妊娠おめでとうございます。 出産・育児に備えて、赤ちゃんの発育や母体の健康に気をつけた食事を心がけましょう。 1日3食規則正しく食べる習慣や栄養のバランスのとれた食生活はとても大切です。 お母さん、お父さん自身の食事、生まれてくる赤ちゃんの食事について、一緒に考えてみませんか?
目次
1. 食生活のポイント
妊娠すると、体が大きく変化していきます。 「体重のコントロールが難しい」、「貧血って言われたけど、どうすればよいの?」などなど食生活の注意点をまとめました。
1-1.妊娠期・授乳期の食事
1日3食おいしくバランスよく
胎児の成長と母体の健康維持のため、妊娠中は十分なエネルギーと栄養素が必要です。いろいろな食材を使い、主食・主菜・副菜をそろえるとバランスが整います。産後は、慣れない育児を支えるための体力づくりや母乳の分泌などにも、十分な栄養が欠かせません。バランスのよい食事を心がけましょう。
出典:厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」リーフレット (PDF 1.52MB)
主食・・・ごはん、パン、麺
炭水化物を含み、体を動かすエネルギーになる
主菜・・・肉、魚、卵、大豆および大豆製品
タンパク質が豊富で、からだの骨格、筋肉、皮膚などになる
副菜・・・緑黄色野菜、淡色野菜、きのこ、海藻類
カロテン・葉酸・カルシウム・鉄・食物繊維などが多く含まれる。
体重管理は適切に
太り過ぎると→妊娠高血圧症候群や糖尿病、難産等のリスクが高まる。
体重が十分に増加しないと→低出生体重児の出生、切迫流産・早産等のリスクが高まる。
「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」に、妊娠前の体格をもとにした体重増加の目安が示されているため、参考にしながら適切な体重管理を目指しましょう。産後は、すぐに無理なダイエットで体重を落とそうとはせずに、過食を避け栄養のバランスに気をつけましょう。
出典:厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」リーフレット (PDF 1.52MB)
貧血予防に鉄分を。葉酸・カルシウムもしっかりと
妊娠中は鉄をたくさん必要とするため、貧血になりやすくなります。鉄分の多い食品を意識してとりましょう。
<葉酸摂取の効果>
- 胎児の神経管閉鎖障害のリスクを軽減する。
- 胎児や乳児の成長を促す。
- 妊娠中のママの貧血予防。
カルシウムは、体の機能の維持や調節には欠かせないミネラルの一つ。妊娠中は、赤ちゃんの骨や歯を作るために必要なため、毎日しっかりとりましょう。
出典:厚生労働省「ママのための食事BOOK」(PDF 3.33MB)
参考:3.おすすめレシピ集「葉酸が手軽にとれる」もぜひご覧ください!
妊娠高血圧症候群の予防
妊娠中は、塩分の代謝が下がるため、塩分をとりすぎるとむくみが出ます。妊娠高血圧症候群の主な特徴は、高血圧・たんぱく尿です。妊娠20週以降にあらわれ、乳児の発育や母体に影響を与えます。十分に睡眠をとり、疲れたときは、楽な姿勢で横になるようにしましょう。重症化予防には、適切な体重管理・適切なカロリー摂取・塩分管理などが必要です。「塩分1日6.5g未満」を目安にうす味に取り組みましょう。
参考:3.おすすめレシピ集「野菜たっぷり減塩レシピ」もぜひご覧ください
<減塩のコツ>
- 昆布・かつおぶし・しいたけなどのだしを使う
- 酢・梅干・柑橘類で酸味をきかせる
- 調味料は計って使う
- しょうゆやソースなどはかけずに小皿などでつける
- みそ汁は具だくさんにして味噌を少なくする
- 香辛料(生姜・こしょう・とうがらしなど)で香りをきかせる
つわり対策
食欲不振、嗜好の変化、嘔吐、胃腸障害などつわりの症状が現れたら、ゆったりとした気持ちで、体を休め、食べたい時に食べられるものを食べ、つわりがおさまり、食欲が出てくるのを待ちましょう。
参考:3.おすすめレシピ集「つわり対策あっさりレシピ」もぜひご覧ください!
水銀について
魚は、良質のたんぱく質等を多く含み、積極的に取り入れたい食材ですが、種類により比較的多くの水銀が含まれ、偏って大量に食べると、胎児の発育に影響を与える可能性が指摘されています。魚の種類と量を考えて食べることが必要です。
食中毒について
妊娠中には、リステリア菌やトキソプラズマ(寄生虫)のような食中毒に、一層の注意が必要です。食材は十分に洗い、加熱して食べるようにしましょう。
タバコ・アルコール・カフェインについて
タバコもお酒もNGです。妊産婦さんだけではなく、周囲も禁煙を。飲酒は、妊娠・授乳期ともに、この量なら大丈夫という指標はありません。摂取は控えましょう。 カフェインのとりすぎにも注意しましょう。コーヒーなど1、2杯なら問題ありませんが、ルイボスティーやたんぽぽコーヒー、ハーブティーなどノンカフェインの飲み物がおすすめです。
出典:「ママのための食事BOOK」(厚生労働省)(PDF 3.33MB)
産後の栄養のポイント!
産後は、出産時の疲労が残っていたり、赤ちゃんのお世話や授乳もあり、水分不足や疲れもたまりやすくなります。体の回復のためにも、良質な母乳のためにも、妊娠中と同様、主食・主菜・副菜をそろえ、栄養バランスよく食事をとるようにしましょう。
1.たんぱく質・ビタミン類をとる
-良質のたんぱく質、鉄分、カルシウム、葉酸など
2.母乳をスムーズに出すために脂肪分を控える
-白身魚や大豆製品、脂肪分の少ない食品を
3.辛すぎる、刺激の強いものに注意
-母乳の味に影響がでる可能性があるため控える
4.水分を十分にとる
-授乳中は母乳に水分がとられるため、水分不足を補いましょう
-糖分の入っていない水やお茶をしっかりと
手間をかけずに楽しい育児ライフを
育児中心の生活では、食事をゆっくり作る暇もなく忙しい毎日ですが、時間がずれても1日3食しっかりとるために、手を抜けるところは抜いて、時短料理で家事をうまく回していきましょう。
【時短のコツ】
- 肉や魚は購入後、すぐに下処理や下味をつけ、小分けして冷凍する。
- 野菜やきのこは小分けして冷蔵、冷凍する。
(食材ごとに保存してもよいが、煮物、汁物、炒め物、鍋物などに切り分けておくと、料理の際に時短になる) - 副菜は2種類くらい常備しておくと便利。
(夏なら1~3日、冬なら2~5日で消費できる量を一気に作るなど) - 調理用具や洗い物を減らすには、電子レンジで加熱する。
【常備菜・作り置きの例】
- 主食なら→お好み焼き、炊き込みごはん、しらす菜飯など→たくさん作って冷凍しておく
- おかずなら→アスパラの肉巻き、ピーマンの肉詰め、鮭の南蛮漬け、オムレツなど
- 野菜なら→人参のマリネ、キャベツのコールスロー、きゅうりの生酢、ポテトサラダなど
動画で見る時短のコツ!
動画の中で紹介しているレシピはこちらでご確認ください。
1-2.妊娠中に避けたほうがよい食べ物・飲みもの
おなかの赤ちゃんの体は、妊婦さんが食べたものを栄養としてつくられています。バランスのとれた食事が一番ですが、妊娠中避けたほうがよいものもあるため、気をつけましょう。
妊娠中避けたほうがよいもの食べ物・飲みもの (PDF 203KB)
ママのからだの変化と栄養
おなかの赤ちゃんを育み、ママも元気に健康的な食生活を始めましょう!
2. 1日に何をどのくらい食べたらいいの?
主食を中心に、主菜と不足しがちなビタミン・ミネラルが豊富な副菜(野菜・きのこ・海藻類など)をそろえられるとよいですね。詳しくは、厚生労働省の「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」をご覧ください。
出典:厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」リーフレット (PDF 1.52MB)
出典:厚生労働省「健やかなからだづくりと食生活BOOK」 (PDF 1.95MB)
3.おすすめレシピ集
「妊娠期・授乳期」に不足しがちなカルシウム、鉄、葉酸など手軽にとれるレシピ集です。うす味で、野菜たっぷりなヘルシーメニューがそろっています。妊娠をきっかけに、健康な食事に取り組みましょう!
3-1.カルシウムたっぷり!
カルシウムは、赤ちゃんの骨や歯を形成するために大事な栄養素。血圧上昇を抑える作用もあり。また、こむらがえりや不眠症の予防にも。妊娠したら特に意識してとるようにしましょう。
メニュー例
<メニュー>
- さくらご飯
- えびと豆腐の水餃子
- もずく酢和え
- おろしのスープ
- かぼちゃようかん
<作り方を見る>
吸収率のNo.1は牛乳
吸収率の高い牛乳は毎日とりたいもの。他にも小魚乳製品、大豆、大豆製品などに多く含まれるため、カルシウムの多い食材をバランスよく組み合わせて。
組み合わせが大事!
ビタミンD(干ししいたけ、サケ、さんま等)とビタミンK(青菜、海藻類、納豆等)はカルシウムの吸収を助けます。カルシウムを含む食材と一緒に食べると効果的。また、出産後も母体の回復や母乳のためにも積極的にとりましょう。
3-2.葉酸が手軽にとれる
ビタミンB群のひとつで水溶性ビタミン。赤血球を作り出す働きがあり、胎児の神経管欠損という先天性異常のリスクを軽減します。葉酸は、水に溶けやすく、熱に弱いので、食べ方に工夫が必要です。
メニュー例
3-3.鉄分は効率的に
植物性の食品に含まれる鉄(海藻、野菜、大豆等)は、吸収されにくいので、吸収を助けるビタミンCや動物性たんぱく質を一緒にとりましょう。ひじきや青菜(ほうれん草等)プラス柑橘系の果汁や果肉などの組み合わせもグッド!
メニュー例
豚肉 疲労回復に役立つビタミンB1が豊富
ビタミンB1は牛肉の約10倍も含まれ、疲労回復やイライラの解消に効果があり、精神安定効果も。妊娠期はどうしても疲労がたまりやすくなるので、豚肉料理を取り入れてみて。また、玉ねぎやにら、ねぎなどを一緒に食べると吸収率がUP!
ひじき 疲労回復に役立つビタミンB
ひじきは各種ミネラルが多く、カルシウム、食物繊維、鉄、マグネシウム、βカロテン、などを多く含みます。ひじき等の食物性食品の鉄分は、動物性たんぱく質含む食品や野菜や果物などビタミンCを含む食品と組み合わせると吸収率がアップ。
長芋(山の芋) 食物繊維が豊富
長芋のでんぷん分解酵素は大根約3倍。消化促進と疲労回復に大きな威力あり。食物繊維も豊富で便秘解消に。消化作用に効果を期待するなら、生食の方がおすすめ。すり下ろせば冷凍保存もOK。必要量だけ割って使えます。
グリーンアスパラガス 葉酸が豊富
葉酸は胎児の細胞分裂や成長を促し、妊娠前から妊娠初期に葉酸をたっぷりとることで、赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」の発症リスクを減らすことができると言われいます。また、悪性貧血や動脈硬化の予防としても、葉酸は効果的。
3-4.塩分控えめ薄味でも満足レシピ
妊娠後期に発症することの多い「妊娠高血圧症候群」母体にとっても負担の大きい病気です。予防には、塩分を控え薄味の食事にしましょう。
メニュー例
香辛料、香味野菜等使い味に変化を!
酸味→レモンやゆず、柑橘類やお酢等
香辛料→カレー粉、七味、こしょう、さんしょう等
薬味→大葉、にんにく、生姜、みょうが等も
だしの旨みを活用する
昆布やいりこ、鰹節など天然だしを効かせ、少ない調味料でもおいしく。市販の“顆粒だし”には塩分が多く含まれているので注意を!
カリウム(塩分排出効果)
ナトリウム(血圧上昇)を体外に排泄してくれるカリウム。野菜や果物、海藻やきのこ類に多く含まれる。カリウムはゆでこぼすと失われやすいため、ゆで時間の短縮や電子レンジの活用、生で食べられるものは生で食するなど調理法を工夫しましょう。
3-5.つわり対策あっさりレシピ
つわりでつらい時は、食べられる時に食べられるものを取りましょう。 生姜は吐き気をやわらげることが期待できます。
メニュー例
<メニュー>
- しょうがご飯
- レンコンのはさみ焼き
- あっさりポン酢和え
- トマト味噌汁
- じゃがいもクレープ
<作り方を見る>
口当たりや喉ごしのよいものを
食べられるものを少量ずつでOK。小分けして食べるのもよい。小さなおにぎりや麺類など調理の簡単なメニューや卵豆腐など口あたりや喉ごしのよいものがおすすめ!
酸味や薬味、香辛料を利用
酸味(レモンやお酢など)、香辛料(カレー粉やこしょうなど)、薬味(生姜や青じそ、ねぎなど)を使うと食欲が増し、食べやすいと感じる人も多いようです。
3-6.便秘解消!
妊娠するとホルモンの影響で、便秘がちになる人もいます。便秘解消と予防には、食生活の管理が有効です。
メニュー例
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく
便秘の予防・改善には、毎日、食物繊維を豊富に含む食材をとることが有効です。腸内環境を整える発酵食品もおすすめ。また、食生活を見直し、こまめな水分補給や適度な運動も効果が期待できます。運動は、医師と相談しながら行うようにしてください。
3-7.ヘルシーデザート
妊娠中・授乳中はおなかがすくことも。安心して食べられるヘルシーな手作りおやつを紹介します。果物や低カロリーの市販のおやつも上手に取り入れておいしく食べましょう。
メニュー例
<メニュー>
- ミルクきんとん
- おからのくずもち
- じゃがいもクレープ
- かぼちゃようかん
<作り方を見る>
よくある質問Q&A
- 質問1:貧血と言われました。何を食べたらいいですか?
- 回答1:妊娠が進むにつれ、多くの血液量が必要となるため、鉄欠乏性貧血になりやすくなります。バランスの良い食事は基本となりますが、鉄分の多く含まれる食品も積極的にとりましょう。また、ビタミンCは鉄の吸収をよくするので、野菜や果物も一緒にとりましょう。
*鉄→レバー、マグロ、カツオ、牛肉、あさり、大豆製品、緑黄色野菜、海藻類などに多く含まれます。ただし、レバーにはビタミンAが多く含むため、妊娠初期にとりすぎると、胎児の先天異常の可能性が高くなると言われています。過剰摂取は避け、週一回程度にしましょう。 - 質問2:アルコールは少量なら飲んでも差し支えないですか?
- 回答2:飲用のアルコールは、妊娠中は胎児に影響があり、授乳中は母乳を通じて赤ちゃんに影響があります。禁酒するようにしましょう。 お料理に少量使う程度なら大丈夫です。
- 質問3:サプリメントはとったほうがいいのですか?
- 回答3:栄養は食事からとっていただくことが基本ですが、つわりで充分な食事がとれない場合などは使用することもできます。その場合は、自分で判断せずに必ず主治医に相談してください。 妊娠中の食事とサプリメントについては、下記のページを参考にしてください。
- 出典:妊娠中のサプリメントの利用について(国立健康・栄養研究所)
- 質問4:お腹の中の赤ちゃんの成長を促す食事は?
- 回答4:たんぱく質、ビタミンB群、葉酸、亜鉛、カルシウムなど必要な栄養素をバランス良く適量とることが大切です。とくに葉酸は、妊娠前や妊娠初期の摂取不足により、胎児に神経管閉鎖障害の発症リスクが高まると言われています。食事からの葉酸摂取に加えて、サプリメントなどから1日400µgの葉酸摂取が推奨されています。
*葉酸→緑黄色野菜(ほうれん草、グリーンアスパラ、ブロッコリー等)や果物(いちご、オレンジ、バナナ等)豆類などに多く含まれます。 - 質問5:液体ミルクについて教えてください。
- 回答5:消費者庁より、液体ミルクの使い方、注意点などが公表されています。外出や地震・台風などの災害により、ライフラインが断絶した場合でも、水、燃料などを使わずに授乳することができるため、災害用備蓄には最適!詳細は、下記のページをご覧ください。
- 出典:液体ミルクってなに?(国民生活センター)
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まずは、お気軽に下記まで、ご連絡ください。
郵送やメールでも対応します。
また、離乳食の個別指導にも応じます。
・食事内容調査表(PDF:61KB) (PDF 56.2KB)
- 「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」リーフレット(厚生労働省)(PDF 1.52MB)
- 「ママのための食事BOOK」(厚生労働省)(PDF 3.33MB)
- これからママになるあなたへ「お魚について知っておいてほしいこと」(厚生労働省) (PDF 3.52MB)
- これからママになるあなたへ「食べ物について知っておいてほしいこと」(表面)(厚生労働省)(PDF 3.12MB)
- 妊娠中の食事とサプリメントについて(国立健康・栄養研究所)
- 液体ミルクってなに?(消費者庁)(PDF 217KB)
- 食べてよい悪いもの(PDF 187KB)
- ママのからだの変化と栄養 (PDF 285KB)
- レシピ集1:妊産婦さんおすすめレシピ集(PDF 4.3MB)
- レシピ集2:妊娠期・授乳期~おすすめレシピ集~(PDF 4.8MB)
- 食事のバランスチェック (PDF 66KB)
- 食事内容調査表 (PDF 56.2KB)