発達障がいとは
発達障がいは、生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態です。そのため、養育者が育児の悩みを抱えたり、子どもが生きづらさを感じたりすることもあります。
発達障がいには、自閉スペクトラム症(ASD:自閉症、広汎性発達障がい、アスペルガー症候群)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障がい(LD)、チック症、吃音などが含まれます。同じ障がい名でも特性の現れ方が違ったり、いくつかの発達障がいを併せ持ったりすることもあります。
発達障がいがあっても、本人や家族・周囲の人が特性に応じた日常生活や学校・職場での過ごし方を工夫することで、持っている力を活かしやすくなったり、日常生活の困難を軽減させたりすることができます。
発達障がいの種類
自閉スペクトラム症(ASD:自閉症、広汎性発達障がい、アスペルガー症候群)
主なサイン・症状
言葉や視線、表情、身振りなどを用いて相互的にやりとりをすることが苦手 / 自分の気持ちを伝えるのが苦手
相手の気持ちを読み取ったりすることが苦手 / 特定のことに強い関心をもっていたり、こだわりが強い
感覚が過敏である / 目を合わせない / 指さしをしない / 微笑みかえさない / あとおいがみられない
ほかの子どもに関心をしめさない / 言葉の発達が遅い / こだわりが強い / 一人遊びが多く集団活動が苦手
かんしゃくを起こすことが多い / 自分の興味のあることには、毎日何時間でも熱中することがある
初めてのことや決まっていたことが変更されることは苦手 / 偏食が強い
治療・支援方法
幼児期には、個別や小さな集団での療育を受けることによって、対人スキルの発達を促し、適応力を伸ばすことが期待されます。視覚的な手がかりを使ったり、先の見通しを持ちやすく提示したりすることで、子どもは安心して過ごしやすくなり、情緒的にも安定してきます。そのなかで基本的な日常生活のスキルや言葉や言葉以外の手段を通したコミュニケーションのスキルを獲得していきます。
自閉スペクトラム症の子育てには様々な工夫が必要ですが、支援者や医療関係者などの専門家とともに、子どもの歩みを養育者とともに見守り、考えていきます。 自閉スペクトラム症を治癒する薬はありません。睡眠や行動の問題が著しい場合や、てんかんや精神的な不調に対して、薬物療法を併用する場合もあります。精神的な不調が現れる前にストレス要因や生活上の変化がなかったかなどを確認し、環境調整を試みることも大切です。
注意欠如・多動症(ADHD)
主なサイン・症状
発達年齢に比べて、落ち着きがない / 待てない(多動性・衝動性) / 注意が持続しにくい
作業にミスが多い / 座っていても手足をもじもじする / 席を離れる / おとなしく遊ぶことが難しい
しゃべりすぎる / 順番を待つのが難しい / 他人の会話やゲームに割り込む / 学校の勉強でミスが多い
課題や遊びなどに集中し続けることができない / 話しかけられていても聞いていないように見える
やるべきことを最後までやりとげない / 課題や作業の段取りが苦手 / 整理整頓が苦手
宿題のように集中力が必要なことを避ける / 忘れ物や紛失が多い / 気が散りやすい
計画的に物事を進められない / 他のことを考えてしまう / 感情のコントロールが難しい
治療・支援方法
幼児期・学童期には環境を整えて集中して課題に集中しやすいようにする、褒め方を工夫するなどの方法で、増やしたい行動を増やすのが基本です。
勉強などに集中しないといけないときには本人の好きな遊び道具を片づけ、テレビを消す。集中しないといけない時間は短めに、一度にこなさなければいけない量は少なめに設定し、休憩をとるタイミングをあらかじめ決めておく、やらないといけないことはToDoリストに書いたり、簡潔にわかりやすい言葉で伝えたりすることも大切です。
ADHDについて知り、増やしたい行動や減らしたい行動を整理し、うまく褒めながらよりよい行動を導いていくためには、養育者のスキルを伸ばすことや同じように頑張っている親同士のつながりや心の支えが大切です。
環境調整や行動からの取り組みを行っても日常生活における困難が持続する場合には薬物療法を併用します。薬物療法は症状を緩和するもので根治的な手段ではありませんので、効果と副作用のバランスに注意しながら選択します。成人になってからも、作業にミスが多かったり、行動を計画的に順序だてて行うことが苦手、いつも心が落ち着かない、感情のコントロールが苦手などの症状があることもあります。子どもと同様に、環境調整、行動療法や薬物療法が実施されます。精神的不調を伴っている場合には、その治療も併せて実施されます。
学習障がい(LD)
主なサイン・症状
全般的な知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなど特定の事柄のみが困難
治療・支援方法
学習障がいの子どもに対しては、教育的な支援が重要になります。読むことが困難な場合は大きな文字で書かれた文章を指でなぞりながら読んだり、文章を分かち書きにしたり文節に分けることも有用です。音声教材(電子教科書)を利用することも可能です。
書くことが困難な場合は大きなマス目のノートを使ったり、ICT機器を活用したりすることも可能です。計算が困難な場合は絵を使って視覚化するなどのそれぞれに応じた工夫が必要です。
学習障がいは、気づかれにくい障がいでもあります。子どもにある困難さを正確に把握し、決して子どもの怠慢さのせいにしないで、適切な支援の方法について情報を共有することが大事です。
チック症
主なサイン・症状
(すべて、思わず突然に)・思わず素早い身体の動きや発声が起こってしまう / 飛び上がる
自分の体や足を叩く / 突然しゃがむ・おなかに力をいれる / 単語をいう
治療・支援方法
まばたきをする、顔をしかめる(運動チック)や咳払いや舌打ち(音声チック)などのチックが一時的にあらわれることは多くの子どもにみられることです。そのため、特に指摘をせず、経過をみます。しかし、多彩な運動チックと音声チックが1年以上にわたり強く持続し、日常生活に支障を来すほどになることもあります(トゥレット症)。
症状は典型的には10~15歳ぐらいに一番強くなりますが、成人になっても強い症状を継続することもあります。トゥレット症は、体質的なチックで、その症状を制御することはごく短時間しかできません。そのことをまず周囲の人が理解することが大切です。チックが現れそうな衝動が起こったときにチックと拮抗するような動きをする(ハビットリバーサル)や薬物療法が実施されます。トゥレット症に有効性が認められた薬は日本にはありませんが、統合失調症の薬などが有効であることが知られています。
吃音
主なサイン・症状
滑らかに話すことができない / 音を繰り返す / 音が伸びる / なかなか話し出せない
治療・支援方法
よくある誤解は、吃音が厳しい子育てや本人の精神的な弱さの結果であるというものです。就学前にみられる吃音は数年の間に軽減することが多いのですが、長期に持続する子どももいます。吃音は体質的な要素が強いことが知られています。からかいやいじめの対象となっていないか、また学校などの発表などの場面が本人の苦痛となっていないかを把握し、環境調整を行うことが大切です。吃音の治療として、言語聴覚療法や認知行動療法が実施されます。
ライフステージごとの支援
発達障がいに関する相談窓口と支援内容を、発達段階ごとにまとめたリーフレットを作成しました。
ライフステージごとの支援(発達障がい編) (PDF 241KB)
主な相談先等
<発達障がいに関する総合的な相談>
相談員が相談に対応し、関係機関と連携のもと個々に応じた支援を行っています。
宮崎県中央発達障がい者支援センター
住所:宮崎市清武町木原4257-7(ひまわり学園内)
電話:85-7660
H P:https://www.m-sj.or.jp/shiencenter/
【宮崎市基幹相談支援センター】
宮崎市総合発達支援センターおおぞら
住所:宮崎市新別府町久保田657-4
電話:21-1975
H P:https://miyazaki-oozora.jp/
宮崎市障がい者総合サポートセンター
住所:宮崎市花山手東3-25-2
電話:63-2688
地域生活支援センターすみよし
住所:宮崎市島之内7217-1
電話:30-2524
江南よしみ地域生活支援センター
住所:宮崎市古城町南川内676
電話:64-1033
各種助成に関する相談
宮崎市障がい福祉課 医療福祉係
住所:宮崎市橘通西1-1-1 本庁舎1階
電話:21-1772
障がい福祉サービス等に関する相談
宮崎市障がい福祉課 認定サービス係
住所:宮崎市橘通西1-1-1 本庁舎1階
電話:42-6442
関連リンク
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html
宮崎県
https://www.pref.miyazaki.lg.jp/shogaifukushi/kurashi/shogaisha/20200909131204.html
ユニバーサルデザインの視点を取り入れた分かる!できる!学校全体で取り組む授業の土台づくりハンドブック(宮崎県ホームページ)
https://www.pref.miyazaki.lg.jp/ky-tokubetsushien/kurashi/kyoiku/20211007163009.html
発達障害ナビポータル
国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター
https://www.rehab.go.jp/ddis/understand/whatsdd/