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350万人のウィルス性肝炎患者の救済を求める意見書

 わが国にはB型・C型肝炎感染者・患者が350万人もおり、その大半は、血液製剤の投与、輸血、集団予防接種における針・筒の使い回しなどの医療行為による感染、国の責任による医原病とされる。ウィルス性肝炎は慢性肝炎から高い確率で肝硬変・肝臓がんに進行し、命が危険となる重大な病気である。肝炎患者の大半はインターフェロン治療の助成以外は何の救済策もないままであり、病気の進行、高い治療費負担、生活困難にあえぎ、毎日120人ほどの患者が命を奪われている。感染に気付かず、治療しないまま肝炎が進行している人も少なくない。

 肝炎患者のうち、フィブリノゲンなど特定血液製剤を投与して感染したことが、カルテなどで証明できた薬害C型肝炎被害者にのみ、裁判手続きを経て国が給付金を支払う、「薬害肝炎救済特別措置法(以下「救済特措法」)」が平成20年1月に制定された。

 しかし、C型肝炎患者の多くは、感染してから長い年月を経て発症するので、気付いた時にはカルテの保存義務の5年が過ぎており、ほとんどの患者はカルテ等による血液製剤投与の証明が難しく、救済特措法による対象から除外されている。救済特措法制定の際の衆参両議院の付帯決議にあるように、1.手術記録、母子手帳等の書面、2.医師等の投与事実の証明、3.本人・家族等による証言によって、特定血液製剤による感染の可能性のある患者は薬害肝炎被害者として認め、救済特措法を適用し広く救済する枠組みにしなければ救済されない。

 また集団予防接種の際の注射器の連続使用によってB型肝炎感染被害を出した予防接種禍事件では、最終の司法判断が下され、国の責任が確定しているにもかかわらず、今なお係争が続いており、B型肝炎患者救済のために早期の解決が求められている。

 以上のようなB型・C型肝炎感染の経緯を踏まえて、国内最大の感染症被害をもたらしたことに対する国の責任が明記され、すべての肝炎患者を救済することを国の責務と定めた「肝炎対策基本法」が、平成21年12月に制定された。患者救済の根拠となる「基本法」はできたが、国の肝炎対策基本指針の策定、必要な個別法の制定、予算措置がなければ、患者の救済は進まない。よって、国会及び政府においては、これらの患者を救済するため、下記の事項について速やかに必要な措置を行うよう強く要望する。

  1. 「肝炎対策基本法」をもとに、患者救済に必要な法整備、予算化を進め、全患者の救済策を実行すること。
  2. 「救済特措法」による救済の枠組みを広げ、カルテ以外の記録、医師らの証明、患者・遺族の記憶・証言などをもとに特定血液製剤使用可能性のあるC型肝炎患者を救済すること。
  3. 集団予防接種が原因とされるB型肝炎患者の救済策を講じること。
  4. 肝庇護薬、検査費用、通院費への助成をはじめ、肝炎治療費への支援、生活保障を行なうこと。「肝炎対策基本法」が定めた肝硬変・肝臓がん患者への支援策を進めること。
  5. ウィルス性肝炎の治療体制・治療環境の整備、治療薬・治療法の開発促進、治験の迅速化などをはかること。
  6. 医原病であるウィルス性肝炎の発症者・死亡者に一時金、もしくは健康管理手当などを支給する法制度を確立すること。
  7. 肝炎ウィルスの未検査者、ウィルス陽性者の未治療者の実態を調査し、早期発見・早期治療につなげる施策を講じるとともに、ウィルス性肝炎への偏見差別の解消、薬害の根絶をはかること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成22年12月16日

宮崎市議会

  衆議院議長
  参議院議長
  内閣総理大臣
  総務大臣
  法務大臣
  財務大臣
  厚生労働大臣  殿

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