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現行の保育制度に基づく保育施策の拡充を求める意見書

 急激に進む少子化の一方で、経済不況などから保育所入所の要求は高まり、多くの地方自治体で待機児童が急増している。また、子育て不安などから子どもをめぐるトラブルも急増し、その環境整備は喫緊の課題となっている。

 政府はこうした情勢のもと、本年6月29日、少子化社会対策会議(全閣僚で構成)で、「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」を決定し、平成23年に児童福祉法などの関係法の改正を行い、平成25年からの実施を目指すとしている。

 この中で政府は、「子ども・子育て支援に関わる体制と財源の一元化」や「基礎自治体による自由な給付設計」、「多様な保育サービスの提供」などを実現するとしているが、実際には市町村の責任が限定され、財源の確保も十分でないことから、負担増によって利用したくても利用できない家庭や保育水準や保育の質の低下及び地域格差が生じることが危惧される。

 また、政府の「経済成長戦略」や「産業構造ビジョン」の中では、幼稚園や保育園の分野を今後の成長が見込まれる「市場」と位置付け、より一層の規制緩和を進めようとしている。これは児童福祉法第24条に基づく保育の公的責任の投げ捨てであり、子どもたちに地域や家庭によって格差を持ち込むものである。子どもたちの保育を受ける権利は等しく保障されなければならない。

 子どもたちが健やかに発達するためには、保育における国と地方自治体の公的責任が不可欠であり、「現行の保育制度に基づく保育施策の拡充」が重要である。

 よって、国においては保育制度改革の議論を進めるに当たっては、子どもの権利を最優先に、地方自治体の実情を踏まえた上で、国と地方自治体の責任のもと、充実した保育制度となるよう、下記の項目について強く要望する。

  1. 児童福祉法第24条に基づく現行保育制度を堅持・拡充すること。
  2. 地方自治体が待機児童解消に向けた保育所整備ができるよう、国が必要な支援と財政措置を行うこと。
  3. 直接契約・直接補助方式の導入を基本とした保育制度改革は行わないこと。
  4. 保育水準の低下につながる国の定める保育所最低基準の廃止及び引下げは行わず、国の責任において維持・改善を行うこと。
  5. 保育所、幼稚園、学童保育、子育て支援施策関連予算を大幅に増額すること。
  6. 子育てに関わる保護者負担を軽減すること。
  7. 民間保育所運営費の一般財源化は行わず、公立保育所運営費・施設整備費を国庫補助負担金に戻すこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成22年12月16日  

宮崎市議会

  衆議院議長
  参議院議長
  内閣総理大臣
  厚生労働大臣
  内閣府特命担当大臣(少子化対策担当)殿

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