宮崎市

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国文祭 こんこんと受け継がれる伝統芸能の魅力(前編)

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能楽の世界

2021年8月29日(日)/開演:14時00分/会場:メディキット県民文化センター 演劇ホール

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今日まで受け継がれてきた、日本を代表する伝統芸能の一つ、能楽。あまり馴染みのない人が多いかもしれませんが、現在はユネスコ無形文化遺産にも認定されるなど、世界からも注目されている象徴的な日本の文化です。

能楽はもともと、神事として行われていたもの。そのため動作の一つ一つには、神様を呼ぶ儀式として、大切な意味が込められているのだそうです。そんな神秘的な世界に触れることができる能楽の舞台を、今年は宮崎の地で、楽しむことができます。

宮崎県出身唯一の能楽師一家
今回お話を伺ったのは、『国文祭・芸文祭 みやざき2020』に参加される久保誠一郎さん。宮崎の能楽の文化は、もとより観世流の久保家によってひろめられてきました。重要無形文化財総合認定保持者でもある久保さんですが、実は宮崎県のご出身です。延岡生まれのおじいさまの代から、この流儀を継承されているのだそう。現在は福岡を拠点に活動されている久保さんですが、『国文祭・芸文祭 みやざき2020』へ参加することになったきっかけは、なんだったのでしょうか?

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「私が継承しているのは、能楽師シテ方観世流という流儀です。シテ方というのは、物語の主役の役割をする演者を指します。祖父が能楽師シテ方観世流の初代として延岡で始め、その跡を父がついで、それから私が。私は大阪の大槻文藏先生のところで、10年ほど住み込みの内弟子として修行をさせていただきました。その後宮崎に帰ろうと思っていたのですが、しばらく福岡で勉強している間にあっという間にもう20年になるのかな…。宮崎にはもちろんですが、他にも鹿児島や東京、大阪にもお弟子さんがおりますので、福岡を拠点として、毎週末指導に公演にと各地を飛び回っています。そんな中、今回この催しに参加することになったのは、宮崎のお弟子さんや自分が大学の講師として教えた学生たちに声をかけてもらったことがきっかけですね。宮崎で能楽の公演をするとしたら、各地から演者を集める必要があります。それができるのがもう、宮崎に地盤を持っている私しかいなかったんですよね。」

能楽を楽しむための入り口
今回久保さんのお声がけで集められた能楽師の方々は、二十六世観世宗家・観世清和師をはじめとする、そうそうたるメンバー。「宮崎でこんなに贅沢な先生方の公演を見られることは多分もうないですよ」と笑う久保さんに、それぞれが演じられる演目の見所についても、お話を伺ってみました。

「宮崎には多くの神話や伝説が残されていますが、能楽の演目の中で言えば宮崎にゆかりのある『景清(かげきよ)』や『桜川』などが知られていますね。ただ能楽の祭典で上演するには少し難しいかもしれないということで、今回のような『羽衣(はごろも)』や『石橋(しゃっきょう)』などの比較的馴染みのある演目を選ばせて頂きました。

私が出演する『養老』は舞囃子といって、お仕舞に囃子がつくものですね。『たかさご』とか、『ようろう』とか縁起のいい演目なので、お店の名前に使われる方も多かったようですね。」

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「『養老』は山の神様ですので、それらしく舞っていけたらと思っています」と久保さん。他には「羽衣」を観世清和先生。「石橋」では、大槻文藏先生が親獅子を、ご子息である大槻裕一さんが子獅子を舞われます。合間に入る狂言は「隠狸」という演目で、これは和泉流にしかないものなのだそう。

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「『石橋』は半能と言って、演目の中でも一番の見所を上演するものです。親獅子と子獅子が舞い戯れている様子で、華やかな演目ですので、純粋に楽しんでいただけると思いますよ。『隠狸』では、野村万蔵さんと、野村万禄さんのお二人が息のあった狂言を見せてくださいます。」

 実際に舞台に立たれている能楽師の先生から、直々に魅力を教えていただけるとはなんと贅沢なのでしょう!  後編ではさらに、今回の催しや能楽の魅力についてお話を伺っていきます!

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