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【食中毒予防】食中毒の主な病因物質と特徴

食中毒には様々な原因があります。
原因毎の特徴と予防のポイントをまとめましたのでご参照ください。

 

ウイルス性食中毒

ノロウイルス

秋から冬にかけて注意が必要なのが、ノロウイルスによる食中毒です。
このウイルスによる食中毒の原因食品としては、カキを含む二枚貝が多く報告されています。
また最近では、ノロウイルスに感染した調理従事者を介した「人から人へ」の二次感染を疑う事例も報告されています。

主な原因食品:ノロウイルスに汚染された調理器具や食品。カキやハマグリなどの二枚貝類。
    (注)特にカキ等の二枚貝が海水中のノロウイルスを取り込み、蓄積していきます。
主な症状:吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、軽度の発熱(風邪に似た症状)
    通常、2~3日で軽快  予後は良好
潜伏期間:24~48時間
ウイルスの特徴:冬場の集団発生が多く、少量のウイルスで食中毒を起こす。

予防のポイント

  • 手洗いの励行
  • 調理者の健康管理
  • 食材の加熱(85~90℃で90秒以上)
  • 二次汚染の予防

 

E型肝炎ウイルス

主な原因食品:豚レバー等の豚由来の食品や、シカやイノシシなど野生鳥獣の肉を十分に加熱しないで喫食した場合、E型肝炎を発症するリスクがあります。
主な症状:黄疸、発熱、劇症肝炎等
潜伏期間:2~9週間(平均6週間)
ウイルスの特徴:E型肝炎ウイルスに汚染された食品の経口摂取で感染するほか、汚染された水や、感染動物の血液が傷口に接触することでも感染します。

予防のポイント

  • 食肉の十分な加熱

特に野生鳥獣肉は、E型肝炎ウイルス以外に人畜共通感染症や食中毒の原因となる病原微生物、寄生虫類等を保有している可能性もあるため、十分に加熱調理して食べましょう。

厚生労働省ホームページのQ&A(外部リンク)
 

A型肝炎ウイルス

2017年度には、宮崎市保健所に16名のA型肝炎の患者の発生届出が提出されました。
A型肝炎は、A型肝炎ウイルスが、口から体内に進入し感染・発症するものです。
アサリ等の二枚貝がA型肝炎ウイルスを含んでいる場合、このアサリを食べることでも発生します。

主な原因食品:A型肝炎ウイルスに汚染されている二枚貝類などを「生」や「加熱不十分」で食べることによって起こります。
主な症状:発熱、全身倦怠、食欲不振、悪心嘔吐、黄疸、肝腫大等
潜伏期間:2~7週間(平均4週間)
ウイルスの特徴:A型肝炎ウイルスに汚染された食品の経口摂取で感染します。

予防のポイント

  • 食肉の十分な加熱
  • 手洗いの励行

A型肝炎とは (国立感染症研究所)

 

細菌性食中毒

腸炎ビブリオ

主な原因食品:生鮮魚介類とその加工品など
主な症状:腹痛、下痢、吐き気、発熱等
菌の特徴:塩分を好み、塩分2~5%でよく発育します。
潜状期間:8~24時間

予防のポイント

  • 漁獲から消費までの低温管理
  • 二次汚染防止
  • 加熱処理
  • 魚介類の洗浄は真水で

サルモネラ

主な原因食品:食肉およびその加工品、鶏卵、淡水魚など
主な症状:下痢、発熱、腹痛等
菌の特徴:動物やヒトに広く分布していります。犬や猫のペット類も汚染源となります。
潜伏期間:12~48時間

予防のポイント

  • 食肉類の生食は避け、卵は冷蔵保存し、十分な加熱調理を行う
  • 未加熱の卵や食肉に触れた手指や器具は、その都度洗浄・消毒をする
     

病原大腸菌(特に腸管出血性大腸菌)

 病原大腸菌とは、たくさんある大腸菌の種類の中でも、感染すると人に何らかの症状を起こす大腸菌群の総称です。
とりわけ、「腸管出血性大腸菌」は大腸菌の中でも、毒素を産生し出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)などを起こすものを言います。
「O157」のほか、「O26」や「O111」などが知られています。
毎年、初夏から秋にかけて、O157等の腸管出血性大腸菌による感染症や食中毒の報告数が増加します。

主な原因食品:食肉類、汚染された野菜類や水等(生レバー、ユッケ等の生肉や加熱不十分の食肉が原因と疑われる事例が多い)。
主な症状:下痢や腹痛、水様便、血便(感染しても無症状や、軽い腹痛や下痢のみの場合もあります)
    溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症など、重篤な合併症を発症することもあります。
    ※下痢の時には、自分の判断で下痢止めを飲まずに、早めに医師の診察を受けてください

菌の特徴:幼児や高齢者がかかりやすく、重症化しやすいです。潜伏期間が長く、熱に弱いです。
潜伏期間:12時間~8日(平均3日~5日)

予防のポイント

  • 加熱処理(75℃1分の加熱で死滅)
  • 手洗いの励行(特に、動物と触れ合った後)
  • 調理器具の洗浄・消毒。生肉用とそれ以外を扱うものを区別する。
  • 定期的な水質検査の実施

     

(参考)厚生労働省HP(腸管出血性大腸菌について、予防のための対策など)

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/daichoukin.html

 

エルシニア・エンテロコリチカ

主な原因食品:食肉など
主な症状:発熱、腹痛、下痢等
菌の特徴:5度前後の低温でも発育します。
潜伏期間:2日~5日(推定)

予防のポイント

  • 食肉は十分加熱して食べる
  • 冷蔵庫を過信せず早めに食べる
     

カンピロバクター

主な原因食品:鶏肉など
主な症状:下痢、発熱、腹痛等。まれにギランバレー症候群(神経障害)を起こすことがあるといわれています。
菌の特徴:家畜やペットなどあらゆる動物に分布。少量の菌で食中毒を起こします。
潜伏期間:2~7日

予防のポイント

  • 生肉と調理済みの食品は別々に保存する
  • 加熱処理
     

毒素型食中毒

ウェルシュ菌

主な原因食品:カレー、シチューなど
主な症状:下痢、腹痛等
菌の特徴:大量に調理された食品中の酸素が少ない状態で増殖します。
潜伏期間:6~24時間(平均10時間)

予防のポイント

  • 煮物、食肉の調理には十分熱を通すこと
  • 調理後は早めに食べる

黄色ブドウ球菌

主な原因食品:弁当、おにぎり、菓子類など
主な症状:下痢、腹痛、吐き気等
菌の特徴:ヒトや動物の化膿創や手指・鼻咽喉等に広く分布します。
潜伏期間:1~5時間

予防のポイント

  • 手指に傷や化膿創のある者の調理取扱い禁止
  • 手指の洗浄消毒の励行
  • 調理後は早めに食べる
     

セレウス菌

主な原因食品:チャーハン、スパゲッティーなど
主な症状:嘔吐型(吐き気、嘔吐)、下痢型(下痢、発熱、腹痛等)
菌の特徴:土壌など自然環境に広く分布。熱に強い芽胞を作ります。
潜伏期間:1~5時間(嘔吐型)または8~16時間(下痢型)

予防のポイント

  • 一度に大量の米飯やめん類を調理しない
  • 米飯やゆでたスパゲッティーを室温放置しない
     

ボツリヌス菌

主な原因食品:魚肉発酵食品(イズシやキリコミ等)、野菜、果実のびん詰め
主な症状:初期に胃腸炎症状、ついで神経麻痺症状等。重症例では呼吸困難を起こし死亡します。
菌の特徴:酸素のない状態で増殖し、毒素(神経性)を産生します。熱や化学物質に強い芽胞を作ります。
潜伏期間:5~72時間

予防のポイント

  • 新鮮な原材料を用いて洗浄を十分に行う
  • 食品の低温保存と喫食前の十分な加熱

 

自然毒による食中毒

ふぐ毒

例年、自分で釣ったふぐを調理(自家調理)して喫食することによる重症事例や死亡事例が発生しており、令和元年においても死亡事例が報告されました(別紙参照)。
ふぐの自家調理は非常に危険であり、最悪の場合、死亡するおそれがあることから、ふぐを自家調理して喫食してはいけません。

主な原因食品:ふぐ
主な症状:しびれや麻痺症状を起こします。麻痺症状は口唇から四肢、全身に広がり、重症の場合には呼吸困難で死亡することがあります。
潜伏期間:20分~3時間

予防のポイント

  • 釣ったふぐの処理は、ふぐを取り扱う資格を持つ専門の方に依頼する。
  • 依頼できない場合は食べない。人にも譲らない
  • ふぐの毒は調理(塩もみ、加熱、水にさらす)で無毒化されることはありません。

・厚生労働省HP「安全なフグを提供しましょう」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000094363.html

・厚生労働省HP「自然毒のリスクプロファイル:魚類:フグ毒」

https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_01.html

 

寄生虫による食中毒

アニサキス

主な原因食品:魚介類全般(特に青魚類、イカ等)
 アニサキスは寄生虫の一種で、本来であればクジラの胃などに成虫が寄生しています。
 幼虫は、サバ、イワシ、カツオなどの魚類に寄生しており、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmぐらいで、太めの白い糸のように見えます。
 内臓に寄生しているアニサキスの幼虫は、鮮度が落ちると内臓から筋肉内に移動することが知られています。
 自分自身で魚をさばく際、また鮮魚店やスーパーで購入した冊状(ブロック)の切り身を家庭で調理する際には、アニサキスが付着していないか注意が必要です。

主な症状:アニサキス幼虫が胃や腸に付着し、アレルギー反応から激しい腹痛や吐き気・嘔吐などの症状を引き起こします。
潜伏期間:数時間から十数時間。生鮮魚介類を食べて腹部に激痛がある場合は医療機関を受診してください。

予防のポイント

  • 新鮮な魚を選ぶ。また、丸ごと1匹で購入した際は速やかに内臓を取り除き、筋肉中への幼虫の移行を阻止する。
  • 加熱用の魚や、内臓を生で食べない。
  • 目視でアニサキス幼虫を確認・除去する。
    ※一般的な料理で行う食酢での処理、塩漬け、または醤油やわさびと一緒に喫食してもアニサキス幼虫は死滅しません。

 

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