第1回「都市部と宮崎をつなぐ交流会」開催レポート 〜宮崎の応援団を増やしたい〜
2025年8月29日(金)、宮崎市広島のMOC(宮崎オープンシティ推進協議会)にて、「都市部と宮崎をつなぐ交流会」が開催されました。本イベントは、宮崎市に支店を構える企業の転勤者を対象とした初の試みで、20社から約50名が参加しました。
会のテーマは「宮崎の応援団を増やすこと」。
従来は、「移住」といえば個人の意思による転居が中心でしたが、近年は転職やフルリモート勤務、企業方針による転勤など、これまでにない形で宮崎と関わる人が増えています。
「移住」という枠にとらわれず、仕事や企業を通じて宮崎に関わる人々が、宮崎の魅力や課題に触れ、「何かできることはないか」と考えるきっかけをつくりたいとの思いから、本会は開催されました。
冒頭、本会の趣旨を話す宮崎市都市戦略課 課長 吉瀬晋司
宮崎市の現状と今後の取組
宮崎市の現状と今後の取組を話す、宮崎市都市戦略課 公民連携推進室 室長 崎原秀利
最初に、宮崎市都市戦略課 公民連携推進室 室長 崎原秀利が登壇し、「空港が市中心部から近く、気候も温暖で、居住環境もゆとりがある」など、宮崎の魅力を紹介しました。
一方で、人口減少という課題に直面しており、2050年には35万人程度に減少すると予測されています。
こうした状況を踏まえ、「移住促進やキャリア形成の場づくりは、行政だけの取組では限界があり、地域や企業、個人と連携していく必要がある」と強調し、参加者に向けて「宮崎の良さや課題について気づいた点を教えてほしい」「宮崎の応援団となり、魅力を発信してほしい」「ファンを増やしてほしい」と呼びかけました。
講演:都市部と宮崎をつなぐ可能性
三菱地所(株)エリアマネジメント企画部 マネージャー / エコッツェリア協会 コミュニティ研究所長 田口真司氏
続いて、三菱地所株式会社・エコッツェリア協会の田口真司氏が登壇しました。
田口氏は、東京・大手町での街づくり拠点「3×3 Lab Future」の取り組みを紹介しながら、「都市の持続可能性は地域とのつながりなくしては成り立たない」と説明。都市部の生活は地方からの食料やエネルギー供給に依存する一方で、地方は人口減少や担い手不足という課題を抱えていると指摘しました。
また、宮崎県と同協会の連携事例を通じ、都市と地域の人材交流が生まれていることや、新しい街づくりの手法として「リビングラボ」の概念を紹介。地域を実証実験の場として企業や市民が共に課題解決に挑む仕組みは、宮崎にとっても「人や技術が集まり、新しい試みを受け入れる場」になり得ると語りました。
パネルディスカッション:都市部ビジネスマンと宮崎の多様な関わり方
続いてパネルディスカッションが行われ、ファシリテーターは引き続き田口氏が務めました。
パネラーとして、大阪でリノベーション会社を経営しながら宮崎でのまちづくり事業にも取り組む株式会社美想空間 鯛島康雄氏と、大手企業勤務の傍らリモートワークを活用して宮崎に移住し副業や地域活動に取り組む株式会社リクルート 和田花織氏が登壇しました。
(株)美想空間 代表取締役 / 大和郡山町づくり(株) 取締役 鯛島康雄氏
鯛島氏は「宮崎は自然環境に恵まれ、都市と地方の距離感もほどよい。事業のチャンスがあるだけでなく、ライフスタイルも豊かにできる」と語り、挑戦の成果が地域の魅力向上につながる循環を目指すと述べました。
(株)リクルート サスティナビリティ推進室ソーシャルバリュー戦略部社会共創グループ 和田花織氏
和田氏は「宮崎の人は寛容で、挑戦を温かく受け入れてくれる」と実感を語り、リモートワークや副業を通じ都市部とのネットワークを維持しながら地域に新しい価値を生み出せる可能性を示しました。
一般社団法人宮崎オープンシティ推進協議会(MOC)創発本部次長 島中翼氏
ここで、一般社団法人宮崎オープンシティ推進協議会(MOC)創発本部次長の島中翼氏が、MOCについて説明。
MOCとは、「MIYAZAKI OPENCITY COUNCIL(宮崎オープンシティ推進協議会)」の頭文字をとった名称
地域経済の活性化と活力ある経済都市の実現を目的に、スタートアップ支援や新規事業創出の促進、共創の場の提供などを行っており、出張者や転勤者が地域とつながるコミュニティ形成の場としても気軽に活用できると呼びかけました。
パネルディスカッションを通じ、宮崎での多様なキャリアの可能性やMOCを拠点とした地域との新しいつながりが生まれ、都市部や企業での経験を活かして地域に関わることで、挑戦が成果になり、その積み重ねで地域がもっと魅力的になることが確認されました。
ネットワーキング:参加企業からのメッセージ
会の後半は交流会が行われ、ケータリングを楽しみながら名刺交換や情報交換が活発に行われました。
交流会冒頭に挨拶をする、清山知憲宮崎市長
交流会の冒頭では、清山知憲宮崎市長より挨拶があり、参加企業の皆さまへの感謝の意を表すとともに、今回の出会いが今後の新たな連携や発展につながることへの期待が述べられました。
各参加企業からも挨拶があり、地域との連携や社会課題への取り組みに対する意欲が示され、宮崎の魅力発信や地域活性化につながる具体的な意気込みやアイデアも共有されました。
つながりが拓く、宮崎の新しい価値
第1回「都市部と宮崎をつなぐ交流会」は、宮崎の魅力や課題を共有し、都市部や企業との新たな連携を生み出す場となりました。参加者同士のネットワーキングや情報交換を通じ、地域との協働や事業機会の発見につながる具体的なアイデアが共有され、宮崎での挑戦を支える実践的なネットワーク形成の第一歩となりました。
今後も、この交流を契機に、多様な企業や人材が宮崎と関わり、新しいビジネスや公民連携、地域価値の創出につながることが期待されます。
開催概要
日時 |
令和7年8月29日(金)18:00~20:30 (受付:17:30~) |
会場 |
MOC 宮崎市広島1丁目5番13号 HAROW高千穂通1F |
参加者 |
20社 約50名 |
登壇者 |
和田 花織 氏 (株式会社リクルート / フルリモートワーク移住) 鯛島 康雄 氏 (株式会社美想空間 代表取締役 / 宮崎市地域活性化起業人 / 二地域居住) 田口 真司 氏 (三菱地所株式会社 / エコッツェリア協会 / 宮崎市地域活性化起業人) |
プログラム |
17:30~ 受付 18:00~ 主催者挨拶 18:05~ 宮崎市の現状と今後の取組 18:15~ 講演「都市部と宮崎をつなぐ可能性」 18:25~ パネルディスカッション「都市部ビジネスマンと宮崎の多様な関わり方」 19:10~ 乾杯あいさつ、歓談、自己紹介 20:30 閉会 |
登壇者プロフィール