朝のごちそう
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江戸時代から続く銘菓、
鯨ようかん

阪本商店

鯨のように大きく、たくましく

宮崎市の北部の佐土原という地に江戸時代から続く銘菓がある。父である佐土原藩主・島津忠高が25歳という若さで亡くなり、幼くして世継ぎ争いに巻き込まれた万吉丸(後の島津惟久)を想い、生母の松寿院が菓子屋に命じてつくらせたのが、その銘菓「鯨ようかん」の始まりと言われている。「鯨のように大きく、たくましく、力強く育ってほしい」という願いから、鯨に見立てた色と形のお菓子で古くから地元で愛されてきた。その鯨ようかんを作っているのは、現在市内に6軒ほどしかない。
昭和初期創業の阪本商店は、祖母から母、そして今の店主である阪本スエ子さんへと3代に渡って鯨ようかんを作り続けてきた。小さなガラスの棚に、昔懐かしい包装紙に包まれた鯨ようかんが並ぶ。次から次へと地元のお客さんたちが訪れ、一つ二つと、あっという間になくなっていく。お土産にする人も多いらしい。

阪本商店

竈門の炎、立ち上る湯気

阪本商店

阪本商店の鯨ようかんは、柔らかさとほんの少しの塩気を感じる絶妙な甘さが、地元の人々から多く支持されている。米粉を練り蒸してから、杵でつく。そうしてできた餅の生地を細長く伸ばし、前日から仕込んでいたこしあんを乗せ、艶を出すための水溶き片栗粉を刷毛で塗る。それをさらに蒸籠に並べ、しばらく蒸してから冷やし、餅の生地同士を合わせてから切ることで、鯨のような形と黒白黒の配色に仕上がる。
お店の裏の方では、スエ子さんの娘さんが手際よく鯨ようかんを作っていた。竈門の炎と蒸籠から立ち上る湯気、昔ながらの製法を少しだけ垣間見ることができた。阪本商店の朝は早く、明け方3時から仕込みをすることもあるそうだ。遠方に向かうために朝5時に買いに来るお客さんに合わせて仕込みをするそうだ。鯨ようかんは生菓子であるため、その日のうちに頂く方が良い。小さなお店だが、ひっきりなしにやってくる地元客の多さに驚く。お店に鯨柄の暖簾がかかっていたら、まだ販売中の目印。確実に手に入れたいなら、前日までに電話での予約がお勧めだ。

朝のごちそう

朝05

阪本商店

  • 宮崎市佐土原町上田島38-1
  • 0985-74-0795
  • 営業時間 8:00~売り切れるまで
  • 店休日 不定休
  • 昼のごちそう
  • 夜のごちそう
  • 深夜のごちそう
  • 自然もごちそう
食堂の窓のイメージ