
プックリふくよか椎茸めし

70年間つぎたしの煮汁
宮崎駅構内、改札口の隣に宮崎駅唯一の駅弁屋さんがある。元祖椎茸めしは、知る人ぞ知る名物駅弁だ。県外にもファンが多く、鉄道旅のお供に人気なのだそうだ。鶏そぼろと錦糸卵がかかった炊き込みご飯に、肉厚の椎茸が乗っている。宮崎県産の椎茸は、しっかりと煮汁をふくんでいて、甘くてふくよか。昆布・いりこと、ザラメ砂糖に薄口醤油、それから、70年つぎたしの煮汁でじっくりとやわらかく炊き上げる。甘すぎず辛すぎず、ちょうど良い味付けは昭和28年の発売以来変わらない味だ。

店頭には、日向鶏や幕の内弁当なども並ぶ
目の前のことに心を込める

椎茸めしの仕込みは、通常夜中2時からはじまる。朝早い時間にはお弁当を作り上げ、7時ごろには駅の売店にお弁当が並ぶ。店主の稲田さんは仕込みを終え、昼からは駅の売り場で販売もこなす。以前は仕込みだけしていたのだが、お客さまの声を直接聞くために売り場にも立つようになった。目の前のことに心を込めることを何より大事にしているのだそうだ。売り場のあちこちに、工夫をこらした商品説明のカードがおいてある。駅を行き交う人々は忙しい。だから良く聞かれる質問はパッと見て分かるように書いてあるのだそうだ。なるほど、弁当の中にも売り場にも、心が行き届いている。

昔懐かしい掛け紙は発売当時のもの