令和7年第1回宮崎市議会定例会の開会に当たり、提出案件の説明に先立ち、新年度における施政方針を申し述べさせていただきたいと存じます。
昨年は、宮崎市が発足して100年という大きな節目の年でありました。記念式典や「SMILE MIYAZAKI 100年祭」をはじめとする様々な事業を通して、多くの市民の皆さまと共に市制100周年を祝うことができ、大変嬉しく思います。
さて、本年は戦後80年の節目を迎えます。終戦以来、先人のたゆまぬ努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられたことに感謝を申し上げるとともに、今後も平和で豊かな社会を次の世代へ繋いでいくことをお誓い申し上げます。
また、本年は全ての団塊の世代が後期高齢者である75歳以上になります。かねてより2025年問題として社会保障費の増大や医療・介護分野をはじめ、あらゆる分野における人手不足が懸念されてきましたが、まさに今、その課題が現実のものとして我々の前に立ちはだかっています。
本市では年内に高齢化率が30%の大台を超え、後期高齢者の人口も6万7,000人に達すると想定されています。そして今後も高齢化はさらに進むと同時に、少子化も進行し、人手不足は深刻化します。
このような状況に対応するため、出生率の維持・向上を図る施策や、若い世代を中心とする多くの人々に選ばれるまちづくりを通して、本市における人口減少を抑制していく必要があります。また、同時に重要なことは、人口減少下においても社会機能を維持していくため、あらゆる分野における生産性向上に資する取組を行うことです。
これらの点を踏まえ、本年4月を始期とする第六次宮崎市総合計画の中で、特に人口減少対策に焦点を当て、喫緊に取り組むべき施策を重点プロジェクトとしてまとめております。
以下、具体的な政策の方向性につきましてご説明いたします。
本市のさらなる発展の基盤となるのは、力強い経済です。経済成長の源泉の一つであるイノベーション創出のため、昨年創設された一般社団法人宮崎オープンシティ推進協議会は、本年4月から拠点を置き、運営するとともに、ローカルスタートアップの発掘・育成、地域企業のイノベーション創出支援に取り組んでまいります。
また、本市は市民一人当たりの所得が低迷している現状にあります。この現状を打破するため、投資額が大きく産業の裾野が広い製造業の誘致を見据え、水源調査をはじめ産業用地の確保に必要な施策を推進してまいります。
力強い経済の実現には、多様な人材の活躍が不可欠です。本市に所在する企業において、若者や女性、高齢者、外国人がより一層活躍できる環境整備のための啓発活動や支援に一層注力してまいります。また、市街化調整区域の居住要件を緩和することで、子育て世代をはじめとする市民の居住環境を充実させ、ひいては本市への移住促進を図ってまいります。
まちづくりにつきましては、昨年度策定した「宮崎オープンシティまちづくり計画」の第2弾として一ツ葉・木花地区における土地利用の規制緩和を実施いたします。これにより、民間企業による開発を促進し、本市の魅力向上と経済活性化を図ります。
また、長年取り組んでまいりました宮崎駅東通線は、来年度末に全線開通する運びとなりました。宮崎駅と宮崎港という本市の二大拠点が結ばれることで、都市機能の利便性が更に向上すると考えており、宮崎港の整備促進につきましても、これまで以上に国及び県への働きかけを強化してまいります。
次に、市民の皆様の健康増進と介護予防の取組につきましては、科学的根拠に基づいた施策を推進してまいります。
まず、市民の三大疾病の罹患率と死亡率の低減を図るため、「禁煙・減塩・運動」の3本柱を軸とした施策を展開してまいります。女性の命と健康を守るためのHPVワクチンにつきましては、第1回目の接種率が昨年12月末現在で67.9%に達しました。国におけるキャッチアップ接種が条件付きで延長されたことを受け、引き続き接種率向上に向けた取組を進めるとともに、女性への感染防止と男性のがん予防を図るため、男性へのHPVワクチン接種も本市独自に推進してまいります。
災害への備えにつきましては、昨年の能登半島地震、そして本市で発生した日向灘を震源とする地震や台風による突風被害により、多くの課題が明らかになりました。本年度、防災・減災推進会議により課題と対応策を検討してまいりましたが、備蓄品の拡充や環境整備など、災害への備えを加速してまいります。
また、地域における防災力強化は重要ですが、その基礎となる自治会の加入率は50%を下回っている状況です。自治会加入促進検討会からの報告書の内容を踏まえ、あらゆる方策を講じて自治会加入率の向上を図ってまいります。
子ども政策につきましては、(仮称)みやざきこどもセンターの建設に向けた具体的な手続きを進めるとともに、専門職の確保と職員の専門性向上に努めてまいります。
教育の観点からは、海外派遣の機会を拡充するほか、子どもたちの視野拡大を図るため、宇宙科学等の特定の専門分野を高いレベルで深く学ぶことのできる機会を設けてまいります。
また、小中学校のトイレ洋式化につきましては、来年度以降更に整備を加速し、令和9年度末までに75%以上の洋式化を目指します。
そして、将来にわたって持続可能な社会を残していくためには、脱炭素社会・循環型社会の構築が不可欠です。国の交付金も活用しながら、「ゼロカーボンシティみやざき」の実現を目指してまいります。
以上、人口減少対策のための様々な施策につきまして述べてまいりましたが、これらの推進には財源の確保が不可欠です。宿泊税につきましては、昨年、検討委員会にご検討いただき、税率は定額で200円が妥当であるとの答申をいただきました。これを受け、導入に向けた具体的な検討を進めてまいります。
ふるさと納税につきましては、おかげさまで現時点で過去最高となる120億円を超えるご寄附をいただいております。全国からご寄附いただいた皆様に心より感謝申し上げます。今後ともふるさと納税のさらなる推進に努めるとともに、ふるさと納税を活用した地域産品の開発にも力を入れてまいります。
市役所改革につきましては、市長就任以来3年間、市役所改革推進ビジョンや職員行動基準の策定など、最重要課題の一つとして取り組んでまいりました。これらの取組の定着を図るため、定期的に職員のエンゲージメント調査を実施し、組織風土改革に努めてまいります。
職員の働き方改革につきましては、6月から開始予定の開庁時間短縮や、生成AIの活用促進などにより、更なる業務効率化と時間外勤務の削減を進め、市民サービスの向上に繋げてまいります。
最後に、市役所新庁舎及び新消防庁舎の建設につきましても、引き続き着実な推進に努めてまいります。
結びに、4年間の市長としての任期も最後の1年となりました。議員の皆様をはじめ、市民の皆様の御理解、御協力をいただき、市長就任後の3年間で市長選挙の公約の多くに着手し、着実に成果を上げてきましたが、冒頭に申し上げたとおり、本市はこれから更に少子高齢化による深刻な課題に直面してまいります。
これまでの取組の延長線上には、その打開策はなく、あらゆる既成概念や制約に捉われないオープンマインドを持ち、開かれたまちづくりを推進することが必要だと考えます。そのため、第六次宮崎市総合計画の将来の都市像を「挑戦し、成長する開かれたまち ~OPEN CITY MIYAZAKI~」と定めました。
本市の次の100年を見据え、前例に捉われず、自由闊達な議論を展開し、市民の皆様の御理解と御協力を得られるよう努め、必要な事業の展開や制度の見直しに取り組んでまいることをお誓い申し上げます。
何卒、議員各位をはじめ、市民の皆様の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。