宮崎市

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「橋」「時間」「ひと」「まち」小戸之橋架替えプロジェクト

1.7年半の取り組み

 平成25年に役割を終えた旧小戸之橋が、新たに生まれかわるまで、実に約7年半もの長きにわたり通行止めを要しました。

 これは、小学校低学年だった子供たちが成長し、通学で利用する、中学・高校生となるまでの年月で、この間、多大に不便をかけてきましたが、一方で、橋の重要性を再認識できる機会でもありました。

 そこで、小戸之橋の架け替えにあたっては、単なる建設事業を超えた、まちづくりとなるプロジェクトとして取り組んできました。旧橋への感謝や新橋に対する期待を、“記憶”や“かたち”に残し、旧橋から新橋に生まれかわる時間を繋いだ取り組みをご紹介します。

 

 

2.旧小戸之橋に対する50年間の思い

 小戸之橋は、現在4代目として生まれ変わりました。3代目であった先代の小戸之橋は、昭和38年に建設されて約50年間利用されてきたものです。

 平成25年11月1日をもって通行止めとしましたが、通行止めとなる午前0時の瞬間を迎えるにあたって、地域住民をはじめとする多くの方々が小戸之橋に集まってきました。感謝を叫ぶたくさんの声が響き渡る様子は、小戸之橋が如何に生活の一部としてとけこみ、たくさんの方々に愛されてきた橋であったかを切に感じる光景でした。

 新たな小戸之橋を完成させるまでの期間を、通行できない時間とだけにするのではなく、小戸之橋の存在が、「時間」や「ひと」、そして「まち」へと繋げていくものとして、完成するまで「楽しめる」ものであると実感できた瞬間でもありました。

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(旧小戸之橋の様子)

 

 

3.ありがとう小戸之橋さよならフェスティバル

  旧橋の通行止めをした翌日に、橋と河川敷を使い、感謝の気持ちを表した「ありがとう小戸之橋さよならフェスティバル」と銘打ったイベントを開催しました。

 橋上と橋下河川敷で、フードブース、軽トラ市、戦隊もの等のステージショーの他、地域の方々の協力もあり、地元神社の神輿が復活するなど、大いに盛り上がりました。また、橋上の中央部に、過去の小戸之橋の写真を展示したところ、たくさんの方々が足を止めて小戸之橋の移り変わりや思い出を語り合っていました。イベントの最後には、子供たちをはじめ、橋上に集まったたくさんの方々で一斉に風船飛ばしを行い、名残惜しい一時とすることができました。

 

  開催日:平成25年11月2日

  主催:ありがとう小戸之橋実行委員会

  当日来場者:約1万5000人(主催者発表)

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(写真左:左来場の様子、写真右:橋の上から風船飛ばし)                       

 

 

4.特別授業「橋(はし)について」の実施

 小戸之橋架替え事業の計画当初からご尽力いただいている方の1人に、熊本大学の小林一郎先生(現:熊本大学大学院特任教授)がいらっしゃいます。

 小戸之橋は、小学校3年生が高校1年生となる時に完成することとなりますが、通学や通勤等で新しい小戸之橋を最も利用するであろう、宮崎の未来を支える子供たちに、小戸之橋の架け替えを心に刻んで欲しいという小林先生の熱い思いから実現したのが、小戸之橋の両端それぞれにある小学校3年生を対象に行った特別授業です。

 この授業では、当時の小林先生の生徒となる大学生たちも手伝い、橋をテーマに世界各地の面白い橋、不思議な橋、そして新しくできる小戸之橋について、楽しくユニークな講義をしていただきました。

 

   実施日:平成26年10月17日

   小学校:潮見小学校および恒久小学校で実施

   対象:各小学校3年生の児童

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(写真左:特別授業の様子、写真右:特別授業の様子)

 

 

5.小戸之橋魚群アート

 旧橋が半分程が撤去されたところで、橋面を巨大なキャンパスと見立て、路上アートを行う取り組みをおこないました。今現在に繋がる「魚群アート」です。

 宮崎市で活動しているアーティスト有志が20名程集い、旧橋への感謝と別れ、そして新橋に向けた期待を込め、実物大のクジラを主役にした海の生き物を橋面上に描いていきました。旧橋が完全に撤去される工事着手前に1日だけ一般公開も行いました。

 時が移り、舗装を控えた新橋橋面上で、再び当時のアーティストが参集し、「小戸之橋との再会(希望)」をテーマに、家族となって帰ってきたクジラや様々な魚たちが描かれました。今回は、ワークショップ形式で、地域の子供たちも一緒になってたくさんの魚を描くことができました。

 新型コロナ感染拡大防止のため、新橋路上アートの一般公開には至りませんでしたが、様々な媒体を通して、魚群アートそのものや取り組みが紹介されました。

 橋面は舗装されましたが、クジラたちは橋の中でそのままに存在し続け、記憶の中で生き続けていくものとなっていきます。

 

制作期間(旧橋):平成26年10月14日~10月31日

制作期間(新橋):令和元年11月16日~令和2年3月24日

ワークショップ実施:令和2年1月19日、2月2日(延べ約160名の子供たちが参加)

 

 

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(写真左:旧橋アート作成の様子、写真右:旧橋アート)

新橋魚群アートの全景.jpg新橋魚群アートで実施したワークショップ.jpg

(写真左:新橋アートの全景、写真右:ワークショップの実施)

 

6.フォトストーリー/ポスターギャラリー

 魚群アートと同じく、旧橋が半分程が撤去されたところで実施したのが、「小戸之橋フォトストーリー」です。

これは、橋面上をロケ地と見立て、撤去中の旧橋に様々な年代の人々が集まり、いろんな表情をプロのカメラマンが撮影して記録として残したものです。そして、新しい橋が完成した時に、再び橋の上で同じ人々が集まり、同様の写真を撮り、旧橋と新橋を繋ぐ時間の移り変わりを写真を通じて楽しむというタイムワープを意識した取り組みです。

 ポスターとして作成し、撤去後のイベント等でも様々に活用しています。

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(写真左:旧橋にて平成26年11月撮影、写真右:新橋にて令和3年3月撮影)

 

小戸之橋美術館(ポスターとして制作。左:旧橋撤去時、右:新橋完成時)

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7.小戸之橋ストリートフェスティバル

 小戸之橋の架け替えを地域活性化に繋げるため、地元の方々が中心となって取り組み、毎年継続して開催され続けてきたのが、「小戸之橋ストリートフェスティバル」です。

 旧橋が完全に撤去された平成27年度に、新しく生まれかわる小戸之橋を、「待ってるだけじゃつまらない」という心意気で、赤江地域まちづくり推進委員会を中心に、地元の商店主も賛同して様々な企画を実現してきました。アーティストと商店主がコラボした画期的なポスター展示など、地域でお馴染みとなるコーナーの他、子供たちが楽しめるイベントを盛りだくさんに企画して実施してきました。

 なお、作業中であった工事現場にて直接橋桁内を案内する見学ツアーや、宮崎市が市民の皆さんからの挑戦を求める小戸之橋検定試験など、大人の方々にも大変好評いただいてきたイベントも毎年継続して行ってきました。

 

 メイン会場:赤江小学校

 主催・協力:赤江地域まちづくり推進委員会・宮崎市、小戸之橋安全協議会

 第1回開催:平成27年11月28日

 第2回開催:平成28年10月15日

 第3回開催:平成29年10月14日

 第4回開催:平成30年10月13日

 第5回開催:令和元年10月5日

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(写真左:オープニングの様子、写真右:会場受付の様子)

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(写真左:小戸之橋こどもクイズの様子、写真右:小戸之橋検定の様子)

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(魚の型枠作成の様子)

 

 

8.その他の取り組み

 

小戸之橋南北沿線のエリアマップの作成

 小戸之橋の架け替えを地域活性化に繋げるもう一つの取り組みが、小戸之橋を囲んだ地域の魅力を発信してみようという試みでした。

 小戸之橋周辺に点在する店舗をはじめとした様々な情報を網羅したエリアマップとなりましたが、これは、近くに住んでいる人でも知らなかった、気付かなかったお店や情報が掲載したものとなりました。なお、このマップは、お店の方々と共に紹介するものとしており、それぞれの店舗でも配布され、町の魅力向上のために利用してもらっていました。

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小戸之橋「橋カード」の作成

 小戸之橋の架け替えにあたっては、施工業者が主体となって、小戸之橋安全協議会を設置し、地域住民の理解を得ながら真摯に施工に取り組むと共に、小戸之橋架け替えに対して施工者の視点による魅力発信等のPRも展開してきました。

 その1つが、小戸之橋架け替えの施工内容を案内し、小戸之橋の施工進捗に合わせたその時々の写真とともに小戸之橋安全協議会等のホームページQRコードを明示した「橋カード」の作成です。イベント時や対外的な対応時に手軽に配付できるものとして有効に活用してきました。

 

小戸之橋工事現場リーフレットの作成

 小戸之橋安全協議会によるもう一つのPR活動として、小戸之橋の施工(作業)の様子等をプロのカメラマンに撮影してもらい、それをリーフレットに作成して、イベント時に紹介していく取り組みでした。

 カメラマンによる斬新な視点で撮影された写真は、当たり前のように渡っていた橋が、どれ程の技術と努力をもとに作られていた気付かされるとともに、小戸之橋の魅力と併せて発信させてきました。

 

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