===================957text15=================== みらいの宮崎を創る人 フォーカス VOL.3 せきぐち さとしさん 獣医学博士 家畜伝染病予防のための検査を可能にする環境に  宮崎で起きた口蹄疫のあとに宮崎大学に設立された産業動物防疫リサーチセンター。ここの防疫戦略部門長を務める関口敏さんは、家畜伝染病の正しい知識と検査の重要性を理解してもらうために、講演会や出前講座を重ね、安価で簡単な検査技術の開発にも従事。10年以上の啓発活動の取り組みが評価され、今年、科学技術分野の文部科学大臣表彰で科学技術賞(理解増進部門)において大臣表彰を受賞しました。「センター開設にともない宮崎大学に来ました。着任後、畜産農家などの現場に入ると、牛伝染性リンパ腫の被害が拡大していました。この感染症は感染しても無症状で、進行するとがんになります。被害を抑えるには検査をするしかないのですが、生産者は風評被害を恐れて検査に消極的でした。状況打開のために、県の獣医師や農協職員、生産者に出前講座などで理解を深めることから始めました」と関口さん。検査に前向きになるなかで、検査費用の負担も問題になりました。そこで、簡単で費用を抑えられる検査を開発し、県内の受託検査事業を開始。今では、年間2万件の検査依頼があるほどになり、県外の検査も進めるためにクラウドファンディングに挑戦、整備費用の捻出も図りました。「家畜の命を検査で守ることは、畜産業の発展だけでなく「食」の安全を守ることにもなります。宮崎で検査の成功例を作り、全国にも広げたいです」と思いを語ってくれました。 「表彰などで注目されることで、縁の下の力持ち的な産業動物の獣医師や畜産関係の仕事に、中高生が関心を持ってくれるとうれしいですね」と関口さん。 文部科学大臣賞の受賞を祝う、宮崎大学の農学部長や教授陣と一緒に。 PROFILE 埼玉県出身。宮崎大学農学部獣医学科准教授。同大学産業動物防疫リサーチセンター防疫戦略部門長。平成19年東京大学大学院農業生命科学科にて博士号取得。平成22年スイス・ベルン大学留学。平成24年から宮崎大学勤務。令和元年、県内農家を対象に家畜伝染病の受託検査事業をスタート。