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施政方針(令和6年3月定例会)

令和6年第1回宮崎市議会定例会の開会に当たり、提出案件の説明に先立ち、新年度における施政方針を申し述べさせていただきたいと存じます。

本年は、宮崎市が発足して100年という大きな節目の年でございます。

本市の歴史を紐解くと、明治以前の宮崎の中心は、かつて上別府村等の村落が点々と存在する、寂しい農村に過ぎませんでした。

明治時代、県庁が設置されたことを契機に各地から移住者が定着し、徐々に市街地が形成されてまいりました。市制が発足した大正13年の頃には人口は4万人を超え、その都市生活の醸し出す雰囲気は明るく伸び伸びとし、南国的な風土とともに極めて開放的であったと市制30周年記念誌には記されています。

宮崎町、大淀町、そして大宮村との合併に至る経緯は決して平坦なものではなく、各町会での激しい議論、町民大会の開催、さらには県知事の斡旋もあるなか、国鉄日豊本線の全線開通、後の昭和天皇のご成婚といった慶事のタイミングで合併の話がまとまったようです。

その市制発足から100年という年月が経過しました。昭和の戦争、高度経済成長を経験しつつ、本市は周辺町村との合併を重ね、市域は大きく拡大をし、人口は40万人に到達しました。

しかし近年、ベビーブーム世代の高齢化と出生率の低下に伴い、人口構成は高齢者が多くを占める形へと変化しました。そして、デジタルが当たり前の環境で育った若い世代の価値観は、人口の変化以上の速さで多様化、複雑化しています。

人口構造の変化に起因し、あらゆる分野における人材の不足、社会保障費の急増、公共施設・インフラの老朽化といった問題が顕在化しています。児童相談所への相談件数の増加、不登校児童生徒の増加、未婚化・晩婚化といった問題は、従来の社会制度が現代の家族のあり方、子どもたちや若者の価値観と適合しなくなってきていることのあらわれでもあると考えます。

こうした課題を次の世代へ先送りすることなく、各事業や制度の根本的な見直し、市民負担の見直しや財源の確保等に取り組んでいるところでございますが、先ほど申し上げた変化へ対応するにはまだまだ十分ではないという認識を強く抱いております。

100年後も、この宮崎に暮らす次世代の人々が幸せに暮らすことができるよう、その礎を築く責任が我々にはございます。本市の基礎を築き上げてきた先人の皆さまに感謝申し上げながら、次の本市の100年を確かなものとするため、さらなる改革を進めてまいる決意でございます。

それでは以下、具体的な政策の方向性について申し述べます。

まず、本市の将来にわたる持続可能性を高めるためには、地域経済の成長が何より欠かせません。

経済を力強く成長させる原動力は、いつの時代も、新しいモノ、サービスを世の中に生み出そうとする野心、貪欲さ、強い衝動だと考えます。それは、競争のない閉じられた環境で生まれるものではなく、人、モノ、カネ、情報が活発に行き交い、あらゆる挑戦が認められるオープンな環境で促されると信じています。

そこで、昨年12月には「(仮称)宮崎オープンシティ推進協議会」の創設を発起人の一人として表明したところでございますが、官民それぞれの立場で協力し合いながら、県内外の人・組織との交流、ローカルスタートアップの支援や地元企業の成長へ向けた環境づくりへ積極的に取り組んでまいります。

また、まちづくりにおいては、本市の都市としての可能性をさらに広げる試みとして、宮崎オープンシティまちづくり計画(案)を策定いたしました。

本市は、中心市街地への都市機能の集積と、周辺に広がる豊かな自然という二面性を有しています。それぞれの特徴を活かし、都市としての魅力、価値を高め、外部からの移住や投資を呼び込む必要があります。

まずは、まちなか投資倍増プロジェクトと題して、すでに取り組んでいる駐輪場・駐車場附置義務条例の廃止に加え、容積率及び斜線制限の緩和と固定資産税等の軽減という3本の矢、さらに、中心市街地の市道整備と、ほこみち制度の導入に向けた県との連携を推進してまいります。

次に、市民の皆様の健康増進と介護予防を図る取り組みについては、できる限り科学的根拠に基づく施策を推進してまいります。

新型コロナウイルス感染症は、5類感染症へと移行したものの、引き続き流行期には感染対策の徹底が必要です。ワクチンの接種体制も含め、今後も起こりうる健康危機への対応力を高めてまいります。

また、社会で活躍中の女性を襲う子宮頸がんを効果的に予防することのできる、HPVワクチンについては、令和6年度がキャッチアップ接種の最終年度でございます。引き続き、可能な限りの接種率向上に向けてあらゆる施策を講じてまいります。

このほか、要介護認定審査業務のDXを進め、脳血管疾患やフレイル予防については、介護予防手帳の配布や健幸体操を通じて推進してまいります。

次に、子ども政策についてでございます。

昨年10月に、本市は「こどもまんなか応援サポーター」宣言を行いました。まちの未来を担う子どもたちへの教育と支援は、まさに、まちの未来への投資であると考えます。

児童虐待への対応や障がい、健全育成にかかる相談、そして、社会的養護を必要とする子どもたちへ一元的に対応するため、市立児童相談所の設置を昨年表明いたしました。今後、すでに設置いたしました児童相談所のあり方検討会での議論を踏まえ、建設場所の候補や基本計画など必要な手続きを進めてまいります。

また、共働き世帯の子育てを支えるために非常に重要な放課後児童クラブについては、待機児童解消や開設時間の延長に向けたプロジェクトチームを立ち上げ、一定の成果が見えてまいりました。令和6年度は、一部の児童クラブの開設時間の拡充、定員の拡大を図ってまいりたいと考えておりますが、残された課題についても引き続き解決に向けて積極的に取り組んでまいります。

さらに、不登校の児童生徒への支援については、教育支援教室の増設、オンライン相談体制の確立、さらに、学びの多様化学校の早期開設に向けて取り組んでまいります。

このほか、市内小中学校のトイレ洋式化については、引き続き予算の確保に努めるとともに、発注方法についても工夫を重ね、令和6年度中に半数以上のトイレの洋式化を目指します。

次に、市役所改革については、3年目を迎えました。

昨年策定した「宮崎市職員行動基準」の浸透を図るとともに、組織の抱えるリスクについて部局長へのヒアリングや、事務処理誤り等の全件公表とその分析、改善策の実行に引き続き取り組んでまいります。

職員の働き方については、全庁業務量調査の結果に基づく各種事務の抜本的見直し、フレックスタイムの拡大、職場環境のデジタル化、デスクのフリーアドレス化、職員作業服のリニューアルなどを通じ、業務効率化と市民サービスの向上を図ってまいります。

また、おおよそ70年ぶりとなる新庁舎の建設にあたっては、持続可能なまちづくりを支える機能的な庁舎という理念に沿い、市民の利便性や職員の生産性を念頭に、災害対応拠点としても十分に機能するよう検討を進めてまいります。

次に、地域まちづくりについては、本市では地方自治法に基づく地域自治区制度を採ってまいりましたが、令和7年度よりこの地域自治区制度を廃止し、新たに、地域まちづくり推進委員会を中心としたまちづくり制度へ移行したいと考えております。

地域まちづくりの担い手不足や地域団体の組織力の低下といった課題の解決に向け、若い世代や活動意欲のある個人やグループを発掘・育成するための仕組みづくりや地域コミュニティ活動交付金の有効活用、地域の負担軽減など財政支援の見直しに取り組んでまいります。

次に、行財政改革についてでございます。

様々な政策を進めるにあたりましては、財源の確保が重要となります。国や県などの補助制度の積極的な活用を図るとともに、ふるさと納税の更なる推進にも取り組み、今年度は1月末時点で約77億円のご寄附をいただいているところでございます。

また、複雑・多様化する地域課題の解決を図るためには、民間による新たな発想や活力を積極的に取り入れる必要があることから、公民連携の手法により新たな付加価値を生むための取組についても推進してまいります。

さらに、域内経済の成長、投資の増加による税収増を図ることができるよう、企業誘致や事業用地の確保、規制緩和の手法を効果的に活用してまいります。

結びに、4年間の市長としての任期も折り返しを迎えたところでございます。

市長選挙の公約の多くは1年目に着手をし、着実に結果へ結びつけているところでございますが、就任後のこの2年間で数多くの市政の課題が明らかになったところでございます。

令和6年度当初予算案にはそれらの課題解決に向けてようやく具体化できた事業がいくつかございますが、まだまだ道半ばであるという思いを強く抱いております。事業の着実な執行とともに、引き続き、次の100年の本市の発展と市民の笑顔のため、誠心誠意努力してまいる所存でございます。

何とぞ、議員各位をはじめ、市民の皆様の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。

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