しく理解し、考えてみます。 監修&インタビュー 宮崎大学教育学部 境泉洋教授 境教授の詳しいインタビュー内容はこちら ひきこもりは誰でもなりうること 生きづらいときは助け合おう ひきこもりになるタイミングには不登校がありますが、そのほかにも就職ができない、就職するのがこわい、就職して頑張っていたけど体力が続かなくなり退職したなど、いろいろな理由があります。どの年代からひきこもり状態になってもおかしくありません。ひきこもりは特別なことではなく生きづらさから起こっています。生きづらさを感じたことがない人はいるでしょうか? 誰もがなりうることです。生きづらさを感じたら、または家族や身近にそういう人がいたら、抱え込まずに専門家に相談してみましょう。 ひきこもりは頑張りすぎた証 新しい生き方を始めようというサイン  「一度ひきこもると社会参加に戻れない」「ひきこもる前の生活に戻そう」という捉え方をみんなが変えることが重要です。ひきこもりは、それまでの生活に無理があったから起こるので、無理をしていたことが分かってよかったと考えると良いです。前の生活に戻そうとするのではなく、新しい人生を始めるスタートと切り替えましょう。  この考え方を本人、その家族、その人と接する周りのみんなが持つことが重要です。そうすることで、ひきこもるという状態と社会参加の壁がなくなります。ひきこもっていた人が新しい生活を始めようとするときは「新しい人生を楽しもうね」と声かけし、周りが支えることが大切です。 ひきこもりの子どもを持つ家族の会 「宮崎県楠(くす)の会(かい)」 ひきこもりの人とその家族をサポートする場として「宮崎県楠(くす)の会(かい)」があります。同会では、本人やその家族が情報を交換し合えるほか、講演会やセミナーなどを開催しています。こうした活動を通し、ひきこもりの人への対応や家族の心構えについて学び、本人とその家族が孤立せず、社会につながることを目的にしています。 母親と本人の声 楠(くす)の会(かい)に12年前に入会し、娘は1年前から参加しています。娘のひきこもりをどう解決できるかの「迷い」「不安」「助けて」という心の叫びをここで受け止めてもらいました(母親)。ひきこもりで外出できない私の代わりに母がいろいろな情報も持って帰って来てくれました。ひきこもっている本人は動けないことが多いので家族が社会とつながることで解決への糸口がつかめると思います(本人)。 宮崎県 楠(くす)の会(かい) (毎月1回定例会を開催) 家族の会 毎月第2日曜 当事者の会 毎月第3土曜 電話・ファックス 53-2666 増加する中高年のひきこもり 8050問題 近年増加しているのが中高年のひきこもりです。内閣府の平成30年度調査によると40から64歳のひきこもり状態の人は約61万人と推計されています。このうち、80代の高齢の親が、ひきこもる50代の子どもの面倒をみている状況については、「8050(はちまるごーまる)問題」と呼ばれています。市内でも、数十年間無職で母親の年金で生活をし、母親が他界後に兄弟に生活の支援を求めるなどのケースもあります。中高年のひきこもりは、親子で経済的・精神的に行き詰まってしまう、親が要介護状態になったときに生活が成り立たなくなるなどのリスクがあり、社会のサポートが求められています。 ※調査でのひきこもりの定義 身体的な病気の人を除き、半年以上家族以外とほとんど交流していない人。買い物などに出かけるほかは外出しない人。 若者 20代 49.0パーセント 30代 40.8パーセント 15から19歳 10.2パーセント 中高年 40代 38.3パーセント 50代 36.2パーセント 60から64歳 25.5パーセント 54万1000人 61万3000人 115万4000人 内閣府「生活状況に関する調査」(15歳から39歳は平成27年度、40歳から64歳までは平成30年度の調査)をもとに作成。 「ひきこもり8050 問題」「就職氷河期世代」理解促進セミナーの動画を宮崎県公式チャンネルで見ることができます。 ひきこもりに関する相談窓口 自立相談支援センター「これから」 開所時間 9時から午後5時まで 休日 土曜・日曜、祝日、年末年始 橘通東1丁目5-8 グリーンリッチホテル206 電話 42-9239 ファックス番号 29-6733 メール 10jiritsu@city.miyazaki.miyazaki.jp ひきこもり地域支援センター 開所時間 8時30分から午後5時まで 休日 土曜・日曜、祝日、年末年始 霧島1丁目1-2 電話 27-8133 / 44-2411 ラインでの相談も受け付けています ひとりで悩まずに、まずは相談してみませんか。誰かに話すことで気持ちが少し楽になるかもしれません。これからのことを一緒に考えましょう。 社会福祉第一課 中原亜寿沙 3 すべての人に健康と福祉を 生きづらさの解決方法を見出し、誰もが適切なサポートを受けられるようにする。 問い合わせ先 社会福祉第一課 自立相談支援センター 電話42-9239 ファックス番号29-6733