特集1 求ム!センパイパワー 「共働きで仕事の帰りも遅い」「近くに頼れる祖父母がいない」…そんな子育て世代の助っ人として、人生のセンパイである高齢者の皆さんの活躍が待ち望まれています。将来を担う子どもたちのために、パワーを発揮してみませんか? Part1 助けて欲しい子育て世代とセンパイ世代の現状 どうすれば高齢者の皆さんに、子育ての助っ人をお願いできるでしょうか。子育て世代と高齢者世代が意見を交わしました。 地域のエネルギーを保つためにも、60歳代の若手がもっと活躍していく必要があると感じています。 宮崎市老人クラブ連合会若手委員長 おがわさだのりさん 子育てだからといって構える必要はありません。今やっていることが必ず役に立つと思います。 長寿支援課 主任主事 くろぎみのり 私の周りの同世代は大半が共働き。親を頼りたくても頼れない事情があるなど、困っている人が多いです。 主婦 いちのせかなこさん 保育園や幼稚園、親族に次ぐ選択肢として、地域の高齢者を頼りにできるといいですね。 ファミリー・サポート・センターみやざき ふじきじゅんこ 元気で忙しくしている60歳代 地域活動の主体はより高齢に おがわさん:現在の老人クラブは大半が75歳以上で、私と同じ60歳代はほんのわずかしかいません。みんなまだ若いという意識でいますし、現役で仕事をしている人も多いです。また、公民館や民間の講座、趣味のグループなどコミュニティもたくさんありますので、わざわざ老人クラブに入らなくてもいろんな活動ができるようになっています。このことが60歳代の加入者が少ない理由だと感じています。 くろぎさん:元気で忙しくされている60歳代は多いですものね。 おがわさん: そうですね。でもその一方で、地域の活動はさらに上の世代が中心になり、新しい発想は出にくく、子育て世代の暮らし方や価値観とはズレが生じていると感じています。地域の活力を維持するうえでも、その間を取り持つことができる60歳代の力が必要です。 いちのせさん:私は転居したのを機に自治会に加入したのですが、総会に出席されている方が高齢者の方ばかりでびっくりしました。お元気な方ばかりですが、中心になって動かれるのは大変だと思います。 「子育て世代の多くは頼る先が少なくて大変」 子育て世代の多くが共働き 頼れる人が近くにいない人も ふじきさん:ファミリー・サポート・センターみやざきでは、おがわさんと同じ50から60歳代の方が中心になって、子育て世代のサポートをされていますよ。 おがわさん:どのくらいいるんですか? ふじきさん:援助会員として約500人が登録されています。それでもサポートを依頼される依頼会員の半数程度しか登録がなく、需要に追いついていないのが現状です。 いちのせさん:そうなんですね! ふじきさん:依頼の多くは、急に仕事が入ったけれど、近くに頼れる人がいないという切羽詰まったケースです。「週1回だけ保育園のお迎えをお願いしたい」「夕方の1時間だけ子どもの面倒を見て欲しい」といった依頼です。対応可能な方も限られますので、援助会員を増やす必要があります。 いちのせさん:私の周りの大半は共働き。親に頼りたくても、体調が悪かったり、親も仕事をしていたりしていて、そうした要望が多いのはうなずけます。援助会員が増えて、頼れる方が見つかりやすくなるとうれしいです。 「週1回、1時間でも子育て世代は助かる」 経験や資格は不要 できることは多くある おがわさん:私たちの世代は兄弟も多かったですし、地域のつながりにも恵まれていたように思います。それを考えると、今の子育て世代は大変ですね。特別な経験や資格がなくても、私たち高齢者にできることはいっぱいあるということですね。 いちのせさん:上の子の参観日に下の子の面倒を見てくださるだけでも助かります。 ふじきさん:困っている子育て世代がよりどころとして考えるのは、最初に保育園や幼稚園。次に両親などの親族です。できることならその次に、三番目の選択肢として地域の高齢者の皆さんが挙がるようになるといいですね。 くろぎさん:高齢者の皆さんは人生経験の豊富な「地域のセンパイ」。子育てのサポートだからといって特別に構えていただかなくても、これまでの経験や今やっていらっしゃることがそのまま子育て世代の役に立つということを、ぜひ知ってほしいと思います。 おがわさん:同世代の皆さん、地域で力を発揮していきましょう! 老人クラブ(さんさんクラブ) 課題 会員数は減少傾向で高齢化も進行  市の65歳以上の人口は、平成27年度に10万人を超え、全体の4分の1を占めるまでに増加しました。一方、おおむね60歳以上を対象とする老人クラブの会員数は年々減少しています。さらに、60歳代の会員数も比較的少なく、会員の高齢化も進行しています。 老人クラブ会員数 平成22年度 11,379人 平成27年度 9,588人 さんさんクラブとは 老人クラブの愛称。高齢者が生きがいづくりや健康づくりを通して、地域に貢献するために活動している組織です。現在は約200の老人クラブが各地域で活動しています。 問い合わせ先 長寿支援課 電話21-1773 ファックス番号31-6337 放課後子ども教室 課題 活動の指導者となる地域の人材が不足  地域住民のもつ豊富な知識や経験を子どもの居場所づくりに生かす放課後子ども教室では、子どもたちが地域社会の中で心豊かで健やかに育まれる環境づくりを進めています。しかし、その指導者となる地域の人材が徐々に不足しており、教室を開設する地域は年々減少しています。 放課後子ども教室の数(市内48校中) 平成21年度 34校 平成27年度 27校 放課後子ども教室とは 放課後に学校や公民館などを活用して、安全・安心な居場所を設け、地域の皆さんと学習やスポーツ、文化活動、交流活動などを行っています。全ての子どもが対象です。 問い合わせ先 生涯学習課 電話85-1834 ファックス番号85-0458 ファミリー・サポート・センター 課題 援助会員は依頼会員の半数止まり  近くに親族のいない世帯や、共働きなどの世帯にとって、急な仕事や用事が発生した際に子どもの面倒を見てくれる人がいることほど心強いことはありません。しかしセンターでは、依頼会員が毎年増加している一方で、援助会員がその半数程度にとどまっており、一時預かりや子どもの送迎のサポートなどの依頼に応えきれない状況です。 平成25年度 依頼会員数 886人 援助会員数 452人 平成27年度 依頼会員数 935人 援助会員数 485人 ファミリー・サポート・センターとは 子育ての援助を受けたい人(依頼会員)と、援助したい人(援助会員)をつなげることで、依頼会員が仕事と家庭を両立できるようサポートしています。 問い合わせ先 子育て支援課 電話21-1765 ファックス番号27-0752 求ム!センパイパワー Part2 元気に活動している 「地域のセンパイ」インタビュー! 市には、地域での子育てをさまざまな活動を通じて支えている「センパイ」の皆さんがたくさんいます。ここでは4人にスポットをあて、活動に至った経緯ややりがいなどについて、子どもたちの声も交えながら紹介します。 求ム! いろんな経験が生かせます! 子どもたちの考え方や発想に刺激をもらっています。 かわそえいつおさん  私は現役時代、小学校の教員をしていました。放課後子ども教室に参加したのは、当時の教え子から誘われたためで、毎月10日程度、1日約2から3時間を子どもたちと過ごしています。一緒に宿題をしたり、運動を教えたりするのですが、私たちも子どもたちの発想力や考え方に刺激をもらえて楽しいですね。子どもたちからスマホの使い方を教わることもあるんですよ。多世代で触れ合えるのが、何よりの魅力です。 メッセージ 教室には入学から卒業まで通う子がいます。子どもたちが飽きないよう、教える人も入れ替わって多様な経験を持つ人が活躍できるといいですね。 放課後子ども教室 写真左 やまだなるせさん(小学6年生) 優しく勉強を教えてもらえてうれしいです。私たちも年下の子たちに勉強を教えることがあるんですよ。 写真右 ますだあつりさん(小学5年生) 放課後子ども教室は、友達がいっぱいいるし、おじいちゃんたちもいっぱい遊んでくれるので楽しいです! 求ム! ほんの少しの時間でも役立ちます! 子どもたちと遊べるのが楽しみの一つです。 おかりょうこさん  私は専業主婦で、地域の活動とは縁遠いまま過ごしてきました。趣味も読書や裁縫などで、人と関わるのは決して得意ではなかったんですよ。それでも知人に老人クラブに誘われ、祭りの手伝いなどを通して友達が増えていきました。普段は子どもと触れ合う機会がないので、地域の子どもたちと仲良く遊べるのも楽しみの一つです。また、児童センターの子どもたちが手作りの誕生日カードを贈ってくれるなど、老人クラブの皆さんも子どもたちとの交流を楽しみにしています。 メッセージ ほんの少しでも私たちが子どもの相手になることで、親が息抜きしたり、親同士で会話する時間を作ることができますよ! 老人クラブ 左 やまもといちごさん(小学2年生) 1年生の時から児童センターに通っています。おじいちゃんやおばあちゃんが昔の遊びを教えてくれるのがうれしい! 右 はらだやえさん(小学2年生) 児童センターでおばあちゃんたちから花札を教わりました。難しい所がかえって面白くて、次に遊ぶのが楽しみ! 求ム! 友達同士や夫婦でもOK! 私たちの時より今の子育ては大変だと感じたんです。 よしだあつこさん  8年ほど前に、親族の1人に誘われたのがきっかけで、ファミリー・サポート・センターの援助会員に登録しました。昔から子どもの面倒を見るのが好きだったので抵抗はなかったです。娘も子育て世代なのですが、仕事の帰りが遅いことがあり、私たちの頃より大変だと感じていたことも動機になっています。私は依頼会員のお子さんを塾へ送ったり、自宅で1から2時間だけお預かりしたりしています。 メッセージ 今は友達3人も一緒に登録しています。1人だと都合が付かない時も、友達同士や夫婦だと援助できる機会が増えるのでお勧めですよ。 ファミリー・サポート・センター はらだりょうこさん 子どもに対して本当のおばあちゃんのようにかわいがっていただいています。 求ム! 見守り役がたくさん欲しい! 子どもたちや学校と関われることが私たちには宝物です。 くろきえい子さん  私は放課後子ども教室の活動に携わって5年目になります。教室では毎週水曜日の夕方に体育館でボール遊びやリレーなどを2時間ほど楽しんでいます。健康体操の指導者をしていることから、私の役割は主に子どもたちの運動能力アップの手助け。見守り役として参加してくださっている地域の皆さんと協力しながら活動しています。私たちの世代の大半は小学校や子どもたち、その親世代となかなか接点がありませんので、みんなで一緒に活動できるのは何よりの喜びですよ。 メッセージ 1回で70人近くの子どもたちを遊ばせるので、見守り役の大人も必要。運動の得意不得意に関わらず、多くの人に参加してほしいですね。 放課後子ども教室 左 かわむらみのりさん(小学5年生) 中 みやながあかりさん(小学5年生) 右 つごうらむさん(小学5年生) 地域の人たちが見守りに来てくれているので安心。普段は体育の授業以外で体を動かす機会が少ないから楽しいです!