宮崎市

ホーム宮崎市長のページ施政方針所信表明(令和4年3月定例市議会)

所信表明(令和4年3月定例市議会)

令和4年3月定例市議会での所信表明(PDF193KB)

 

市長に就任いたしまして、最初の定例市議会でございますので、私の市政運営について所信の一端を申し述べ、議員各位及び市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

私たちのまち宮崎市は、大正13年に宮崎町、大淀町及び大宮村の合併により市制を施行させてから98年が経とうとしており、2年後には一世紀を迎えます。
平成10年には中核市へ移行、平成18年の3町合併、平成22年の清武町との合併により人口約40万人、面積は約644平方キロメートルと、東京都23区の面積を上回る大宮崎市となっています。

地理的には、日向灘を北上する黒潮によって温暖な気候に恵まれ、白砂青松の一ツ葉海岸から亜熱帯植物の繁殖する青島、日南海岸へ続く長い海岸線は、南国宮崎という「まち」のイメージを形成してきました。

こうした自然環境、地理的な条件は過去も未来も不変のものであり、宮崎市の都市像を形成する重要な要素と考えます。事実、この恵まれた条件をいかした施設園芸を特色とする農業、そして観光やスポーツ産業は、本市の強みとして大きく発展してきました。

宮崎市役所前に銅像が立つ岩切章太郎氏は、まさにこの自然環境をいかした観光資源の開発に尽力され、本市の経済発展に大きく貢献されました。
今でこそ当然の着眼点のように思えますが、当時としては革新的な事業であり、岩切氏は宮崎市のポテンシャルを最大限に引き出したイノベーターであったと考えます。

今後も本市の海岸線や河川、山々などの魅力のある自然や気候をいかした新しい観光資源の開発、食産業の振興、さらにはコロナ禍の中で追い風を受けているアウトドア産業、ワーケーションといった新しい価値の創出に努め、対外的にも認知されている本市の観光・リゾートのイメージにふさわしいまちづくりに邁進してまいります。
そうすることで、市民の皆様がこの宮崎市に愛着を感じ、それぞれの幸せや豊かさを感じることができる、そうした都市(まち)を目指したいと思います。

一方で、宮崎市の経済、文化、福祉、教育さらには行政のあり方というものは、それぞれの時代を生きる人間の営みであり、時代とともに変遷いたします。

人口減少社会で様々な課題に直面する本市が今後も生き残るためには、今までの延長線上に安住することなく、変わり続けなければなりません。

いつの時代も、既存の枠組みにとらわれず、新しい価値を生み出してきたのは若者、よそ者、そしてイノベーターです。
逆にそれを阻害するものは、社会の閉鎖性、不寛容、保身的な態度であると思います。
将来の生き残りのために、今、若者たちへ投資をし、社会を開放し、リスクを伴っても挑戦をする人間を認めるような風土が極めて重要と考えます。

「将来世代への投資」、「開放的な社会」、そして「挑戦」。私は、そうしたキーワードを基本に宮崎市の諸施策を進めてまいりたいと考えます。

この視点に立ち、はじめに私が最重要課題と捉える2つの点について申し述べたいと思います。

まず1点目として、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症への対応でございます。

1918年のスペイン風邪以来の、世界的なパンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症は、まさに100年に1度の危機です。
人類の歴史は、感染症との戦いを語らずには成り立ちません。

14世紀にヨーロッパの人口の3分の1が死亡したというペスト、江戸時代から流行を繰り返していた天然痘、そして同じく昔から人類を苦しめてきた結核などです。
天然痘はワクチンにより撲滅し、産褥熱(さんじょくねつ)を含め多くの感染症が手洗いなどの手指衛生により激減し、結核やその他肺炎なども抗生物質の開発に伴い激減してきました。

新型コロナウイルス感染症においても、ワクチン、手洗い、マスク、そして感染経路を断つための三密回避が非常に重要となっており、この基本原則は今も昔も変わりません。
まさに市民の皆様と一致協力して、コロナとの戦いに臨みたいと思います。

さらに、対応の最前線となる保健所を持つ本市としては、市民の健康と命を守りながらも、社会経済へのダメージを最小限にするような、前例のない対応が求められます。
ワクチン接種、PCR検査、陽性者への対応や疫学調査など多岐にわたる業務を担う保健所に、全庁を挙げて支援する態勢で臨みます。

あわせて、経済対策については、これまで取り組んできた新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金等を活用した事業について効果を検証したうえで、真に支援を必要としている市民の皆様や事業者へあまねく行き渡るよう機動的に財政出動を行うとともに、行動制限の解除後は、消費喚起につながる新たな取組に向けて、例えば、公共空間の利用に係る規制緩和等も工夫しながら、一刻も早い経済回復を目指して果断に取り組んでまいります。

次に2点目として、政策を立案し、実行に移す全ての基本となる市役所組織の改革に臨んでまいります。
改革とは、単に市民受けを狙ったものでも、掛け声倒れになってもいけません。
派手さはなくとも、少しずつ、しかし着実に、職員の意識や働き方が変わり、その成果を市民の皆様が感じられるようなものにしていかなければなりません。

まずはそのために、市役所改革を推進するための部署を設置し、以下の3つの方針で進めてまいります。

1つ目に、前向きな市役所づくりです。
常に今までの常識を疑い、前例のないことでも果敢に挑戦する姿勢、できない理由よりもできる理由をまずは考える姿勢を職員に求めていきたいと考えています。
そのために、私自身がトップとしてその姿勢を示しながら、職員からの政策提案の仕組みの構築や外部の政策アドバイザーの力を借りることで取り組んでまいります。

2つ目に、成果主義の定着です。
今までの慣例や前例にとらわれず、従来の働き方や業務のあり方を再度見つめ直して、一つ一つの事業が市民にとってどのような成果につながっているのか、客観的かつ合理的な根拠を重視して、考え、実行できる組織を目指します。

この考え方の端緒となっているのが、郷土の偉人で、医師であり、実業家であり、また政治家でもあった高木兼寛先生です。
高木先生はビタミンを発見したわけではありません。
日本人医師として初めてイギリスへ留学し、ドイツ流の基礎医学、理論よりも、ベッドサイドで起きていること、社会で起きている現象を疫学という学問を通して観察し、そこから得られた洞察を社会政策へいかした、大変革新的な人物です。
戦艦筑波を用いて日本初の臨床試験を実行し、その結果を重視して日露戦争では海軍の食事内容を変えることで脚気の発症を大きく減らすことができました。

私はよくEBPMという言葉を使います。
このEBPM(エビデンスベーストポリシーメイキング)、根拠に基づく政策形成という考え方がようやく政府においても重視されるようになりましたが、EBPMの日本初の実践者こそ高木兼寛先生でございます。

改めて、あらゆる施策の原資は税金であるという意識を持ち、効果の測定ができる証拠やデータに基づいた政策立案を重視する組織づくりに努めてまいります。
また、このことが事業の有効性を高め、行政への信頼確保につながるものと考えております。

3つ目に、市民から信頼される市役所を目指します。
不祥事の言葉の定義は、組織にとって社会からの信頼を揺るがすような出来事です。
たとえ1件1件は事務処理ミスであっても、内容や説明次第では市民からの信頼は大きく揺らぐことになります。
確かに、人間とはミスをする生き物です。
100%完璧な人間はいませんし、私もそうです。
それを前提として、職員のミスが重大事につながらないような仕組みづくり、そして市民に対する説明責任の果たし方を外部専門家の視点も取り入れながら整理してまいります。

以上、2つの最重要課題について申し述べましたが、続きまして、主な分野ごとに所信を申し上げます。

はじめに、経済分野においては、市民生活に直結する社会資本整備に向けて、まずは私自身が機動的に動き、県や国等の関係機関との連携強化を図り、防災対策となるインフラ整備はもちろん、生活道路や橋梁の維持補修を着実に進めるとともに、幹線道路である国道10号住吉バイパスの早期事業化に向けて努力してまいります。

あわせて、今後、宮崎駅東通線の整備が進めば宮崎港とのアクセス向上が期待されますので、陸・海・空の総合交通網の更なる充実を図り、プロスポーツキャンプやカーフェリーの新船就航といった本市のアピールポイントを最大限発揮して、観光誘客や交流人口の拡大を図り、消費が地域経済へしっかりと波及する取組を進めてまいります。

また、コロナ後も見据えると、世界へ視野を向けて、アジアを含めた世界市場の活力を本市経済へ取り込む活動も急がれます。
まずは、コロナ禍で停滞している海外への販路拡大戦略を加速してまいります。

あわせて、本市内の外国人居住者にとりましても生活しやすい環境づくりや子どもたちの外国語教育の充実などを通じて、世界に開かれたまちづくりを推進してまいります。

そして、今後、本市経済が力強く成長していくためには、我々市役所の発想だけではなく、実際に経済を担う主体である民間との公民連携、さらには宮崎市の外からの視点も欠かせません。
このことから、外部人材を含めた宮崎市成長戦略会議を設置し、中長期的な経済成長のための方針、施策を議論していくとともに、観光資源の開発や公有地の有効活用、農畜水産物の6次産業化や販路拡大など、様々な場面において民間企業のノウハウや資源をいかすために、公民連携の窓口を一元化してスピーディーに対応してまいります。

あわせて、デジタル分野における新たなビジネスの創出、既存のモノ・サービスの付加価値向上を見据え、デジタルファースト宣言の準備を行ってまいります。
今後の社会において、国のデジタル田園都市国家構想に則したデジタル化の取組は絶対に避けては通れないものであり、力強く推進するための庁内体制も整えてまいります。

次に、福祉につきましては、SDGsでも掲げられている「誰一人取り残さない」社会づくりが叫ばれる中、行政の役割はますます重要になっています。

急速な少子高齢化が進行する中で、地域のお年寄りの生活を最前線で支える介護職の方々の社会的意義を尊重し、その重要性を十分に周知しながら、介護現場の労働力確保に努力してまいります。

また、新型コロナウイルス感染症流行期においては、福祉施設等における感染者発生時の対応支援や移動できない施設入所者に対するPCR検査支援等を検討してまいります。

さらに、障がいのある方々が地域社会で共に生活し、自立して活動していくための環境づくり、そして重度障がい者や発達に特性のある子どもたちへの支援体制についても充実を図ってまいります。

あわせて、児童虐待などの事案に機動的、一元的に対応するための児童相談所の設置に向け、その検討を始めるとともに、宮崎県中央児童相談所への職員派遣を継続し、市としての経験を蓄積してまいります。

次に、教育・子育てについてであります。

学校現場における教職員の業務は年々増しており、本来、子どもたちの学びの中心である授業の準備に割く時間が失われています。
職員の業務軽減や保護者の負担軽減、そして子どもたちの学びの充実に向けて予算措置も含めて検討するとともに、小中学生の頃からプログラミング等へ慣れ親しむため、民間事業者とも連携したデジタル教育の拡充について検討してまいります。

また、少子化が進む中、子育て支援のサービス充実と予算の確保は欠かせません。
放課後児童クラブの待機児童解消に向けた取組や子どもの貧困対策、子どもたちが学び、遊ぶことのできる場の整備・充実に努めてまいります。

続いて、男女共同参画についてでございますが、私は、女性の活躍という概念はますます重要になっていると認識しています。

女性の皆さんがその個性と能力を社会において十分に発揮できるよう、社会参画へ向けた意識啓発、そして女性リーダーの育成へ向けた研修機会の充実を図ってまいります。
男性も育児休暇をしっかりと取得し、共に子育てを取り組むことで女性の立場や子育てへの理解が進むものと考えますので、まずは職員から推進してまいります。

また、女性の健康支援の視点から、女性特有の病気で、マザーキラーとも言われる子宮頸がんの撲滅に向け、HPVワクチンの正確な情報発信、そして希望者への接種環境を整えることが非常に重要であると考えます。
特に、今後、国の制度による接種時機を逃してしまった高校2年生、3年生の接種希望者について、接種費用の自己負担の軽減策を検討してまいりたいと考えております。

最後に行財政改革についてでございます。

まず、公約に掲げておりましたアリーナ構想の中止については、これまでに連携していた事業者への説明など、速やかに手続を進めてまいります。

次に、市役所庁舎の建て替えについては、改めて私の責任において今までの経緯を精査し、トータルコストや機能性、またカーボンニュートラルなど多面的な観点から市民の納得のいく形で検討を進めてまいります。

また、大規模施設で申しますと、大型の娯楽・教育施設の乏しい本市において、子どもたちの学び・遊びの場としてとても重要な施設である宮崎市フェニックス自然動物園や宮崎科学技術館の老朽化対策及び「災害に強いまちづくり」推進のための防災拠点として整備する消防庁舎の着実な移転など、目の前の諸問題に取り組んでまいります。

そして、稼ぐ市役所を目指して、ふるさと納税事業の強化はもちろん、市の関連施設における収益力アップへの取組、また市役所業務の合理化、デジタル化に伴う経費削減にも力を入れてまいります。

以上、市政運営における私の所信を申し述べました。

先般の市長選挙におきましても、市政へ変化を求める市民の声が非常に大きいことは間違いありません。

私自身、宮崎市の中心市街地に生まれ育ちましたが、かつてのにぎわいが失われ、同世代の友人を含む多くの若者が街を去っていったのを目の当たりにしてまいりました。
また、社会の高齢化が進む中において、医療者として、高齢者の皆様が生活をし介護を受ける現場、そして、看取りの瞬間まで立ち会う経験を重ねてきました。
さらに、近年はコロナ禍に見舞われ、本市を取り巻く環境がますます厳しくなっていることは間違いありません。

そうした時代を生き抜くため、我々は絶えず努力し、変わり続けなければなりません。環境の変化を受け止め、力強く成長、発展する意欲を持ちながら、一方で支援を必要としている市民の皆様への目線を忘れないことを心に誓い、市政運営に全力を尽くしてまいりたいと考えます。

何とぞ、議員各位をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

 

このページのトップに戻る