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環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加に向けた協議に関する意見書

 野田内閣総理大臣は、本年11月11日、「TPP交渉参加に向けた関係国との協議に入る」ことを表明し、同時に「世界に誇る日本の医療制度、日本の伝統文化、美しい農村は断固として守り抜き、分厚い中間層によって支えられる、安定した社会の再構築を実現する決意である」とした。

 TPPは、物品貿易は原則関税撤廃とし、サービスなど非関税障壁についても高い水準の自由化をめざす包括的な経済連携協定とされている。先のTPP交渉参加国首脳会合ではTPPの「大まかな輪郭」が発表され、グローバルな貿易の新しい基準を設立し、来年中に協定を完成させようとしている。

 TPP交渉への参加には加盟国の同意が前提とされ、12月以降、高い自由化を要求し、多国籍企業をバックとした米国との事前協議が開始されようとしている。

 TPPは、農林漁業や農山漁村への打撃、食料自給率の低下だけでなく、20以上の交渉分野についても外国企業による医療・薬価制度や政府調達・公共事業への参入、食の安全基準の緩和、知的財産権、投資の自由化、郵政や共済の同等性などが含まれ、安い物品の流入増加によるデフレの加速化など国民生活や地域経済を破壊する危険性を持っている。

 韓国でも不平等な米韓FTAに対し、大きな反対運動が起き、TPP参加国でも労働条件や雇用の悪化に懸念を持っている。

 この間、政府は、TPP交渉に関する内容や参加国の要求や合意点、日本にどのようなメリット・デメリットがあるのかなどについて十分な情報提供を行わず、国民世論は二分され、多くの自治体が懸念を表明し、農業や医療、消費者団体など各層から強い反発が巻き起こっている。

 TPP交渉への参加に向けた協議については、日本の食料と地域の農業・水産業、医療や雇用、資源、土地など国民の財産を守り抜くために、参加しないことを強く要望する。

  1. 政府は、TPPによる影響試算について、各省ごとのものではなく、関税撤廃や市場開放による影響等について、統一性のある試算を作成・公表すること。
  2. 「世界に誇る日本の医療制度、日本の伝統文化、美しい農村をどう守り抜き、分厚い中間層によって支えられる安定した社会の再構築」をどうやって実現するのか、早期に明らかにすること。
  3. 政府は、食料自給率の向上や食料の安定供給を実現する観点から、「多様な農業の共存という基本目標、農業の多面的機能への配慮、輸出国と輸入国の不均衡の是正、開発途上国への配慮、消費者・市民社会の関心への配慮」を維持するとともに、農業・水産業分野の関税削減、国境措置の縮小は行わないこと。
  4. 米国主導の巨大なTPPに追従してアジアの成長を取り込むのではなく、アジア諸国との互恵的かつ柔軟な経済連携を追求するとともに、食料・環境・エネルギー分野での連携を強めること。
  5. WTO交渉や既存のFTA・EPAとの整合性をどうとるのか明らかにすること。

 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。

 平成23年12月14日

宮崎市議会

  衆議院議長
  参議院議長
  内閣総理大臣
  総務大臣
  外務大臣
  財務大臣
  厚生労働大臣
  農林水産大臣
  経済産業大臣 殿

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