トップアスリート×スポーツランドみやざき Vol.9

-東京オリパラ宮崎事前合宿 海外選手特集(パラ陸上男子)-
 

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宮崎市を合宿などで訪れたトップアスリートに宮崎市スポーツランド推進課職員がインタビューを行う「トップアスリート×スポーツランドみやざき」第9回目。

今回は、東京2020パラリンピック前の2021年8月14日~8月22日に本市で合宿を行ったパラ陸上男子ドイツ代表で世界記録保持者のヨハネス・フロールス選手にお話を伺いました。(2021年8月19日 ANAホリデイ・インリゾート宮崎にてインタビュー)

トップアスリート×スポーツランドみやざき

プロフィール

ヨハネス・フロールス
Johannes Floorse

生年月日:1995年2月8日(26歳) 
国籍:ドイツ
東京パラリンピック出場競技:陸上男子400m T62(金メダル)、100m T64(銅メダル)自己ベスト記録:400m 45秒78(世界記録)、100m 10秒54(世界記録)

 

■「宮崎はリラックスできて故郷にいるような感じ」

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―宮崎の印象はいかがですか?

「大変温かい歓迎をしていただいて、宮崎の人は優しいというのが第一印象です。ホテルは素晴らしく、海などの景色も最高です。宮崎は私にとってリラックスできて、パラリンピックに向けて良いトレーニングのできる場所です」

 

―宮崎の合宿環境はいかがですか?
「私たちは宮崎県総合運動公園で練習をしていますが、あれほど大きな運動公園があるのはすごいですね。野球場、プール、いくつもの陸上競技場と、何もかもが揃っており、アスリートにとって大変嬉しい場所だと思います。素晴らしいトラックを準備していただき、そこで練習できていることに感謝しています」

 

―宮崎合宿の中で気に入ったものはありますか?
「故郷の近くのデュッセルドルフという街が好きでよく行くのですが、デュッセルドルフには日本人街があって美味しい日本食のお店がたくさんあります。
そこでお寿司やラーメンなどを食べるのが好きなのですが、宮崎でも同じようにそういう食事を楽しむことができて、まるでデュッセルドルフにいるように感じています。大会直前に珍しいものを食べるのはあまり良くないと考えているので、普段食べ慣れている食事をいただけるのはとてもありがたいですね」

 

■「パラスポーツには選手一人一人が逆境を乗り越えてきたストーリーがある」

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―パラ陸上を始めたきっかけは何ですか?
「16歳で足の切断手術をした後、トライアスロンをすることになりました。切断手術を受ける前は足の変形のために走ることができなかったのですが、義足をつけてランの練習をしてみると、これまでにない感覚がありました。走るという感覚を味わったら、この感覚を忘れたくない、もっと速く走りたいと思って陸上にのめり込んでいくようになりました」

 

―パラ陸上の魅力は何ですか?
「陸上に限らずパラスポーツには、選手一人一人が諦めずに逆境を乗り越えトレーニングをして夢や目標に向かい努力するというストーリーがあります。それが大きな魅力です。パラ陸上にフォーカスを当てると、義足を着けて走ることに視覚的な魅力があると思います。よく子どもたちからロボットとかトランスフォーマーみたいと言われますが、彼らは義足が最新技術を搭載した近未来の速くてかっこいいものと見ているのかもしれませんね。また、パラ陸上には速い記録を持った選手がたくさんいますので、大会で大接戦になるのも面白いところです」

 

―フロールス選手は世界記録を持っておられますが、このような素晴らしい結果を残す秘訣は何ですか?
「この記録は2年前(2019年)の世界大会時のものですが、その時はシーズン中のケガもなくコンディションも万全でした。天候が良く追い風という全ての好条件が揃った状況だったで記録が出たのだと思います」

 

―ご自身のコンディションを保つために何か特別なことをされていますか?
「1週間にトレーニングを10回行うようにしています。それをシーズン通してずっと続けることで自分のコンディションを保っています。大会が近付くとトレーニングを減らしてリフレッシュすることを重視し、トレーニングの内容もレースに必要な瞬発力を集中して鍛えるようにしています」

 

■「パラリンピックは世界にパラアスリートの可能性を示す大事な機会」

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―新型コロナウイルスの影響でパラリンピックが1年延期となり、モチベーションを保つのが難しかったと思いますが、どのように調整を続けてこられましたか?
「大会が中止となるのか延期になるのか直前まで分からず、もちろん大変な状況でした。ただ、私にとっては却って自分自身に集中できる時間になったと思います。
私は、パラリンピックに出場し100mを走ることをずっと夢見てきました。その夢を支えに、モチベーションを保ちトレーニングを続けてくることができました」

 

―パラリンピックでは、世界中の人にどんなところを注目してほしいですか?
「私が出場する短距離走に関して言うと、400mでは後半に注目してほしいです。特にラスト100mは最も苦しいところになりますので、今回は残念ながら無観客開催で直接応援の声を聞くことはできませんが、画面越しに皆さんに応援してもらいたいですね。
また、100mは本当に速くあっという間なので、スタートからゴールまで目を凝らして観てほしいです。パラリンピック全体としては、ゴールボールやボッチャといったパラリンピックならではの競技に世界中の人々が関心を持つきっかけとなったらと思います。障がいを持った人々がスポーツに熱中しているところや、障がいをどう補っているのかを見てもらいたいです」

 

―東京パラリンピックへの意気込みをお聞かせください。
「感染拡大が続く状況ではありますが、パラリンピックが東京で開かれることを嬉しく思いますし、楽しみにしています。パラリンピックというのは、私たちのような障がいのあるアスリートにとって、何ができるかを世界に示す非常に大事な機会です。私もみんなと同じように厳しい練習をして、誰よりも速く走りたいと思います。私はずっとパラリンピックで走ることが夢でした。年齢は26歳ですが、今がアスリートとしてのピークだと思います。ピークを迎える中で夢のパラリンピックの舞台に立てることが何より嬉しいです」

 

―ありがとうございました。フロールス選手の活躍を宮崎から応援しています!
最後に、宮崎の皆様へメッセージをお願いします。※以下の動画でメッセージをご覧ください。

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